嘉目真木子ソプラノリサイタル        ピアノ北村朋幹

今回も新しい発見がありましたが、この日も疲れました。

連続して出かけていることもあるのだとは思いますが………。

 

昨日先ず朝起きた途端に「電車が止まっているぞ」

「えっ」という調子から始まりましたので。

しかも2つの路線で。

1つは遅延報告でしたが………

それこそ「なんてことだ!」

すこしいつもより早めに出かけました。

そのおかげで、月一回のオペラ講座には間に合いました。

というかいつもより早く着いてしまいました。

 

こちらがお昼まで。

 

トッパンホール17:00からのコンサートでしたので、帰りは小田急線で新宿に出て、地下鉄新宿線、地下鉄有楽町線と乗り継いで「江戸川橋」へ。ちょっとこのホールは不便なのです。

 

開場までのおよそ1時間半ぐらい、ホール前の大理石の椅子で本を読んでおりました。2階にあるレストランや喫茶のスペースはクローズでしたので…………

 

そんな感じの自分の状態でしたので、少々、心配でした。(眠くならないかしら………)

 

【プログラム】

マーラー

リュッケルトの詩による5つの歌曲

1  僕は吸った優しい香り

2  僕の歌を覗き見するな

3  美を求めて愛するのなら

4  真夜中だった

5  わたしはこの世からなくなった

 

シェーンベルク

2つの歌 Op. 14 

1  ぼくはひれ伏してはならない

2  この冬の昼日なか

 

浜辺で

 

ヒンデミット

アンゲルス・シレジウスの詩による4つの歌曲

1  去れ、去れ、お前セラフィムよ

2  永遠のなかに

3  汝は言う、小さきことのなかに………

4  汝は言う、汝を時から

 

*******休憩*******

 

ツェムリンスキー

歌曲集   Op.2   第2集

1  春の日

2  ドイツの古いミンネリート

3  夢 

4  見捨てられた少女 

5  春に

6  受胎

 

ベルク

7つの初期の歌曲

1  夜

2  葦の歌

3  夜啼きうぐいす

4  夢を冠に

5  部屋のなかで

6  愛を賛える歌

7  夏の日々

 

R・シュトラウス

4つの歌曲Op. 27

1  憩え、わが魂よ

2  ツェツィーリエ

3  密やかな誘い

4  明日

 

というように見事に20世紀の音楽が並んでいます。

興味深いプログラムではありますが、馴染みのある曲たちではありません。

 

この時代のこれらの作曲家の歌曲集を全曲歌い通すプログラムはなかなかないように思いました。

よくこの難しい曲に挑戦されたように思いました。

マーラーとR.シュトラウスは楽譜なしの暗譜で歌われましたが、他の作曲家の時はやはり譜面台に楽譜を置かれていました。

 

私の隣に座っていらっしゃった方は、「彼女は姿カタチも、声も美しいんだから……」とおっしゃっていました。

これは歌手として活躍していくためには大きな利点です。

そのせいか、普通のコンサートより男性のお客様の比率が多かったように思います。

まあ、土曜日だったということもあるのかとは思いますが。

 

今回大きく感じたことは、ピアノの持っている力がかなり大きかったように思えることです。普通、声楽のコンサートでは、歌が主で、ピアノが従といったような感じを持ってしまいますが、今回のプログラムの特に前半は、特にピアノの役割がかなり前面に出ておりました。

嘉目さんのコンサートをエスポワールシリーズということで3回このホールで開催される企画の中で、今回が3回目ということで最終回のようなのです。

この3回ともピアノは北村さんが担当してきたそうで、これまで2回でお互いの信頼関係を築かれてきたように思いましたが………

ピアノの部分がかなり前面に出て、大きくその曲の内容を前面に打ち出していたように思いました。まるでピアノのソロの曲であるように。

この北村さんのソロコンサートを一回お聴きしたことがあるのですが、「流れるような感じ、で少し暗い印象」という印象が残っていますが、「この方のこの曲」という強いイメージは残っていないのです。

それが歌との共演という形の今回の方が、はるかに強い印象を受けたように思います。

作曲家のせいなのか、共演者と作り上げていく感覚が触発したのか……

 

歌との関係を考えて、控えめにするというような感覚はあまりなかったように思います。

しかし、曲としての完成度はかなり高いもののように思いました。

マーラーの曲の最初、美しい音で始まった時、その音に誘導されるように歌が入ってきましたが、なんだか音量的にも感性的にも、ピアノが前面に出てきているように感じました。

それで、「あれ?」という気持ちがしたのですが、きっとこの関係になることを歌手の方もご承知で、それを容認してこの曲を作り上げていくパートナーとして信頼されているのだろうと感じました。

前半は、ピアノの比率が高かったように思いましたが、後半のツェムリンスキーの出だしでは、お互いがお互いで支えあっている感じが聴こえてきたように思いました。

 

ツェムリンスキーとベルクの歌曲は縁があったら勉強してみたいと思う魅力を感じました。