本当に久しぶりに、新宿文化センターのホールに行きました。

こちらに来たのは、かなり前お子さま対象の合唱フェスティバルがありまして、その東京都の部を聴きに行った時でしょうか?
かなり上手な合唱だったので印象に残っているのです。
 
今回は沖縄のある島を舞台にした、《キジムナー》というオペラにまいりました。
日曜日の新宿で2時より。
マチネでしたが、1時15分より作品説明があるとのことで、早めにに家を出ました。
 
新宿の文化センターの周りの様子がガラッと変わってしまっていました。
 
《キジムナー》時を翔ける  ニュープロダクション
日本オペラシリーズNo.81  〜中村  透  追悼〜
 
中村  透 台本・作曲    オペラ全2幕
総監督    郡  愛子
指揮       星出  豊
演出       粟国  淳
 
カルカリナ     中鉢   聡
オバア           松原広美
ミキ              西本真子
フミオ           中桐かなえ
マサキ           所谷直生
本多              田村洋貴
区長              田中大揮
マチー           知念利津子
ジラー           琉子健太郎
 
 
土曜日のカルカリナという名前のキジムナー(木に住む妖精)役は、ソプラノの砂川涼子さんだったのですが、2日めはテノールの中鉢 聡さんでした。
きっと受ける感じが違うのだろうな と思っていました。
 
まあ、どちらでも対応できるような柔軟な対応可能な役柄なのでしょう。
何しろ妖精なのですから。
 
日本語といっても沖縄の言葉なので翻訳のような感じで字幕が現れます。
日本語と、沖縄方言が混じって不思議な雰囲気ではあります。
しかし、テーマが地域開発と自然破壊という絡みが出てくるのですが、結局、そのテーマが結局どうなったのかがよくわからないのと、おとぎ話めいたお話がこの主題にどう絡むのかがよくわからなかった気がいたします。
 
このキジムナーのカルカリナに連れられて、昔の時代に遡り、そしてまた未来の何もない世界にも翔んだようなのですが、その未来の部分の描写が薄かったように思います。
あらすじを読んでいないとその主題がよくわからなかったように思うのです。
 
実はこのオペラを見ていて、雰囲気がお子さま向けに行われているニッセイこども劇場の劇団四季の公演の感触とよく似ているなあと感じていました。
 
わかりやすい音楽。
わかりやすいテーマ。
魔法のような力を持った主人公。
 
その違いは、少々時間的に長いことと、ミュージカルの主人公たちのように踊る場面がないということでしょうか。
もっとテーマを絞って、真ん中あたりに躍動感のある部分を作ると、ちょうどミュージカルの劇団として確立している公演になるように思いました。
劇団四季の公演は、商業演劇の団体として、削ぎ落とすものは削ぎ落として、やはり一つのステージにまとめ上げる力はかなりなものだと思うのです。
 
日本語のオペラで、よく知られているお話としては《泣いた赤鬼》もかなり印象に残っています。
こちらはお子さま向けのオペラとして上野の文化会館の小ホールでピアノを主とした編成の伴奏でしたが、オペラの作品としてよくまとまっていたように思います。
 
それよりは規模が大きくいろいろ工夫もされていたのですが、その劇としてのテーマ、オペラとしての音楽の要素がもっと前面にあっても良いような気がいたしました。
かなりセリフの量が多く、いわゆるお芝居のようでしたのでそういう気持ちがしたのかもしれません。
音楽のついた劇と、オペラの違いをどこに感じとるかということかもしれません。
美しいメロディーが胸を打つものとして迫ってきてほしいように思いましたが………。