「聴覚障がい者」手話歌にクレーム？我が子の本音と取り巻く背景

一般社団法人　ステキな音色研究所

菅野康広（かんのやすひろ）
講演家　セミナー主催　個別相談　

聞こえない子供を育て上げた経験から子育てに不安の方々の悩み解決

　こんばんは、菅野です！

少し前の夜、家にひょっこり現れたろうの子供、車があったのですぐに分かりました。仕事が終わって寄ったみたいです。姪っ子に会いに来たのか？それとも飯を食いに来ただけなのか？どっちにしても顔を出してくれることは親としても嬉しいです。僕たちは今、息子夫婦と暮らしています、お孫ちゃんも一緒に。その日はお嫁さんのおじいちゃんの法事で息子夫婦がいなかったので、凄く静かな1日でした。子供が家にいないと寂しいなーって感じます。孫の存在がどれほど大きいか。毎日癒されています！

話を戻しますね（笑）

僕と家内とろうの子供3人で食事をしている時に子供が「TIKTOKで手話歌をアップしている人多いよね」と言っていました。それに対して文句まではいかないですが、なにやら”不満”があるようです。不満とは、手話を知らない人が手話歌だけをやっていてあたかも「私は手話出来ます！」的な感じがあるから、と言っていました。

今、手話歌をshort動画にアップしている人、とても多いですよね。僕は手話歌を通して手話が認知される！と思っていたので、ろうの子供がいる僕からすると、嬉しい事だと感じていました。でも、本人たちは少し捉え方が違っているようです。

子供は、「手話を振付の一部のように使われている」「歌詞にただ手話単語を合わせているだけで意味がつかめない」「健聴者の自己満にすぎない」的なことを言っていました。

「何ともまぁ・・」と思いましたが、逆にそれだけ手話を大事にしているという事になります。僕たち健聴者が考えているよりももっと手話を大切に扱っていて、そしてデリケートな部分なのです。今手話って少しづつ認知されてきてテレビやメディア等でも取り上げられていい感じになっています。

今だけをみると手話ブーム的な要素が強くありますが、聴覚障がい者の立場で言えば多分、昔からの差別や偏見という苦しかった背景や目には見えない本人達でしか分からない事や社会と戦って来た「プライド」もあるのだろうと察します。

昔は現ろうあ連盟が設立して70年以上が経ちます。今はあからさまな差別や偏見はずい分と少なくなってきたと言えますが、昔は多かったと聞いています。聴覚障がい者を”ろう者”と言います。でも昔は聞こえない話すことが出来ない人たちを”つんぽ”と言っていたそうです。手話で会話していれば笑われて、声をだすと”変な声”と言われ、車の免許も障がい者という事で国が認めない（道路交通法第88条）

蛇の目寿司事件、寿司店内で二人の聾者が手話による会話をしていたところ、別の客三人から好奇の目を向けられ、やめるよう伝えても改まらなかった。そこで、席を立って客の肩を叩き注意を促したが、逆に殴られケンカとなった。店の主人が仲裁に入ったが、口で呼びかけても通じないためか食器（下駄もしくはボウル）でろう青年の頭を打ったため、今度はろう青年と主人とで争いになる。ろう青年に投げ倒された店主はコンクリートの床で後頭部を強打し、翌朝病院で死亡した。（Wikipediaから引用）

そんな時期、肩身の狭い生活を余儀なくされていた時代です。

でも本人たちは笑うしかなかった、いつもニコニコしているしかなかったのです。時代と共に少しづつ手話が認知されて、本人たちも自らの声で（手話）主張することが出来るような時代に変わって来た。今の若いろう者もそのような話は先輩のろう者から聞いていて少しは知っていると思います。

やっと認知されてきた矢先に「もっと大切に扱って・・」という想いが強いのかと。

障がい者も自分の意見を言えるようになってきたという事は良い時代になって来たし、手話や聴覚障がい者が認知されてきたという事です。認知されれば色んな人も出てくるという事も知っておくべきだと思います。手話歌をどの様に受け止めるのか？は本人たちの受け止め方次第です。今日のテーマでもある「手話歌」を観て”手話に興味をもち手話を学び始める人もいる”という事も頭に入れておく必要があると思います。良い面もあるということです。

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