近頃の温度は軽く初夏の日和のものになってきたように思います。

昨日は大先生のレッスンでした。

茗荷谷の駅前に大きな楠木があり、葉が風にそよいでいると春というより、初夏になってしまったように思いました。

 

今回は近頃の中で1番素敵なレッスンでした。

パーセルの曲を3曲全部見ていただくことができました。これはとても嬉しいことです。

(やったーという感じでしょうか)

 

レッスンもあまり発音のこととか発声のこととかの細かい部分にとらわれず、この曲をどういう風に歌ったら聴いている人が興味深いだろうか、はたまた音楽的な考え方から言ってどこをどうやって歌えば良いのか という観点で、歌い方を検討していただくことができました。

曲の内容を教えていただける今回のようなものが、本当のレッスンにように思います。

よくお弟子先生が、大先生の持っていらっしゃる経験と知識から曲の内容を教えていただけるように、言葉の発音や、発声のことなどを大先生のレッスンの時に注意されないように、細かくおっしゃいますが、その積み重ねが今回の場合良い方向に向いたのだと思います。

やっとこういうレッスンができるところまで辿り着いてきたように思います。

正直嬉しかったです。

 

この時代の曲は自由に歌うところがあるので、どういう風に歌ったら良いか、言葉や音型で表情のつけ方を考えるのです。

大先生も日曜日に《マタイ受難曲》の大まかな演奏のスタイルまでたどり着くことができたので、少しホッとされたのかもしれません。

日曜日はコーラスの集中力も今までの中で一番良かったようには思います。

合唱団も間近に迫った本番の時をかなり意識することができたのだと思います。

 

大先生に、レッスンが始まる前にこう訊かれました。

「コーラス楽しい?」

もちろん、今この新しい音楽と出会えて、少しずつわかることが増えてきて、オーケストラの音も頭の中に入ってきた一番楽しい時なのだなあと思っていました。

正直な気持ちを申し上げました。

「もちろん楽しいです。毎日《マタイ受難曲》の歌を歌ってから自分のレッスンをするとちょうど、自分の歌を歌うコンディションになるのです。アルト音域でマッサージしている感じです」

というお話をしましたら、お疲れになっていると思うのですが、とても嬉しそうでした。

 

考えてみたら、指揮をして、説明をして、ソロのいない部分を自分で歌われ、オーケストラの指示もされるわけですから、疲れないわけはありません。

私もこのような年齢になってから、普通は取り組もうとはしないと思います。

大先生が立ち上げたコーラスであるから参加しようと思ったのです。

ちょうど運命のように職を辞した後に、マスターコース、コーラスの立ち上げ と続いたのですから。

それでなくてはこの過密スケジュールに耐えられなかったでしょう。

練習場所への往復だけでもかなり疲れます。

しかし、今はこれに参加して良かったと思います。

本当はもっと若い時に1回目を歌っておいたら良かったとは思いますが、とてもそんな余裕はありませんでした。

 

良かった。立ち上げが昨年で。

 

今回のレッスンで、先生が、楽譜に自分が赤ペンで書きいれた記号がどんなことを表しているのかを、その記入された楽譜をこちらの譜面台に乗せて、そばに来て歌ってくださいました。

その記号がどういうことを表しているかを歌って説明していただいたのです。

こんなことはそうあるものではありません。赤のペンで書き込んでくださって「この方がわかりやすいでしょう」とのこと。「ショルティはいつも、赤で書き入れていました。」と言いながら

「自分はショルティのような偉大な指揮者ではないけど、赤で書くとわかりやすいよね」と言いながら書いてくださいました。

昨年のコンサートの曲以来の書き込みの楽譜でした。

もちろん自分でも言われたことは自分の楽譜に書き入れるのですが、それまでの書き込みも沢山あって、うまく書き入れられないことがあるのです。

その時のレッスンのポイントがストレートに伝わってくるので、これはとっても嬉しいことなのです。

そうやって考えていただいた表現を自分の中に落として歌っていくわけです。

次回までには、暗譜して身について歌えるようにしたいと思っています。

 

時々こうやって書いていても、これは以前のブログにも同じようなこと書いたことがあったかな?と思います。

実際何度も書いていることがあるように思います。

自分のいままでの経験の中で印象深いことってそんなに数があるわけではないので、どうしても重複してしまうのですね。

書いてしまってから、「あれこのお話は何度か書いているかな?」と思うことが増えてきました。

昔のことにこだわっている証拠でしょうか。

はたまた記憶力の低下でしょうか…………