4年前のオリンピックは、まだ記憶力があった。

宇野昌磨君が銀メダルを取ったことを母は分かっていた。

それから数年後、いや数ヶ月後、母の脳内にどんな変化があったのだろう。

北京オリンピックの2年後には、大好きだった浅田真央ちゃんや羽生結弦、宇野昌磨のことは、もう記憶の中になかった。スケートのグランプリ大会を見ていても、喜んで見ていてた。

それが4年前で、今はもうここにはいない。

坂本選手や17歳の中井選手の演技を見たら、僕と同じように涙を流して見ていただろうか。

僕は確信する。

あの17歳の子の演技を見ていたら、母は「あや-、めんけごと。」と絶対言っている。

なんだかそんなささやきが聞こえてくる。

亡き母につながせてくれた、オリンピック、ありがとう。心から。