アメリカでの成功、そしてロックスターになることを夢見ていた世界の数多くのロックバンドが方向性を見失い、
焦り、
模索し、
戦い疲れ、燃え尽きて姿を消していった90年代初頭。
スウェーデンのTREATも、そんなバンドのひとつでした。
「THE FINAL COUNTDOWN」を80年代にアメリカで大ヒットさせ、世界的に有名になりましたが、あとに続く北欧のバンドがいなかった。
この時代はアメリカでの成功がステータスであり、世界中のミュージシャンはみんなそこに向かって頑張っていたように思う。
世界のロックシーンが劇的に変貌していった1992年に発表されたTREATの5枚目のアルバム「TREAT」
アルバムの音楽的方向性に疑問を抱き、作品制作途中でバンドを脱退。
バンドは後任に、
ロバートとはまったくヴォーカルスタイルの違う男を選んだ。
元スウェディシュエロティカ、
後にイングウェイマルムスティーンバンドでも歌うことになる、
「マッツレヴィン」なる男をヴォーカリストに迎え、5thアルバム「TREAT」(1992年)を完成させる。
バンド名をアルバムタイトルにするのは、バンドが大事なターニングポイントにあることを意味し、
そしてメンバーの様々な思いが込められている。
’’また1からのスタート’’とゆう意味合いもあったのだろうか…?
…と当時は感じた。
過去作4作品と比べるとキーボードサウンドを抑え、
かなり男臭い音作りになっており、マッツレヴィンのザラザラしたワイルドな声質もあってか、かなり荒削りなロックンロールとゆう印象をうけた。
アメリカナイズされた曲がほとんどで、これは全く別のバンドではないのか? …とゆう錯覚すら感じる。
しかしこの作品が、
グランジやヘビーロックに変貌したわけではなかった。
TREATらしさを残していた。
TREATは、この時代のアメリカのバンドにはない独特な個性があり、
北欧のバンドらしい透明感のあるサウンドや哀愁ただようメロディーが特徴のハードロックバンドであった。
5thアルバム「TREAT」は変貌する90年代の世界のロックシーンの中で苦しみ、もがきながら発表されたのだろう。
当時、このアルバムの音を聴いて僕はそう思った。
しかし。
結果的に時代の波にのまれ、アルバムはヒットすることもなく。
たいした話題にもならず。
バンドは、
このアルバムの小規模なライブツアーを終えた頃…。
ひっそりと解散した。
世界はTREATのような音楽を求めてはいなかった。
目まぐるしく変化する音楽シーンの中、僕もTREATとゆうバンドが存在していたことすら忘れてしまっていた。
人間の記憶とゆうものは、
時として残酷。
しかし。
解散から約18年後の2010年。
オリジナルメンバーであるヴォーカリストのロバートアーンルンドが復帰しての再結成復活アルバムが突然発表された。
2010年
アルバム「Coup De Grace」
予兆はあったのだろうが、
僕からしてみれば突然のニューアルバム発表でした。
そして、
素晴らしいメロディーが詰め込まれた名盤に仕上がっていた。
そして2016年には、
アルバム「Ghost Of Graceland」
を発表。