彼らが教えてくれた。

人は家族以外の他の誰かを想い続けることが出来る、ということを。


彼らが教えてくれた。
想い続ける、ただそれだけで、他の誰かに元気を与えたり、勇気を与えることができるということを。


6月5日。

今年も彼女は、来てくれた。
飛行機が苦手な彼女は、陸路で東京から鹿児島までやってくる。
毎年欠かすことなく。


「ありがとう・・・」

これ以上の言葉が、他に見つからなかった。

申し訳なさそうに口にする姉のアタシに、
「私が来たいだけなんですから!」と、明るく笑う。

この会話を交わしたのも、今年で5回目になった。



ーピンポーンー

チャイムが鳴った。


玄関には、アイツの心友が立っていた。
「すみません・・・突然。」


雨にビッショリ濡れたまま、手には花を持っていた。

「あいつに手を合わせたくて。さっき鹿児島に帰ってくることが出来ました。」


東京から来てくれたアイツの心友は
高校からずっと共に歩み続けた、心の友。

アイツの青春時代を、共に泣き、共に笑い、共に生きていた。

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「ありがとう」

姉のアタシには、またしてもこれ以上の言葉が見つからなかった。


アイツと心友。高校卒業後、鹿児島から上京した二人は、
生活の全てを音楽活動に注いだ。

大学生生活の延長線にあるような、新社会人生活。

そして、もっと自由を!と仲間と共に起業した。

会社が軌道に乗れば乗るほど、自由は奪われていった。

アイツがいなくなり、ほどなくして、心友は独立した。
理由はいろいろあるに違いないが、
「アイツがいないと意味ないんで。」とアタシ達には言ってくれた。


帰ってきた心友は、
ひと回りもふた回りも大きくなっていた。

独立した彼は、今や日本各地に顧客を持つまでになっていた。

「すごいねー!立派になってーーー!!!」

アイツと共に生きてきた心友の成長が、とても嬉しかった。誇らしかった。

姉のアタシは、心友の活躍を、いつの間にか弟に重ねていた。


「僕、勝手にアイツと一緒に(会社)をやってる気になってるんです。
年に一度はアイツにいろいろ報告しないと気が済まないんです。
だから、きょうもすみません・・・突然。」


東京を拠点に、それぞれ活動をしている心友達が、
6月5日は、アイツの前にいた。

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6月5日。
アイツが旅の途中で旅立った日。

アイツの為に奔走してくれた心友がいた。

「俺の誕生日の日に、俺の前からいなくなるなんて。
《俺のことを一生忘れるなよ》って言われてる気がするよ。」



誕生日を迎えたアイツの心友から届いた一通のメール。

6月5日になる度に、
ハゲてて、太ってて、汗っかきで、
友達想いで、シスコンの、
最高なあいつを思い出すよ。

あいつは永遠に30歳で…一緒におっさんになりたかったなぁ…
あいつの分まで精一杯生きよう!

まだまだ旅の途中だから。


そう。人生は旅のようなもの。
一瞬で過去になってしまう今という瞬間全てが旅の途中。

旅の途中なのに、旅立ってしまったアイツ。

命があることは当たり前ではないんだと思う6月5日。

仲間をずっと思い続ける心友達の絆を尊く思う6月5日。

想い続けてもらえることをとてもありがたく思う6月5日。

そしてそんなアイツの姉であることを誇りに思う6月5日。



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~アイツの「旅の途中」より抜粋~ 

命の運びを信じるのも信じぬのも全ては僕等次第。 

戦う意味なんて戦わないと得られないぜ
戦う中にこそ大義はそこにある。

辛く悲しきこともあるだろう
それでも僕らは前に進むだけさ
それは旅の途中だから


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姉バカでかもしれないが、
アイツは世界でたった一人の最高の弟。

6月5日の度に思う。
よし。アイツの分まで、アタシも生きよう。


心友達へ、いつもありがとう。


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