角田光代 「トリップ」

普通の人々が平凡に暮らす東京近郊の街。

駆け落ちしそびれた高校生、クスリにはまる日常を送る主婦、パッとしない肉屋に嫁いだ主婦ーーー。

何となくそこに暮らし続ける何者でもないそれらの人々がみな、日常とはズレた奥底、秘密を抱えている。

小さな不幸と小さな幸福を抱きしめながら生きる人々を、透明感のある文体で描く珠玉の連作小説。