1.地域循環共生圏について
 今度の新型コロナ騒動。何とも想像はできませんが、成り行き次第で、インフラ機能や公共システム、物資の流通が停止してしまう可能性があります。その時人々は、かの震災時と同じくして、自力で生き抜く力、自給自足の大切さに気付くのではないかと思います。大量消費、一極集中、グローバリズム。中央システムが破綻すると、その末端もドミノ倒しのように破綻する。現代の持続不能な発展モデルの脆弱さが浮き彫りになった時こそ、古代の人々が当たり前のように営んでいた、自立分散型の調和的なローカリズムが見直されることでしょう。311の震災を機に、自給自足のスローライフに憧れて、秋田にIターンUターンしてきた移住者を、私は何人か知っています。秋田、そして能代は資源豊かで、食とエネルギーの自給生活を可能とする土壌があります。自給力を有する人は、核戦争か原発事故でも起こらない限り、自然災害で孤立しても数日間は問題なく生活することができます。私の家庭も、ライフラインや物資の流通が途絶えようと、トイレットペーパーが売れ切れようと、一ヶ月は自給生活できると自負しています。自給力の重要性は、家庭単位でなくとも、集落、自治体、国家単位であろうと共通しているでしょう。あらゆる社会の変容に揺るがない持続可能な地域づくりには、前回の質問でも取り上げた、地域循環共生圏の構築なくして、実現不可能であると、改めて感じる今日この頃です。
 改めて説明しますが、地域循環共生圏とは、2018年4月に閣議決定された、第五次環境基本計画において、SDGs実現のためにも提唱されている施策です。地域資源を持続可能なかたちで活用し、各地域が自立分散型の社会を形成しつつ、農山村部も都市部も各地域の特性に応じて支え合える、循環型共生圏をつくる構想です。具体的には、太陽光、風力、水力、木質バイオマスなどの再生可能エネルギーで、エネルギー自給を目指す取り組みが主体です。能代市で例えるなら、檜山なら檜山、常盤なら常盤、梅内なら梅内、自然豊かな小規模単位の地域ごとに、エネルギーの自給自立体制を構築するということです。この地域循環共生圏の理念は、まさに私が議員になってから5年間提唱し続けている政策そのものです。環境省が本腰を上げて、本格的な循環型社会の形成に向けて動き始めたわけですが、これは私が現在の国策に抱くことができる唯一の希望です。
 それでは地域循環共生圏について順次質問しますが、①は自立分散型のエネルギーシステムについて。地域循環共生圏の考え方は、能代市が策定した次世代エネルギービジョンで掲げられている「分散型エネルギーシステムの構築支援」といった戦略に、相通ずるものかと思います。今後能代市は自立分散型のエネルギーシステムの構築を目指し、どのように取り組んでいくのでしょうか。
 次に②熱利用としての木質バイオマスエネルギーの普及について。地域循環共生圏における、再生可能エネルギーを活用した自立分散型社会の構想は、特に木質エネルギーに焦点が当てられています。能代市次世代エネルギービジョンでも、バイオマス発電・熱利用の評価として、十分なポテンシャルが認められており、「市内のバイオマス資源活用は、大規模ではなく地域単位などでの取り組みが適しており、地域主体の取り組みについて導入・普及を図る」とあって、まさに地域循環共生圏の理念に合致した見解です。また、平成三十一年度より森林環境譲与税を財源にスタートした森林経営管理制度が、今後順調に運用され、放置人工林の整備が進めば、自ずと木質エネルギーの原料となる未利用材は、長期安定的に供給されることになり、原料確保に心配はいらないでしょう。森林経営管理制度を円滑に運用するためにも、特に熱利用としての木質バイオマスエネルギーの普及が必要と考えますが、いかがでしょうか。
 次に③新設・更新の予定がある公共施設への木質バイオマスエネルギーの導入について。今後公共施設の長寿命化を図る上で、多くの施設の更新が見込まれ、また現在北高・東中跡地の利活用といった新規施設の整備も検討の俎上にのっています。公共施設に木質エネルギーが導入されれば、長期安定的に未利用材の需要が確保されます。地域循環共生圏の観点から、化石燃料から木質エネルギーに代替えすることにより、確実に地域内経済は好循環し、森林整備促進の糧になり、脱炭素化も図られ、波及的な多くの恩恵がもたらされます。ここで言う木質エネルギーとは、電気ではなく熱供給のことを差していますが、木質ボイラーは初期導入コストは高額なものの、化石燃料に比べて燃料代(ランニングコスト)が安価になる事例がほとんどであり、中長期的視点によれば問題ないでしょう。新設・更新の予定がある公共施設へは、木質バイオマスエネルギーの導入を検討すべきと考えますが、いかがでしょうか。

2.太陽光発電施設の乱開発防止について
 FIT導入により急激に普及した太陽光発電。太陽光発電は、再生可能エネルギーの主力電源でありますが、普及にともない業者と住民間のトラブルが全国的に増加しています。森林乱伐がもたらす土砂の流出や濁水の発生、景観破壊、反射光や騒音による生活環境への影響など。特に太陽光発電の乱開発の影響が浮き彫りになったのは昨今の豪雨です。2018年の西日本豪雨では、太陽光発電施設の土砂崩れが十数カ所で発生し、神戸市では新幹線付近の施設が崩落し、運行見合わせとなる事件も発生しています。無秩序な乱開発が蔓延した背景には、これまで太陽光開発に対する法規制が、ほとんどなかったことがあります。現在能代市内には、乱開発に該当するような太陽光発電施設があるかどうかは把握できていませんが、実は水面下で、甚大な環境破壊を及ぼしうる、中央資本企業によるメガソーラーの開発計画が進行しています。本来自然に優しいはずの再エネが、自然を破壊するような事はあってはなりません。
 それでは質問に入りますが、①は能代市が太陽光発電施設の開発に規制を設けているかどうかお知らせください。
 次に②森林を乱開発から守るための対策について。市内には保安林や制限林にこそ指定されてはいませんが、水源かん養機能や土壌保全機能、保健レクリエーション機能といった、高い公益機能を有している森林が、多く存在するものと認識しています。前項の通り、太陽光の乱開発がもたらす最大のトラブルは、森林乱伐による土砂災害です。保安林や制限林に指定されていない森林を、無秩序な乱開発から守る必要がありますが、そのための対策を何か考えられないでしょうか。
 次は③太陽光発電施設の適正導入指針の策定について。前項までに述べた乱開発問題に対して、何か防止策はないものかと思索する中、今年一月に地域循環共生圏の行政視察で訪れた群馬県川場村で「太陽光発電施設の適切導入指針」なるものに出会い、「これだ」と心の中で頷きました。その後調査してみると、現在全国で多くの自治体が独自のガイドラインや条例を策定し、乱開発に対処していることが判明しました。適正導入指針について、川場村を参考にしますと、出力10キロワット以上の事業用太陽光発電施設を対象とし、防災、景観、環境への配慮といった観点から、立地を避けるべきエリア、立地に慎重な検討が必要なエリアを明らかにし、業者が計画を進めるにあたって留意すべき措置を細かく示して、住民説明会などにより住民との合意形成を図るよう勧告しています。こちらの指針はガイドライン的位置づけですので、法的な拘束力はありませんが、条例策定により厳しく規制したり、既存の景観条例などによって対応している自治体もあります。
 また環境省も昨年十二月に「太陽光発電の環境配慮ガイドライン(案)」を策定しまして、従来太陽光発電事業は環境影響評価法の対象外でしたが、2020年4月から新たに対象事業に追加されることになり、国も乱開発を防止すべく腰を上げています。自然景観や環境保全のために、このような条例・要綱・ガイドラインによる規制は有効と考えますが、当市でも太陽光発電施設の適正導入指針を策定すべきではないでしょうか。
 次に④国土利用計画の役割について。昨年十二月に策定された第二次能代市国土利用計画の市土利用の基本方向で、森林には市土の保全・水源かん養等の多面的機能を有することから、その整備と保全を図る、また自然景観を活かして地域振興を図ると記載されています。国土利用計画は乱開発に対してどういった役割を果たすのか、お知らせください。

3.子育て支援について
 まず①は、来年度の子育て支援の方針についてお知らせください。
 次に②教材費など義務教育に掛かる経常的経費を行政負担できないかについて。平成三十一年度当初予算で計上された子育て祝い金制度。費用対効果が不透明、一時的な経済的支援よりも、経常的に発生する養育費・教育費を行政負担すべきという理由で反対し、特に教育費負担の縮減を図るべきと主張しました。なぜ教育費かと言いますと、憲法26条では義務教育無償化が謳われ授業料不徴収とし、教科書無償化措置法で教科書無償とはなっていますが、教材費などは学校集金で各家庭から徴収されていることに、甚だ違和感を覚えるからです。日本は教育への公的支出割合が、世界的に見ても極めて低水準で、OECD加盟国三十五カ国中、最下位なのは有名な話です。国民から徴収した税金を、子どもたちの個性と才能を育むゆとりある教育のために、採算度外視、じゃんじゃん惜しみなく費やすべきと、私は考えています。また、これまでの公聴活動の中で、子育て当事者の話を聞く機会が何度かありましたが、子育てでよりお金が掛かる時期は、大学進学を除けば義務教育以降という声が多くありました。子育て支援として、教材費など義務教育に掛かる経常的経費を行政負担できないものか、当局のお考えをお聞かせください。
 

 

 

落合康友