実は今月のオペラ講座の演目は《清教徒》でした。

近頃こちらで取り上げられる演目は、近々実際に演奏される予定から採られたものが多くなってまいりました。

実際に見る機会がある時に、より深い理解や、「こういうところがこのオペラの特徴なんだなあ」ということを教えていただくことで、新たな興味を持つことができる のではないか というご配慮のようです。

やはりその違いは実際を聴きにいきますとよくわかります。

 

昔と比較にならないくらい、音源や、映像、それにライブビューイングまで、知ろうとすれば色々な手段を採ることができるような時代になりましたが、自分から望んでそう言ったものを経験しようという方はまだ多数ではないし、音源や映像があっても、それを見聴きする時間も、なかなか作り出すことができないのですから……

 

しかしこうやってせっかくの機会を作っていただいているのですから、自分でテーマになる作品の映像を持っている時は、出来るだけ、講座の前に一度見ておくだけでも、有意義だということに気がつきました。

 

今度9月にあります藤原歌劇団の公演《清教徒》にどう歌手の方が挑戦されるか、ただぼうっと見ているだけでは、大変そうだということはわかっても、どこがどう大変なのかを知ることができないように思います。

具体的にどこがどうなっているか、ということを教えていただくことは今まで部分的であった知識が、全体として繋がってくることでした。

 

今まではどちらかといえば、エルヴィーラを歌う方にのみ、興味の対象があったように思うのですが、恋敵のリッカルドは、こう言った声でこういう風に歌うことを、作曲家は考えて作曲したように思うということを教えていただくと、オペラの全体像が見えてくるから不思議です。

「ただよく歌っているなあ 」という感想から一歩踏み込んだ聴き方になるのですから、これまた、不思議です。

 

今回は、ジョルジョという、エルヴィーラの叔父の役や、少ししか出てこない父親役、王妃のエンリケッタ役の方にも触れていただき、それだけでも映像を見るときの観点が変わってきたように思います。

 

私が持っている映像は、普及版として作られたものでしたが、今回見せていただいた3種類の映像の中で最後に出てまいりました。

ニューヨークのメトロポリタン歌劇場のもので、2007年にネトレプコがエルヴィーラを歌ったものでした。

グルヴェローヴァやボンファデッリの熱演のものは、同時に、衣裳や舞台の装置、演出の違いなども垣間見ることができました。

 

この私が持っている《清教徒》の映像は、何年か前に、演奏会式のような形で歌われたものを聴きに行く前に購入したのだと思います。

 

アリアや、2重唱などでよく見聴きしているものが多いのに、どんなオペラか知らなかったからです。

 

その時もこの映像を見ておりましたが、今回のこの講座の前に予習としてみておいて良かったです。同じ映像でも受ける印象が変わってくるのですから……

 

9月の公演のチケットは、先日リサイタルに伺って聴きました、佐藤美枝子さんのエルヴィーラのものを購入しております。

その時も《清教徒》からのアリアをお歌いになりました。

《夢遊病の女》《ノルマ》《カプレーティ と モンテッキ》からのアリアなども聴かせていただきました。

今度はそのオペラ全体を聴きたいと思っております。演技や、そのほかの要素も一緒に見せていただきたいと楽しみにしているわけなのです。

 

しかし見れば見るほど、聞けば聞くほどその大変さわかります。

今回ご指摘があったポイントをもう一度確認してから、この公演にまいりたいと思います。

9月のオペラパレスの公演がかなり楽しみになりました。

今度のダブルキャストのお二人を聴き比べるのも、興味深いですね……とのことで、迷っています。