10月4日のアンサンブル・デルフィヌスに続き、新しい活動グループ、「ネオンシーナ+笠松泰洋」のライブが次の日曜、11月10日に迫ってきました。午後2時半開場、3時スタートで、渋谷公園通りの中程、山手教会の右側の駐車場入り口をそのまんま歩いて降りていくと右側にある、公園通りクラシックスです。昔ジャンジャンがあった場所です。

 

 この「ネオンシーナ+笠松泰洋」というグループはまだ20代前半のダンサー杉本音音さん(ネオンと読みます、本名!)とピアニスト松木詩奈さん(シーナと読みます、これも本名!)の2人に、ちょうど親くらいの私が加わった3人のグループで、私は監修、監督的な立場に年齢やキャリアからするとなってしまうのですが、若い2人がかなり主体的に行動し、私が意見を言ったりフォローする、という感じが強く、3人が基本対等な立場で活動していこうとしています。実際に演目も、プログラムの順番も、杉本さん松木さんで決めています。リハーサルも2人だけで半分はやって、笠松はある程度形になってから参加する感じ。笠松はここでは、オーボエ、ズルナ、メイ(duduk)などのダブルリード奏者として演奏に参加し、かつ、作曲もし。ます。

 

 実際にやってみて、自分だけでは思いつかないライブ形態になってきました。音楽家とダンサーがそれぞれ、音楽について説明し、ダンスを見ていろいろ意見を言い、また、ダンサーが音楽家にいろいろ質問し、思うところやどうしてこう踊るかを言って、それぞれがやりとりを重ね、時間をかけて作っています。

 

 これも杉本さん松木さんの考えて、前半はバッハの平均律第1巻の3番と、私のピアノ曲「A garden in the south, or solitude」ですが、ピアノだけでバッハを弾き、次に2人の動きがあって、踊りとピアノでもう一度同じ曲をやり、続けて「A garden in the south, or solitude」をやって、続けて踊りがついて同じ曲をやる、という構成で、それ全体を一つの作品として上演することになりました。後半は、オーボエ属を私が演奏し、松木さんのピアノとで即興演奏、それに即興のダンス、続けて私のオーボエとピアノの為の「二つの夜」、そして続けてメンデルスゾーンのピアノソロのための「無言歌集」より「失われた幻影」をダンスと共に。これもこの3つを続けて一つの作品として上演します。私には考え付かなかった上演スタイルです。切れ目なく、あたかも3つの楽章が切れ目なく演奏されるように、演奏もダンスも一体となって進行します。

 

 個人的には、オーボエを人前で吹くのはそろそろ終わりかな、と思ったことがしばらく前にありました。いろいろな事情で14年間続いた新オリエント楽派が活動を休止し、定期的にオーボエを吹く機会がなくなりました。オーボエは、発音体のリードは消耗品で、作り続けないといけないし、楽器のメンテナンスも大変で、唇の筋肉も常に鍛えていないとすぐに落ちて、演奏が出来なくなる厄介な楽器です。プロの方々も、60歳あたりで公開の演奏を止める方も多いです。演奏していると、息がつらく、水泳をしているようなものです。少人数のアンサンブルや独奏となると、かなりの時間吹き続けますから、走り続ける、泳ぎ続けるような感じです。この先は、ズルナとメイ、duduk(トルコやアルメニア、イランの篳篥(ひちりき)です)は依頼があれば演奏するとして、オーボエはそろそろ終える時期なのかな、とも思っていたのですが、松木さんが私がオーボエを吹かなくなるのは残念だから、と、この機会を提案してくれました。

 この2年間、色々と影響を受けたケーナ奏者の岩川光氏と文化交流使として一緒に南米を旅して、各地で彼の演奏を聴くだけでなく、管楽器の演奏というものを間近に見ていろいろ学ぶことが多かったので、これまでとは違う徹底したアプローチと準備をして今回の演奏に臨もうとしています。別にオーボエの演奏家を目指す、ということではなく、自分の考える音楽を演奏という形でも実践していきたいと思ったということです。ダンスと音楽の関係をもう一度考え直して、ダンスと音楽の会をやっていきたいとここしばらく思っていました。これまでに一緒に仕事をしてきた日本のトップクラスのダンサーが方々とも、もう一度、じっくりとやってみたいのですが、全く若い世代の人たちと、自分ももう一度ゼロから作品を作ってみたい、という思いもあり、それがこのような形になりました。曲も提供し、既に存在する曲でダンスを作る場合も、音楽家として意見を言い、自分の曲も提供して、音楽家としての自分が納得する音楽とダンスのあり方を追求する、という試みです。

 

 初回は、もうすぐですが、予約も多く頂き、席は若干しか残っていません。当日予約なしにいらっしゃる方は立ち見になる可能性もありますが、この試み、ぜひ、お付き合いください!!