東北関東大震災の時
人生初めてつくった漢詩。
10年前の作品です。
追悼、というよりは
諸行無常の世を詠じたもの。
鳥さんのモデルは
なぜかキセキレイでした。
旧枝寒未去
忽傳遠災難
地動諸家滅
濤來衆生殫
哀聲天下滿
虚想室中繁
生事當浮木
存身孰必安
昨年の枯れ枝にまだ春が巡らぬというのに、遠く北の方で大災があったとにわかに聞いた。地は揺れて人家はさながら崩壊し、津波が生きとし生けるものの命を奪ったという。哀しみの声が空の下に満ち満ちているかのようだ。私は部屋の中でやりきれない想いだけを抱えている。人生というのはあの波に漂う浮き木のようなものだろう。備えさえしていれば絶対に安泰だなんて、そうは言い切れますかい。
旧枝に寒 未だ去らざるに
忽ちに伝う 遠くに災難ありと。
地動じて諸家は滅(き)え
濤(なみ)來たりて衆生殫(つ)く
哀声 天下に満ち
虚想 室中に繁(しげ)し
生事 当(まさ)に浮木のごとし
身を存ずるも孰(いづれ)か必ずしも安からん
やすとも