みなさま おはようございます。

今日は2023年12月11日、静岡県はJR浜松駅前に来ています。

 

 

時刻は早朝5時55分。

 

昨夜、新幹線ではるばる浜松にやってきたわけですが、こんな早朝から何をするかといいますと

 

こちらをご覧ください



静岡県No.1の人口を誇る政令指定都市・浜松市では、このたび行政区の再編がおこなわれることになり、現在7つある行政区は、2024年1月1日から3つになるそうです。

 

天竜区を除いたエリアで再編がおこなわれ、中区、東区、西区、南区と北区の一部は『中央区』に、一部を除く北区と浜北区は『浜名区』になり、旧区名は姿を消すことになります。

 

地理や地域史が好きな僕にとって、もう二度と見られなくなるものは自分の目で見て記録するしかないですね。

 

そこで、年内で見納めとなる浜松市の行政区の『区役所』と『カントリーサイン』を公共交通機関を使用して1日ですべて巡ろうと思います。 



区役所、これは説明するまでもないでしょう。行政事務をおこなっている建物です。区の心臓とも言えるでしょう。


『カントリーサイン』ってなぁになぁに?という方へ。

道路には制限速度や標識などたくさんの看板が設置されていますが、それらの1つに「ここから〇〇県だよ」「ここから〇〇市に入るよ」という目印となる看板が建てられています。これを俗にカントリーサインといいます。

▲カントリーサインの例


おおむね都道府県境や市区町村境の境界付近に設置されているのですが、立地の関係で本来の境界線とはずれた位置に設置されていたり、そもそも設置されていないこともあります。


「いつの間にか隣の県とか市町村に入っていた」なんて経験をお持ちの方もいると思いますが、カントリーサインは境を跨ぐすべての道にあるわけではなく、車がひっきりなしに往来する国道に無かったり、逆に人通りの少ない細い市道にあったりします。


今回は浜松市内の区を巡るので『区』のカントリーサインが目当てなのですが、予算の都合なのか、市よりも細かい区のカントリーサインは設置が省略されることもあるのです。


また、区の看板があったとしても気をつけなければならないことがあります。


例えば『北区』のカントリーサインを撮った場合、日本には東京特別区を含めて『北区』が12ヶ所もあるため、「お前本当に浜松市の北区の看板を撮ったのか?」と疑われてしまいかねない、という点です。


そこで『区』のカントリーサインだけでなく、『市』や『県』のカントリーサインもセットで見られる場所があれば、そちらを巡らなければならないこととします。


例えば浜松市南区は天竜川を挟んで磐田市と接しています。磐田市側から浜松市に入る場合、『南区』のカントリーサインだけでは浜松市に入ったことが分からず、「磐田市南区?」などと誤解を与えてしまうので『浜松市』のカントリーサインが必要になります。


先述の通り、すべての道に設置されているわけではないことも踏まえると、市の境には

① 何も設置されていない

②『浜松市』のみ設置

③『浜松市』+『南区』のセット

の3パターンが考えられます。

①を巡っても何も記録できないですし、浜松市が無くなるわけではないので②を巡っても仕方ありません。つまり、③の『浜松市』と『南区』が一緒に設置されている箇所を巡ることとします。


もちろん南区は浜松市の中区や西区などとも接していますが、同じ市内であるため境界に『浜松市』の看板は設置されません。さすがに分かっとるわ!となるからでしょう。

 

もう1つ例ですが、浜松市は地図を見ても分かるように愛知県とも接しているため、愛知県側から入る際は静岡県に入ったことが分かるように『静岡県』のカントリーサインが必要になります。

つまり、さきほどのパターンでいくと、県境では

①  何も設置されていない

②『静岡県』のみ

③『静岡県』+『浜松市』のセット

④『静岡県』+『浜松市』+『〇〇区』のセット

の4パターンが考えられます。

この場合は④を巡ることになります。


強さレベルで表すと、 区 < 市 & 区 < 県 & 市 & 区 となります。

それぞれの区における"最つよ"を巡っていきたいと思います。


今回は誰でもできるように公共交通機関を利用します。

はたして1日で巡り切れるのでしょうか。


前置きが長くなりましたがさっそく始めましょう。




6:00 出発



はじめに目指すのは浜松市役所(中区役所)です。まずは御本尊を拝みに行くといった感じでしょうか。まだ暗く人通りも少ない駅前を歩いていきます。


街路樹で無数の鳥がけたたましく鳴いていました。

歩道にたくさんのフンがあったので開幕早々服を汚さないよう避けて歩きます。

 

途中ピチャッ!と音がしました。ほんち〜!

 

6:17 浜松市役所(中区役所)

区役所:1/6  カントリーサイン:0/6

 

浜松市役所に到着しました。大きくてシックな庁舎がお出迎えです。早朝ながらチラホラ歩いている人がいてこんな時間に何してんだろ?と思いましたが、そういう自分もこんな夜明け前から役所の写真を撮っているので相手も何してんだろ?と思ってるはずです。お互い干渉しない程度の距離感を保ちます。

 

 

浜松市役所と中区役所が庁舎を共有しているようです。中がどんな感じになっているのか気になりますが、1箇所に時間をかけていると後々に響くので外観だけにしておきます。

 

区役所はこんな感じで区名が分かるように写真を撮りながら巡っていきます。


ちなみに本日浜松を彷徨くのに使用するのはこちら。

 

『浜松まるっとパス』

遠州鉄道、天竜浜名湖鉄道、遠鉄バスが乗り放題という優れ者。


電子チケット限定商品で、個人的にこういう電子チケット系は手元に残らないですしスマホの電池も消費するのでできれば使いたくなかったのですが、今回利用する公共交通機関の大半がこれ1つで乗れること、安かったこと、PayPay支払いできることが決め手となりました。

使用後の感想ですが、めちゃくちゃ便利でした。また浜松観光するときは使いたい。スマホの電池もなんとか耐えてくれました(個人差があります)。



来た道を戻り、ザザシティ前バス停に着きました。

ここからは公共交通機関の出番です。



ほどなくして舞阪駅行きの遠鉄バスがやってきました。バス停にとってもこのバスが朝一番のようです。浜松まるっとパスの利用を開始してからバスに乗ります。結構お客さんが乗っていました。



西区役所入口バス停で降りました。乗ってきたバスを見送ります。乗車時は分からなかったのですが、こんなラッピングバスだったんですね。浜松餃子食べたい。


さて、バス停名にもあるように続いては西区役所へ行きます。

突然尿意が来たので急いで区役所に向かいます。

 

7:11 西区役所

区役所:2/6 カントリーサイン:0/6

 
 

早朝ということもあり周囲には誰もいません。

近くの住宅の人が区役所を撮影する私を不思議そうに見ていました。見慣れた景色も誰かにとっては新鮮で貴重なものなのです。

 

区役所に隣接した公園の公衆トイレに駆け込み、事なきを得ました。街の公衆トイレほどありがたいものはありません。



厳つい遊具がある立派な公園です。川の対岸では新幹線が高速で通過していて1日が本格的に動き始めたことを実感します。

 

歩いてひとつ先の堀出橋バス停に来ました。ここから引き続き舞阪駅方面のバスに乗ります。




少し遅れてやってきました。通勤・通学時間ということもあり8割程度の乗車率でした。舞阪駅の乗り換え時間は少し短めでしたが、なんとか間に合いました。


舞阪駅からはJR線に乗ります。浜松ぐるっとパスはJR線エリア外のためICカードで乗車します。

 

豊橋方面へ1駅、弁天島駅で下車します。
首都圏のラッシュ時ほどではないですが立ち客も多くいました。


アニメ「ガヴリールドロップアウト」では舞天島駅として登場した場所です。聖地巡礼できて幸せです。


西の方角へ歩いて浜名湖にかかる橋を渡ります。

 

7:58 西区 カントリーサイン

区役所:2/6  カントリーサイン:1/6


この旅初のカントリーサインです。『浜松市』が高い位置に、『西区』が低い位置にセットで設置されています。西区は他の市町村と接していますが他県とは接していないため、この『市』と『区』の組み合わせが最つよです。


どうやら浜松市の区のカントリーサインは区名だけでなく浜松市の市章も併せて描かれているようです。区の看板だけでも浜松市であることが分かるのですが、一度決めてしまった以上は各区の最つよを巡るルールに従うことにしましょう。


このルールが何を意味するかと言うと、市の端まで行かないといけないということです。『区』のカントリーサインだけであれば浜松市内のA区とB区境に行けば1地点でAとBの2つを撮影することができ、短い移動距離と時間で達成できます。


しかし『市』や『県』のカントリーサインも、となると市境や県境を目指さなければならず、すなわちその場所は浜松市と他の自治体の境界地点ということになります。


浜松市は平成の大合併により岐阜県高山市に次いで日本で2番目に広い市町村となりました。……お察しのとおりです。


とんでもないことを始めてしまった。

ひとまず高山市が政令指定都市じゃなくてよかった。


*


弁天島駅に戻ってきました。



JR東海の駅名看板には駅の所在地が記載されています。1月1日からは西区ではなくなるのでここも変えないといけません。区の再編はかなり多方面に手間とお金のかかるプロジェクトであることが伺えます。駅名看板を全部変えると莫大なお金がかかるでしょうし、シールで上から(浜松市中央区)と貼り付けるんですかね。

 

弁天島駅からさらに西へ向かい、静岡県最西端の新所原駅で降ります。

 

 
この駅は駅構内に静岡県と愛知県の県境がある珍しい駅です。

ホーム端まで行きましたが何度スマホを振っても高く掲げても愛知県に入ることはなかったので、ホームは県境の手前で途切れているようです。ギリギリ愛知県に行けないもどかしい体験をすることができました。

 

 ▲目と鼻の先に愛知県


しれっと浜松市を出てしまいましたが、これは移動ルート的にやむを得ず、ここから天竜浜名湖鉄道に乗り換えて北上し、また浜松市へと戻っていきます。



JRの駅舎の隣にちょこんと佇むこちらが天竜浜名湖鉄道の新所原駅です。ここ新所原から金指、遠州森などを経由して掛川までを結んでいます。

駅員さんがいらっしゃったので浜松まるっとパスを提示し、入場します。既に車体全体にラッピングが施された列車が停車していました。車内は空いていて、割合としては観光客と地元の方が半々くらいでしょうか。



三ヶ日駅に着きました。列車の行き違いができる主要駅です。みかんが有名で、駅名看板にもそのことが書かれていました。みなさんも三ヶ日の名前を一度くらいは聞いたことがあるのではないでしょうか。


ここからはレンタサイクルを利用します。駅横のレンタサイクルの建物に行ってみたら閉まっていて焦りましたが、三ヶ日駅の窓口がレンタサイクルの受付を兼ねていました。駅員さんに声をかけて書類に住所・氏名などを記入し、料金を支払います。下調べでは分からなかったのですが、フリーパスを利用しているとレンタサイクル料金が半額になるようで、なんと破格の250円で借りることができました(実際は1,250円支払い、時間内に元の場所へ返却すれば1,000円返ってくる)。

 

どこに行くのと言われ、オタク特有の『アッ…』が出ます。『本坂トンネルのほうに…』というとヤバいですし(後述)、『浜松市の行政区を1日で巡ってて北区の最つよカントリーサインを撮りに行きます!』というと違うベクトルでヤバいので、適当に近くの神社へ行くと言っておきました。駅員さん嘘ついてごめんなさい。本当は『浜松市の行政区を1日で巡ってて北区の最つよカントリーサインを撮りに本坂トンネルへ行きます!』でした。


▲三ヶ日駅舎とレンタサイクル  三ヶ日牛バーガー美味そう


ヘルメットを装着し、目的地へ向けて出発します。北区は愛知県と接しており、最つよは『静岡県』『浜松市』『北区』がセットになったカントリーサインです。よっしゃ!北区の最つよゲットしに行くぜ!うおおおおお!!!

 

なんてノリノリで出発しましたが、北区の最つよカントリーサインは最寄りの三ヶ日駅から5.4Km離れた山間部。愛知県とを結ぶ本坂トンネルの手前にあります。自転車を漕ぎ始めて気がついたのですが、山間部にあるトンネルというのは"これ以上登るのが厳しいからトンネルを掘って山を貫いている"のであって、言い換えれば"限界まで登る"ということなのです。

 

普通に考えれば山道であることは想像できたのですが、行程を練っていた当時はいかに効率よく巡るかしか考えておらず、加えてマップを見るに、よくある峠道のようなくねくねとした道路ではなかったので気づくことができませんでした。だんだん勾配がキツくなり、ペダルを漕ぐのもひと苦労なくらいになりました。おかげで汗びっちょりです。

 

あとから調べたところ、出発地点の三ヶ日駅は海抜3m、目的地の本坂トンネル出口は131m。距離5.4kmで高さ127mを駆け上がったことになります。お疲れ、自分。

 

レンタサイクルで来るようなところではない道を汗だくの男がえっちらおっちら漕いでいたので、通り過ぎる車は必要以上に僕と距離をとって追い越していきました。完全に不審者だったと思います。

 

10:04 北区 カントリーサイン

区役所:2/6  カントリーサイン:2/6

▲国道362号 本坂トンネル 静岡県側出入口
 
▲『静岡県』『浜松市』『北区』が並ぶ光景は圧巻
 

坂をひたすら駆け登り本坂トンネルまでやってきました。車がビュンビュン通過していきます。ちゃんと歩道から撮影してましたが、こんなところ歩いてる人めったにいないので運転手からしたらトンネル入る寸前/出た直後なんかいた!怖!!ってなってたと思います。驚かせてたらごめんね。

 

この本坂トンネル、実は2つありまして、ここは後に作られた新道のほうなのですが、少し山を登ったところにある旧道のほうは心霊スポットとしてかなり有名(と言っていいものなのか…)のようです。駅員さんに余計な心配をかけたくなかったので言えませんでした。

 

下調べしてる際に心霊スポットである事実を知り、ストリートビューで見てみたらどことなく近づいてはいけない雰囲気を感じたので、こちらの新道のほうにしました。旧道にしかカントリーサイン無かったら泣いてましたよ。新道にもあってよかった。ありがとう浜松市。

 

本当はトンネル内が県境なのですが、看板が設置できないためトンネルの出口にカントリーサインを設置しています。しかしながら『県』『市』『区』の3つが並ぶのは気持ちいいですね、最つよ感があります。ここまで登ってきてよかったと思いました。1月1日から北区は一部地域を除いて『浜名区』に変わるので、浜名区バージョンも見てみたいですね。(フラグ)

 

登りに時間を費やしたせいで列車の時間まであまり余裕がなくなり焦りましたが、帰りはずっと下り坂だったので、登りの苦労は何だったのかと思うほどペダルを漕がずに市街地まで戻ってきました。



駅員さんに伝えた神社へは行けずに自転車を返却し、天浜線に乗って次のスポットへ移動します。また派手なラッピング列車でした。

 

途中、ゆるキャン△で全国的に有名になった浜名湖佐久米駅を通り、気賀駅に到着です。



中華料理店が同居しています。お腹すいた。しかし僕は区役所とカントリーサインを巡らなければならない。

11:08 北区役所

区役所:3/6 カントリーサイン:2/6

 
自転車漕いだ直後なので気賀駅徒歩2分という好立地がすごく助かります。趣のある造りの役所がお出迎えです。

 

細江町民憲章がありました。もともとは細江町役場だったのでしょう。それが浜松市北区役所となり、2024年1月1日からは浜松市北行政センターとなるようです。区役所と行政センターの違いはあまり無いようで、区再編後も変わらぬサービスを受けられるようです。

 

もうちょっとゆっくりしたいところですが、バスの時間が迫っているのですぐ移動します。



気賀駅から少し歩いた道路沿いにある片町バス停から乗ります。

気賀駅前にもバス停はありますが、気賀駅前を経由しない系統が先に目的地まで行けるのでここから乗ります。地方のバスだと駅前を経由しないことよくありますよね。


さて、浜松市の北区まで来ましたが、ここで進路を南に変えます。
浜松駅行きのバスに乗ります。

写真は撮れませんでしたが途中三方原地区を通りました。三方原といえば武田信玄が織田信長・徳川家康連合軍に2時間ほどで圧勝した戦いで有名な場所です。この三方原地区は北区に位置していますが、区再編後は浜名区ではなく中央区になります。

順調に走っていましたがここでトラブル発生です。
恐れていた渋滞です。

今日は平日の昼間なのですが、車が詰まってノロノロ運転が続き、どんどん遅れ時間が増していきます。次のスポットに向かうために浜松駅でバスを乗り継ぐ予定でして、乗り継ぎ時間は12分確保してあるのですが間に合うでしょうか。

浜松駅に着き、急いで次のバスののりばへ向かいます。



そこにバスはいませんでした。

結局、終点の浜松駅には18分ほど遅れて到着したため、乗り継ぎ予定のバスは既に発車してしまっていました。ここまで順調だっただけにショックが大きかったです。安全に目的地まで運転してくださったのは感謝しかありませんが、定時性に欠けるのがバスの欠点です。

行ってしまったものは仕方ないので急いで行程を立て直します。タクシーを使うか、別のところから攻めるか、その場合バスはあるか、乗り継ぎは上手くいくかなどなど。

調べるのに時間がかかってしまい、そうこうしているうちに乗れなかった系統のバスがやってきました。まだ調べている途中でしたが同じルートで追いかけてどこかで追いつこうという結論に至ったので、とりあえず乗り込みます。


30分遅れて浜松駅を出発です。


新崎裏バス停で降りました。バス停から目的地まで離れているので少しでも遅れを取り返すために走ります。工事現場の誘導員にガン見されても走ります。


まだ挽回できる。めげない、しょげない、泣いちゃだめ。

13:22 南区役所

区役所:4/6  カントリーサイン:2/6


 

街外れも甚だしいところにある区役所です。

周囲にお店などは無く、閑散としたところです。

(訪問後にセブンイレブンが新規開店したようです)

 

バス停はありましたが、タクシーは停まっていませんでした。

 

さて、再度最適ルートを調べましたが、このまま南区役所から浜松市東部へ直接行くバスは無く、このまま本来のルートを追いかけていては一生追いつかないどころかむしろ差が開いてしまいます。恋愛やスポーツと似ている部分を感じました。


行程に復帰するにはタクシーでショートカットするのが1番良さそうでした。すぐに遠州タクシーに電話します。近くにいないようで、少し時間がかかるとのことでした。そわそわしながらベンチで待ちます。タクシーに乗っても本来の行程に復帰できなければ無駄課金になってしまうかもしれません。このタクシーに懸けることにしました。

 

10分も待たないくらいで1台のタクシーがやってきました。名前と行先を告げ、南区役所を出発です。



最近は地域に詳しいタクシーの運転手が乗客の行先やその伝え方、車内での様子などから犯罪グループの受け子などを見抜いて通報する事例があるようです。

こんな車で来るような街はずれの区役所から大きいリュックを背負った男がスマホ片手に乗ってきて曖昧な行先を言おうものなら120%怪しまれるので、自分土地勘ありますよ感を装い「河輪町のバス停がある辺りまで行きたいんですけど、あの橋渡る前の」と慣れた口調で伝えました。正直に旅行してるって言えばいいだけなんですけどね。

運転手さんは信号や交通量の少ない裏道を通ってくれました。途中信号待ちなどもなく非常に快適でした。


注文通り橋の手前で降ろしてもらい、橋まで歩きます。天竜川の看板が見えてきました。

 

13:50 南区 カントリーサイン

区役所:4/6 カントリーサイン:3/6

 

本来は徒歩とバスを使って行く予定だったところをタクシー課金でチート移動した結果、1,800円ほどかかりましたが30分の遅れを回復し、本来の行程に復帰することができました。タクシー課金チャレンジ成功です。


天竜川にかかる掛塚橋の手前、『←太平洋岸自転車道』の看板の下に南区の最つよカントリーサインがあります。


せっかくタクシーで急いで来たのにすぐ去らないといけないのが悲しいですが中華料理店の脇にある河輪バス停から遠鉄バスに乗ります。




橋の向こう、磐田市側からやってきました。天竜川を跨ぐ系統もあるようです。


途中の相生南バス停で降ります。乗り継ぎ時間に余裕があったので終点の浜松駅で乗り継いでもいいのですが、乗り継ぎ先のバスも近くを通るため、相生南バス停から相生バス停まで歩いてワープします。

 

あと1つ問題がありまして、飲料は持っていたので水分補給はできたのですが、食料を持っておらず、ここにきて空腹の限界が来ました。


気づけば昨夜23時頃すき家で牛丼を食べて以来、ここまで何も食べていませんでした。腹が減ってはなんとやら。相生バス停前のスーパーで食料を調達します。


ただ昼過ぎという時間帯が悪かったのか、お弁当コーナーは品薄で3個入の太巻きしか買えませんでした。育ち盛りにはツラいですがとりあえずこれで耐え凌ぎます。



警察署前にある相生バス停から乗ります。バスの接近をランプで知らせてくれるの便利でいいですよね。あとちょっと一世代前って感じがしてかわちい。


少し遅れてバスが来ました。
疲労と空腹で撮影対象を正面に捉えられなくなっています。


乗車時は結構席が埋まっていたものの、だんだんと降りていき、僕が降りる中野町バス停時点では自分含めて2〜3人しかいませんでした。

バス停から歩いて1〜2分で到着です。

 

15:03 東区 カントリーサイン

区役所:4/6  カントリーサイン:4/6



国道1号、天竜川にかかる新天竜川橋を渡る手前に東区の最つよカントリーサインがあります。これまでは区のほうにも浜松市章が描かれていましたが、東区はその部分がぽっかり空いています。独立精神が強いのでしょうか。


しかし、これにより最つよを巡るルールが意味を成してきました。

ありがとう東区。大好き東区。



また、国道と並行する県道261号線でも同様に最つよカントリーサインを見ることができました。県道は『区』を省略し『浜松市』だけ設置されているパターンが多いのでかなり珍しいです。細かいですけど柱に付いている「東区中野町」の表記も、2024年1月1日からは「中央区中野町」に変わるのでしょう。

 


頑張れば国道と県道2つの最つよを同じ画角に収めることができます。推測なのですが、もともとは左側の県道が国道1号で、新しく造られた右側の高規格な道路に国道を譲ったのではないでしょうか。

 

W最つよが見られて興奮していましたが、次の地点に行かないとバスに乗り遅れるので出発します。


ここから次の東区役所までは徒歩です。少し押しているので早歩きで向かいます。歩道が狭いのに交通量が多くて、大型トラックが横を通るたびにヒエエエエ!って言いながら歩きました。

早くこの道から逸れたい!と思う気持ちも相まって意外と早く着きました。

 

15:26 東区役所

区役所:5/6  カントリーサイン:4/6


 

工業団地の一角に区役所があります。車が多く停まっていました。

区再編後は中央区になり区役所も移転、北区と同じく行政センターとして機能するようです。

 

 

東区役所近くの産業展示館バス停から浜松駅方面へ向かいます。すでにバスが停車しており、どうやらここが始発のようです。


浜松の公共交通網は浜松駅を中心に放射状に伸びており、浜松駅へ向かうのは簡単ですが、それ以外へはバスを乗り継がなければならなかったりするので自家用車に優位性があるように感じます。

タクシーについても各地にタクシープールが点在しているわけではなく、浜松駅を基地として動いているようでした。


最初は貸切状態だったバスも浜松駅に近づくにつれて乗客が増えていきます。

 

乗り換え時間が短かったことと少しバスが遅れたこともあって降りたバス停の写真が撮れませんでしたが、浜松駅手前の「県総合庁舎」というバス停で降りました。女性のバス運転手さんでとても丁寧な運転と放送でした。


ここから遠州鉄道に乗り換えます。


 

気賀駅以来、久しぶりの鉄道です。

 

遠州病院駅は無人駅で電子チケットを見せる人がいませんでした。一瞬焦りましたが有効な乗車券は所持しているのでそのまま改札内へと入場し、電車に乗ります。

 

 

4駅乗って上島駅で降ります。帰宅時間帯で電車内は込み合っていました。僕が浜松市内をウロウロしているうちに人々は仕事や学校を終え、家路に就こうとしています。僕もあとちょっとで退勤(?)です、頑張るぞい!

 

16:32 中区 カントリーサイン

区役所:5/6  カントリーサイン:5/6

 

中区については他の市町村と接していないため、『中区』のカントリーサインのみが最つよとなります。ここは下を流れる馬込川が中区と東区の区境になっており、橋の中央付近にカントリーサインが設置されていました。


区再編後は中区も東区も同じ中央区となるので、年越しと同時にこの境は消滅することになります。これからは同じ区民になるのも面白いですね。外の人間からしたら区の統合って結構大きいことだと思うんですけど浜松市在住の方は「区」をどのくらい意識しているのでしょうか。

 

カントリーサインを撮影してたら橋の下の河川敷にいた小学生2人組がこちらを見ながら何やら話していました。なんか今日浜松に看板の写真撮ってる変なやつがいるらしいぞ、と噂になっているのでしょうか。キッズよ、お兄ちゃんはな、忙しいんだ。

 

駅間が短いので、上島駅に引き返さず1駅歩いて自動車学校前駅から再び遠鉄電車に乗ります。



駅のホームがめちゃくちゃ狭くて怖かったです。昔の春日野道みたいです。

こんなに狭いのにベンチやゴミ箱があって驚きました。黄色い点字ブロックを踏まないと歩けません。



5駅進んで浜北駅で降ります。帰宅ラッシュ真っ只中で、この駅で大きい乗降がありました。遠州鉄道の拠点駅の1つです。

 

17:01 浜北区役所

区役所:6/6  カントリーサイン:5/6



駅前の複合ビルに区役所が入居しています。北区と肩を並べる近さで、旅の後半戦に勢いを与えてくれます。ここは区再編後も浜名区役所として機能するようです。


合併前は浜北市という自治体で、浜松市と合併後も「浜北区」としてその名を残していましたが、区再編によってついに「浜北」の名を手放すことになりました。


ただ、手放すとは言っても消滅するわけではなく、駅名をはじめ周辺の地名としては残りますので、浜北の皆さんには今後も浜北の名前を愛してほしいと思います。


しかしさっきから若い学生さんが頻繁に出入りしています。若い人が役所に来やすいような施策でもあるのかしら、どれどれ?と思って入ってみたら図書館利用でした。勉強お疲れさまです。


これで見納めとなる区役所はすべてクリアしました。残すはカントリーサイン1箇所です。




12分間隔で電車が来るのでサクサク進みます。全区間単線にもかかわらず各駅の行き違い設備を巧みに利用してこのパターンダイヤと定時性を実現しているようです。時間帯に応じて増結したりもしていて、とても好感が持てました。

電車が来るようです。接近メロディーが首都圏のJRの駅のそれと同じで一瞬15両編成が爆速で入ってくるのかと錯覚しました。


終点の西鹿島駅まで乗り、気賀駅以来の天浜線に乗り換えます。



天竜二俣駅に着きました。完全に夜ですが、実はまだ17時台です。車は走っていますが歩行者はほぼいません。街灯も少なめで暗いですが元気に歩いていきましょう。



向かってくる車のハイビームでムスカになりながら歩きます。


大きな橋が見えてきました。天竜川をわたる飛龍大橋です。

 

17:43 天竜区 カントリーサイン

区役所:6/6  カントリーサイン:6/7

 

天竜区のカントリーサインをゲットすることができました。天竜区は区再編後も変わらないため今回の企画では巡らなくてもよいのですが、ルート上、巡らざるを得ない場所になっています。


著作権うんぬんの関係でGoogleマップを貼れないので、お手数おかけしますがマップをひらいて飛龍大橋と検索するか、磐田市と検索してみてください。

 

降り立った天竜二俣駅は浜松市の天竜区、天竜川をわたる飛龍大橋の対岸は同市浜北区なのですが、天竜区と浜北区の間に磐田市が少し入り組んでいます。

そのため、これから行こうとしている浜北区のカントリーサインの前に『浜松市』+『天竜区』のカントリーサインを見ることができます。

 

磐田市のこの絶妙なでっぱりが無かったら、橋を架ける場所が違っていたら見られない光景でした。磐田市ナイス!

 

2024年1月1日以降も、この2区は統合しないため、浜松市浜名区と浜松市天竜区のカントリーサインが近くで見られる場所になるはずです。

 

ちなみに天竜区の最つよカントリーサインは、ここから直線距離で24kmほど離れた愛知県境にある『静岡県』『浜松市』『天竜区』がセットになったものです。

最寄駅はJR飯田線の浦川駅ですが、浜松市街地から浦川駅方面は山がそびえていて、バスもまったく走っていないため、公共交通機関だと一度豊橋まで行ってから飯田線で北上するしかありませんでした。全区巡りだとどうなっていたことやら…(フラグ)

 

17:47 浜北区 カントリーサイン

区役所:6/6  カントリーサイン:7/7


▲有終の美


天竜区のカントリーサインから徒歩30秒ほどで到着です。橋の片方にしか歩道がなかったので接近できませんでしたが、たしかにこの目で最後の1つを確認しました。

これにて見納めとなる区役所とカントリーサインをすべて巡りきりました。タイムは11時間47分でした。やった。

 

達成したからと言って誰かが迎えに来るわけでもないので天竜二俣駅に戻ります。


*


18:49 浜松駅(ゴール)



浜松駅に戻ってきました。

達成感と疲労感に包まれてピントもろくに合っていません。


一刻も早く背中のリュックを下ろしたい。そして何か食べたい。せっかく浜松に来たのに浜松らしいものを食べていません。これでは浜松の方々に「お前ただウロウロしに来ただけか!金を落とせ!」と言われてしまいます。


新幹線までのわずかな時間で売店に行き、駅弁とビール、お土産に冷凍餃子を買いました。

 

新幹線に乗り込み、浜松から高速で離れながら食べます。


 

めちゃくちゃ美味しい。思わず「うめぇ…」の声が漏れてしまいました。

よほど美味しそうに見えたのか、通路を挟んで向かい側の人に2秒くらい見られました。

 

たぶんあの人、次の日餃子食べただろうな〜と前向きに捉えつつ、旅を振り返ります。


 


今日は約13時間ほど浜松に滞在しました。


浜松市によると今回の区再編の目的は「急速に進行する人口減少や少子高齢化、WithコロナやAfterコロナにおけるライフスタイルの変化や日常生活でのデジタル化の進展など、激変する社会経済環境に対応し、将来にわたって行政サービスを維持・強化するため」としています。


平成の大合併という言葉があるのなら"令和の再合併"とでもいいましょうか。


市が直面している人口減少・少子高齢化をはじめとした諸課題に対して、将来を見据えて「区再編による行政組織の見直し」という大プロジェクトを実行できたのはすごいことですし、他の自治体への刺激にもなったはずです。


人口減少や少子高齢化は浜松市に限った話では無いので、今後このような事例が他の自治体でも起こると思います。「昔はこうだった」「以前はできた」はもう通用しない段階まで来ています。


変化を恐れず、状況に合わせて柔軟に生きていきましょう。




拙い文章を最後までお読みいただき、ありがとうございました。


おわり