指揮 ファビオ・ルイージ
メゾ・ソプラノ 藤村実穂子
コンサートマスター 伊藤 亮太郎
ワーグナー
ヴェーゼンドンクの5つの歌
Ⅰ 天使
Ⅱ 止まれ
Ⅲ 音質で
Ⅳ 痛み
Ⅴ 夢
ブルックナー
交響曲第2番 ハ短調(初稿/1872年)
Ⅰ アレグロ かなり速く
Ⅱ スケルツォ: 速くートリオ: 同じテンポで
Ⅲ アダージョ: 厳かに、いくぶん動きをもって
Ⅳ 終曲: より速く
今年からNHKホールで定期演奏会が始まって、9月から新しいシーズンが始まったわけですが、9月が同じファビオ・ルイージさんの指揮でしたが、開幕を飾ってヴェルディのレクイエムでした。
10月が来日が危ぶまれていたプロムシュテットさんの指揮でした。
11月が井上道義さんの指揮でした。曲目も伊福部朗、ショスターヴィチというものでした。
と3人続いてきました。
音響の点で、いま一つと言われているNHKホールです。
改装しても以前と同じと言われていますが。
しかし曲目と指揮者に魅力があったからでしょうか、この3回はお客様の人数が以前より多いなあと感じました。
ヴェルディのレクイエムの回、プロムシュテットさんの回は、もうもう久し振りにNHKホールが満員状態で、何かこころ弾むものがありました。
今回はお客様の数がぐんと減っていて少々びっくりしました。
プログラム前半が「歌」で〈ヴェーゼンドンクの歌〉だからでしょうか。
しかし藤村実穂子さんが歌われるのですから、私はどちらかといえばこれは聴きたいと思うプログラムでした。
まあ、そんなに華やかさはないし、オーケストラがお好きな方は「別もの」という感覚があるのでしょうか。
後半のブルックナーも、第2番の交響曲ですので、皆さんのお聴きになりたいものではなかったのでしょうか……
ファビオ・ルイージ指揮でしたのに、ちょっと残念な気持ちがしました。
やはりお客様はぎっしりとは言わないまでも、空席が目立たないぐらいの座席が埋まっていて欲しいなあと思いました。
やはり演奏する方もその方が集中度合いも上がってくるような気がするのです………
藤村実穂子さんが、一見クリムトに出てくる女性が着用しているようなデザインの紫のドレスを着て出ていらっしゃいました。肩のあたりがレースで覆われたタイトな感じのドレスでした。
(黒い靴が見えておりましたが、色の感じとして銀の靴の方がよりエレガントに見えるように思いますが…………)
しっとりとした、美しい出だしです。
いつもこの曲を聴く度に思うのですが、捉えどころがない茫洋とした感じ……
この5曲の中で、またお目にかかれましたといつも感じるのは第3曲めの〈温室で〉です。
この歌がものすごく好きだというのではないのですが、ここから後半に至る感じは、解説にもありましたが《トリスタンとイゾルデ》に通じるものを感じるのです。
マチルデ・ヴェーゼンドンクとの純愛の記憶の封印とのことですが………
何度聴いても捉えどころがないといった気持ちはするのです。
後半のブルックナーを聴きながら、その明確な感じの指示を出す指揮ぶりを見ながら、この方の指揮をMETのライブビューイングで拝見していた時のことを思い出していました。
その出演回数や指揮から、レヴァインの後任はファビオでがないかと思っていたのですが。
昨日のブルックナーを聴きながら、見ながら、ドラマティクに構築していく指揮の感じを見ていましたら、オペラの内容を構築していった明確な指揮を思い出していました。
なんだか、ヴェルディのレクイエムにはそれがぴったりはまっていたように思えたのですが。
この方のオペラの指揮を見てみたいなあ、などと感じておりました。
ふつふつとたぎるものが、オーケストラにも伝わっているように思いましたが……