4年前の今日、父の秘書として訪韓した際に書いたメモ。残念な事に、あれから進展なし。
議員となった今、改めて責任を感じる。
(写真は昨年、板門店にて)

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※韓国出張メモ
(日韓関係について思うこと)
 
ゴールデンウィークは父に同行して韓国へ出張。
「どん底」と言われている日韓関係を何とか改善するべく、元大統領、元国務総理、元外務大臣、朴大統領の外交側近議員、与党セヌリ党若手議員、財閥の若手経営者等との本音の会談に同席した。
 
今回の訪韓では「このままいくと、日韓関係はダメになる」と強い危機感を覚えた。
 
韓国側の一般的な主張は「我々は植民地支配され、侵略され、慰安婦の問題もあった。36年間に及ぶ屈辱の時代を味わった。日本は過去・歴史を直視し、反省し、お詫びするべきだ。そうすればお互い前向きな明るい未来を向く事ができる」というもの。
 
これに対して日本側の主張は「1965年の日韓基本条約をもって過去は清算されている。官民併せて8億ドルの経済援助を行い、日本に対する一切の請求権の完全かつ最終的な解決としたはずだ。また、1993年の河野談話において慰安婦問題のお詫び、1995年の村山談話において植民地支配、侵略のお詫びをしている。更に1998年には小渕総理と金大中大統領による日韓パートナーシップを結び自由・民主主義、市場経済という同じ理念を共有している両国の関係強化・未来志向を宣言している。これ以上、何をどうすればいいのか」というもの。
 
*尚、竹島の問題は1952年の李承晩ラインを機に争点となっているが、基本的に「腫物には触れない方がよい」という考えを両国共に暗黙の了解としている気がする。
(ただし、李明博前大統領の竹島上陸等で度々論点にはあがっている)
 
つまり「反省した、していない、謝罪した、していない、賠償した、していない」を繰り返していても、根本的には何も進展していない。
 
一方で現状を見てみると、韓国は米国との安全保障含めた強い繋がりを基軸とした上で、中国との経済的繋がりを急速に強めている。更にASEANへの経済的展開も加速している。この様な状況下、日本は韓国にとってどういうポジションになっていくのだろうか。このまま喧嘩別れ的になるのか、または同じ民主主義、市場経済を共有する隣国として歩み寄るのか。こういう状況の時こそ「政治家のリーダーシップ」が必要になると思う。なぜならば今求められているのは「裁量者による覚悟と決断」だからである。「両国関係の未来をどうしたいか。どういう両国関係を後世に残したいか」。これを今のリーダー同士が本気で考え、覚悟を決めて決断するしかないと思う。
 
今年は日韓国交正常化50周年を迎え、また戦後70周年を迎える。この節目の年に何とか両国の関係を改善するべく道筋をつけなくてはいけない。6月には日韓国交正常化50周年式典や朴大統領による訪米、そして8月には安倍総理による戦後70周年談話がでる予定だ。それぞれのイベントが両国関係を悪化させる事も出来るし、改善させる事も出来る。先人達による歩み寄りを無駄にしないためにも、この節目に両国関係に明るい兆しが欲しい。

個人的には「歩み寄り」とはトップ同士の「我慢」だと思う。歴史的にも両国リーダーが要所要所で不必要に火に油を注ぐ行動をとっている。もちろん国家代表としてのプライドや譲れないポイントはあるだろう。しかし未来の両国関係を考えれば、ギリギリでグッと堪えるべき「我慢」ポイントがあると思う。そのお互いの我慢の積み重ねにより、少しずつ両国は歩み寄っていけるのではないだろうか。
 
個人的には韓国には仲間が沢山いる。今回の訪韓でも全斗煥元大統領、大学教授の友人、徴兵中の空軍の友人等と有意義なひとときを過ごすことが出来た。日韓は近い。地理的のみならず、人間的にも、心も、本来は非常に近いはずである。しかし、だからこそ、逆にここまでこじれてしまうのだ思う。
 
リーダー同士の覚悟と決断。2015年は両国にとって逃してはいけない、本当に大切な1年になると思う。