木曜日いよいよ、この日に音楽会の曲を決めに行かないと、来週から学校が始まってしまいます。

1ヶ月ぶりの学校でした。

1ヶ月ぶりの音楽室に行って、候補曲をピアノを弾きながら、他の方に説明して、2曲の組み合わせを考えました。

あまり大変な曲だと自分たちで練習しきれないし、「あまり難しい曲にしてくれるな」という要望が出ていたので、2曲とも教科書に載っている発展教材から採りました。

「少し自分たちは難しいものにチャレンジしているんだぞ」という気持ちを持って欲しかったので、1年上の学年と2年上の学年の教科書の巻末に入っている発展教材の中から選曲しました。

2曲のうちの1曲はなんと  三善 晃作曲の合唱組曲に入っている曲です。

もう1曲は、今回学校へ行く準備ををしている時にヒョイと浮かんできた曲で、頭の中でその曲を流していましたら、今度出演する子どもたちの気質にぴったりと合っているように思えてきました。

実はこの曲は、以前いた学校で教えていなかった学年から直前になって時間がある時に聴いてくださいというオファーが来たので、聴きに行ったことがありました。譜読みの段階できちんとしておかねばならない、休符の扱い方、フレーズの歌い方がグチャグチャで、一応直そうとは試みたのですが、時すでに遅かったのです。

指導者自体がそこが大切な部分なのだという意識がないのですから治るわけはありません。

そんな悔しい思いをした曲だったのです。

本当に最初が肝心❗️

とまあ、木曜日、めでたく音楽会の演奏曲を決定いたしました。

 

 

昼間、そんな一仕事をして、一度家に帰ってから出かけました。

《イェヌーファ》でした。

何年か前に新国立劇場でこのオペラが上演された時、とても好評で聴きたいと思っていたのですが、都合で聴くことができませんでした。

今度どちらかで演奏される時には是非聴きたいものだと思っていました。

所属している研究会のミニ例会の時にこの上演のことを伺っておりましたので、先日チケットを購入しておきました。

場所が上野の文化会館の小ホールだったせいもあるのですが、お客様がぎっしりで満員御礼といった形でした。

しかも、自由席でしたので当然時間早めに行って、並ぶ人が多いだろうなと思いましたので、開場時間の30分前には着いて並ぼうと思っていました。

考えていた電車より一本早かったのですが、そのまま並びました。

大ホールは東京音楽コンクールの木管楽器部門の本選会のようで、こちらも長蛇の列でした。

大ホールの列と小ホールの列が重なってしまいました。係りの方が小ホールはこちらに2列に並んでくださいとして言っていましたので、そちらの列の後方に付きました。

これだけ混雑した中で、その2列の横に並ばれた方がなんとミニ例会でこの情報を教えてくださった方だったのです。お互いびっくりしましたが、おかげさまで今回は自由席ということもあり、なんらかのご縁があったのだと思われましたので、この《イェヌーファ》を一緒に鑑賞させていただきました。

普通会場でお会いしても、座席は指定席のことが多いし、オペラですともっと広い所が多いのでお会いする確率もあまり高くないのですが……

よっぽどご縁があったのでしょう。

 

小ホールのステージに、下手側にピアノ、ヴァイオリン、木琴の伴奏の楽器が、置かれて、その後のスペースに、椅子と譜面台が並べられています。 

ステージのしつらえとしては、後方の反射板の高い所に字幕を写すボードがあり、どうも指揮者のプレトークの時に、このオペラの序曲として描かれた《嫉妬》という曲を連弾で演奏されたのですが、その時に赤い照明があたっていましたので、今回は主に照明を使ってその時の気持ちや、状況を表すのだなと思いました。小ホールは天井までの高さが高いので、そういう使い方は充分できると思いましたし、ある意味高さがあるので視覚的な迫力もあるのです。

 

そしてステージ上の小さいスペースでの最小限の動きで、最大の効果が生まれるように考えられていました。それが「ステージング」ということなのでしょう。

 

一言で言えば考えていたより良かったのです。

全員日本人キャストで、伴奏もピアノ、ヴァイオリン木琴という、音色的にどうなのか?

言葉がチェコ語の方言ということなので、どう聞こえるのか?

演奏会形式で、しかも小ホールの小さいステージで表せる世界なのか?

 

いろいろな「?」があったのですが、それらは見事に払拭されていました。

木琴も水車のテーマを演奏していてそれがなる時には何か気持ちの動きがある時なのです。

そんな説明がされていると、木琴がなるとそこでどんな変化が起こるのかとこちらの心も動くのです。

 

まあ何しろ一番は歌手の方の熱演ぶりだと思います。

主人公のイェヌーファ役の小林厚子さんの第一声を聴いた時に、これは素晴らしいと思いました。低声から高声まで、喉のストレスなく豊かに出る声でいらっしゃいました。ですから会場の隅々まで無理なく広がっていく声でした。《ナヴァラの娘》の時は、ダブルキャストで、私は小林さんではない方の日でしたのでお聴きすることができなかったのですが、かなり評価が高かったのを覚えております。今回この機会を得てその時のことを思い出しました。

今回お聴きする機会があって良かったです。

皆さん楽譜を持って出て来られるのですが、小林さんはもう最初の時から楽譜から離れて前面のスペースでお歌いになるのです。そのような演出だったのlかもしれませんが、やはり演技と歌が彼女の中から身についたものとして放出され、このオペラがオペラとしての満足感を得られるものになっていました。もちろん全体を通して、ほかのキャストの方も熱演でした。

 

指揮:城谷正博

ステージング: 粟国 淳

イェヌーファ: 小林厚子

コステルニチカ: 森山京子

ラツァ: 琉子健太郎

シュテヴァ: 所谷直生

ブリヤ家のおばあさん :与田朝子

 

だいたい1人のことが多いのですが、今回休憩時間などにお話ができましたし、演奏も満足のいくものでした。

こんな機会も良いものですね。