12月25日 日曜日 14:00〜

東京芸術劇場 2022

日本フィルハーモニー交響楽団

第九交響曲 特別演奏会

 

J.S.バッハ

カンタータ第22番 BVW22より

 

パストラーレ BVW590 よりⅡ

 

トッカータとフーガ BWV565

 

ベートーヴェン

交響曲第9番《合唱》ニ短調 op.125

 

指揮    小林研一郎

オルガン  石丸由佳

ソプラノ  市原 愛

アルト   山下牧子

テノール  笛田博昭

バリトン  青山 貴

 

日本フィルハーモニー協会合唱団

 

今年2回めの第九でした。

先週の第九がアマチュアの市民オーケストラでしたが、指揮者の方からの説明が丁寧にありましたし、一階の半分以上の座席をお客さまを入れずに演奏して、オーケストラの楽器や演奏している姿がしっかりと見える形でしたので、今回はその基礎を踏まえて、ここではこの楽器がこういう動きをするところだよな……などと耳が楽しみに待っていたりするのです。

もしかすると今までよりも数段丁寧に聴いているようにも思いました。

 

やはりプロのオーケストラですから、心配なく音がムラなくバランスよく響いてまいります。

そこはやはりコバケンの指揮のもと、合唱もオーケストラも、何回めかの演奏だとは思いますが、ある種の熱量が伝わってきます。

もう年末に日フィルの第九を聴くようになって何回めでしょうか。

友人が、この日フィル合唱団に入って演奏するようになってから毎年聴きに行っているのだと思います。

何年か抜けた年もあったように思いますが、ほとんどコバケンの指揮だったと思います。

いつもこの年末に、熱量溢れるコバケンの指揮の第九を聴いて一年がしめくくられておりました。

今年もまた聴きに行くことができました。

いつもはコバケンの熱量に圧倒されて、目が指揮者ばかりをどうしても追ってしまうのですが、今回は事前に予習のように一回聴いていたせいもあるのか、オーケストラの動きにもかなり注意が行きました。

コバケンの指揮もいつものように丁寧にされていましたが、やはり少しおとなしくなってきているようにも思いました。

合唱で歌っている友人はご夫婦で合唱に参加されていました。

やはり日フィル合唱団もこのコロナの影響もあってだいぶ人数が減ってしまったようでもありますし、ステージにのる人数を制限をしていることもあるようです。

合唱指揮の先生から、コバケンさんはこの部分は指揮を振らないと思うので、オーケストラのボーイングに合わせて歌って欲しいというようなお話もあるようです。

そういうところの打ち合わせも指揮者から合唱指揮の方へされているのですね。

広い会場で音の聴こえ方が場所により色々になってしまうからだと思います。

自分の指揮のスタイルがきちんと決まっていらっしゃるから、そういう事前の相談もきっちりなされるのだと思います。

 

今年の独唱の方は立派に歌われておりました。

どちらかというと男声のお二人は立派なお声でお歌いになる方なので、女声の方もそれに負けまいとなさるのか、少々強い声を出そうとされて無理をしているのではないかな……と思われる部分があったように思います。

テノールの笛田さんはやはり《イル・トロヴァトーレ》のマンリーコのイメージが強いので、歌詞のドイツ語がドイツ語に聴こえない感じもちょっとしましたが………

バリトンの青山さんは、ワグナーの《さまよえるオランダ人》の時のイメージが強くあるのですが、安定したお声でした。

この重量級の男声陣ですので、やはり女声もそれに影響されたのでしょう。

本来ソプラノが美しく空へ舞い上がっていく声であろうと思われる部分も「力で押し上げてしま

ったなあ」という印象もありました。

聴衆は無責任ですから、独唱者が並んで歌うときにボリュームの点で少し控えめだと、この人はボリュームの点で弱いと言いますし、高音がすっと伸びていかないと、またそれはそれで文句を言うわけですから、大変です。すみません。

 

しかし、今回はオーケストラの音、演奏のされ方がよく耳に入ってまいりました。

ピッコロの音が美しく、心に残りましたし、4楽章の最初のコントラバス、チェロの低音楽器の響きにも心が動きました。

 

コンサートの後に、もう1人聴きに来られた友人と、出演されたご夫婦と、お話をすることができました。近頃コンサートへ行ってもあまりその演奏についてお話しをするということがなかったのでとても楽しいひと時を持つことができました。