旦那の人生を終わらせる判断 | 好きなモノに囲まれて゜:。* ゜.

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トランペット歴30年
大野智クン
旦那の闘病blog
(﹡ˆ﹀ˆ﹡)♡
申請は✉に一言‍♀️
アメンバーも同様

22日の朝
いつものようにトイレに行って
部屋に帰った旦那
しばし 時間を置いて
部屋を覗くと
ベッドに腰掛けてた
「どうしたの?」
と聞くと
「別に…息を整えてるだけ」
そう言ってまた俯く
少しして
ご飯の呼び掛けに行くと
同じ体勢でいた
「苦しいの?」
「ちょっとね…」
「病院行く?」
「……。」
「我慢したって仕方ないんだから」
その日は土曜日
救急で行くことを躊躇ってた
「行こう。何でもなきゃそれでいいじゃない?」
そんな会話をしたかしなかったか…
「電話しようよ…ね?」
「そうだね…」
旦那が私の言うことを効くと言うのは
めちゃくちゃ辛い時
❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅
とりあえず
元々の主治医だった先生の元に
帰ることは決まっていて
週明けの火曜に予約を入れてた
そこで
今後の在り方を考える
そういう話になってた
病院に電話すると
当直の看護師さんが
対応してくださり
「救急車で来てください」
そう言われて
旦那に伝えると
「え〜……」
わかるけどね
私も初めて救急車を呼んだ時
「サイレンを鳴らさずに来てください」
近所の野次馬が何となく頭をよぎった
「土曜日だしね 救急車で来てくれた方が
対応すぐ出来るから」
そう宥めて 
納得させるしかなかった
❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅
救急隊が到着しても
旦那はもちろん
私もあまり慌てた感じではない
そこまで深刻だと思ってなかったし
受け入れ側の都合くらいに
思っていたから
旦那は初めての救急車
目をまん丸くしてた
いつもは酸素2Lの所
spo2がそれでも90をきるからと
4Lにして搬送
「楽?」
「だいぶね」
「パパでっかいから
救急隊の人大変」
「……笑」
❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅
病院に到着するなり
コロナ関係の検査
同時進行で
「恐らく入院になるので…」
と説明を受ける
「入院かぁ…」
寂しさと安堵感
本人は帰りたいと言ってると
聞いたが
体調云々というより
お金の問題だと直感
前週に在宅酸素や
増やした薬の出費があったし
個室しか空いてないというのも
気になったのだろう
検査の結果を見ると
肝機能の数値がかなり悪く
黄疸の症状も出ていて
足の浮腫
spo2も酸素4L安静時で
やっと正常値になる感じだった
「わかりました。よろしくお願いします」
諸々の処置中に
高齢の御家族が救急車で入ってきた
待合室のベンチは3人掛けが1つ
席を譲って立ってると
コロナの為 入館制限を取り締まっている
守衛さんに
「向こうのロビーの端っこなら大丈夫だから
座ってなさい、疲れるから」
そう声をかけてもらった
ここ(がんセンター)に来る患者は
がん患者
「まだ 若いでしょ?悪いの?」
しばらく 世間話で気を紛らわせてくれた

少しチカラが抜けた

コロナ真っ只中

しばらく面会出来ないのは覚悟した

部屋が決まって

看護師さんに

入院の準備と今飲んでる薬を

全部 なるべく早く持ってきてくださいと

言われ

パジャマ前開きなんて

持ってなかったし

買い物して

犬の散歩も出来てなかったから

散歩に出して…

としてたら

旦那からLINE

「まだ時間かかるの?看護師さんが心配してるよ」

「ごめん💦ごめん💦あと5分で着くよ」

「気をつけてね。あと

コーラとコーヒー買ってきて

看護師さんに見張られてて

買いに行けない」

見張られてて…😅

ふらつきの為 ひとりで動かないように

指示されてるだけ

「わかった」

病院に着くと

いつものように手を頭の後ろにして

ベッドに寝てた

❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅

しばらくして

看護師さんがきて

このアンケートを書いて欲しいけど

旦那さん辛そうなら

奥様 一緒に手伝ってあげて

と言われ

この質問はどんな意味が?

と笑いながら

2人で書き込んで行く

旦那はいつものように

ほとんどの質問に

「特にない」と応える

やっと書き終えたタイミングで

夕飯がきて

お粥 酢豚 ほうれん草のおひたし

味噌汁 オレンジ 

この数日は

家でも シチューならお椀に半分

くらいしか食べなかったから

食べれるわけないと思いつつ

「口から入らないなら点滴か

チューブになるよ?少しでも頑張って食べて」

そういうと

お粥とほうれん草だけは

どーにか食べきった

看護師さんに

「そろそろ…」と促され

「じゃあ 帰るよ?また明日ね」
そう言って手を振って別れたのが
19時過ぎ
「うん。気をつけてね」
笑って手を振った
❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅
次の日
実家の両親が
介護ベッドを届けに来てくれる事になっていた
家の中を生活しやすいように
手すりやらを取り付ける予定だったけど
「パパ ちょっと辛そうだから
ベッドだけ置いてってくれればいいよ」
となったいたが
前日に入院した事で
パパいないならやってしまおうと
15時位まで家族と両親で
大掃除(年末出来なかったし)
その日は朝 7時過ぎに
「おはよう」と
旦那にLINEを送ったら
既読が付かず
「無理に起こしたり 食べさせたり
しないだろうな…」
と思っていたから
少し様子見
少したって既読がついた
ε-(´∀`;)ホッ
両親が
ユニック(リフト付きのトラック)で
来るから 
駐車場空けようと
🚙=꒱‧*を動かし止めたら
ん?パンク?
なんちゅータイミングだよっ
ディーラー電話して
JAF呼んでレッカー
前日からの事で
自分の想像以上に疲弊
いつものように旦那に
「パパ 🚙=꒱‧*がまたパンク最悪っ」
「修理材ないから買いに行かなきゃ」
「なんかレッカーで来ていいって」
……
「パパ?大丈夫?」
その後 既読はつかなかった


両親が帰ったのが16時過ぎ

ディーラーで降ろしてもらって

両親と別れ

支払い待ちしてると

病院から電話で

「今日何時にきますか?

面会に来るって旦那さん言ってるけど」

工エエェェ(´д`)ェェエエ工

「そんな事言ってます?というか

面会行っていいんですか?」

「ちょっとね 旦那さん 調子悪いから

来ていいですよ。」

娘も行くと言うので

一緒に急いで病院へ

面会はひとりなので

娘は車に待たせ

病室に行くと

旦那 チカラはないけど

「よっ」と言った

「具合悪いの?」

「……昨夜からちょっとね…」

看護師さんに案内される間

「昨夜急に血圧が下がって

今 80位なので

ちょっとボーっとしちゃってるみたいで

少し 付き添っていいですよ

ドクターの都合がついたら

今の状況説明 聞いたら安心でしょ?」

そう言われて

「娘が車で待ってるんですけど

ロビーまで連れてきていいですか?」

「あぁ……じゃ特別

今だけ 入ってもらってもいいですよ」

私 1人じゃなくて良かったと

後々

❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅

「携帯の既読付かないから」

「…見る元気なかった…」

「そっか…あっ

なんか荷物が届いたよ?

横浜の○○さん 知ってる?」

「……笑 横浜の所長…マメだな…」

「あのね 🚙=꒱‧*がまたパンクしたの」

「……えぇ…」

そんな会話の後

先生からの説明の準備が出来たからと

娘と聞いた

ドラマのような話だった

もう いつ何が起きてもおかしくない

血圧が徐々に下がってるけど

薬で上げることで

他へのダメージがある場合もある

食事も今日は一口も取れてない

CTの結果

肝臓がかなりの大きさに肥大

昨日 救急車で来た時

休日の当直が緩和ケアの先生だった事で

本当に丁寧に

旦那の現状を考えた

最善の判断だと言うことは

話し方から伝わった

「もし 急変して蘇生処置をしたとしても

例えば 心マで逆に痛い思いするかと思います

でも そこは御家族の気持ちなので

どうされますか?」

まだ 旦那の両親とも

そんな話はしてなかったし

兄弟にも聞いてなかったけど

娘と

「延命はしない」と伝えた

「ご本人には?」

「本人 家に帰るつもりでいるし

弱ってる所に

それをどーする?と聞くことは

本人の性格を考えても逆効果だと思います

(娘に)いいよね?

本人も 痛い、苦しいは嫌だと言っていたので

それを取り除く処置をお願いします」

ずっと我慢していた娘も

初めて大声で泣けて

私の弱さのせいで

いっぱい我慢させてごめんと

やっと

肩の力が抜けた瞬間だった

❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅

部屋に戻ったら

旦那はうつらうつらしてた

看護師さんから

ひとりだけになっちゃうけど

泊まり込みしてもいいと言われ

旦那に

「パパ?あのね

トイレとかご飯の介助とか

私がしてもいいって

泊まってもいいって看護師さん

言ってるけど どうする?」

「……別にどっちでも」

いつもの返し😑

「やすにいて欲しいか欲しくないか!」

「……そりゃいて欲しいけど…」

会社でも普段でも

クールで物静かで大人なイメージだけど

実はこの人は 

めちゃくちゃ 甘えんぼの人

泊まり込みの用意で

家に戻る🚙=꒱‧*で

娘に話したら

泣きながら笑ってた

「パパ 泊まりの準備してくるから

待ってて

待っててよ!」

「……((。_。`)コク)気をつけてね」

意識は戻ったり眠ったりだったけど

この時が

私を私と認識してたのを

確信出来た最後な気がする

❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅

娘を家に送って

息子に説明して

病院に戻った

看護師さんが簡易ベッドを用意してくれて

特にやれることも無く

ただただ

傍にいるしか出来ない

時折 

目を覚ます旦那

「なんか飲む?」

と聞くと

必ず「飲む」と言うので

「コーラあるよ?」

「飲む」

「炭酸だからね?シュワシュワするよ!」

飲ませると

顔をしかめせて

「ゲップ」と言った

私はほぼ寝ることは出来ず

旦那の傍らで

「痛い」という度

どこが?

(胃のあたりを指す)

お腹を一晩中さすった
「パパ 曇ってるけど 月がキレイだよ」
返事はなかった
明日は娘と息子も休みを貰ってて
家族4人で過ごす予定

少しベッドに横になって
おーちゃんの歌を聴くと
不思議とちょっと寝れた
パパ ちょっとだけ エネルギー補給させて…

次の朝

会社の日だったから

事務所に電話

入院した事実をつたえ

今後の事を伝えるために

所長に折り返しのお願いをして

旦那に伝えた

理解したかはもうわからない

子供らは免許がないので

私が迎えに行くか

悩んでいたが

戻ってる間にも

何があるかわからないと言われ

タクシーで来るよう伝える

私も寝てないせいで

いつもの目眩でフラフラだし

あちこち

電話しなきゃならなくて

介護保険と合わせて

介護の保険会社にお金の話

現実問題

そこは旦那が1番心配していた所だったし

早急にどうにかなるか

返事待ちになった


部屋に戻ると

旦那はトイレに行きたいと訴えた

自力で行くと言うが

もう 明らかに無理で

看護師さんが

尿瓶を持ってきた

「え?」

出来ないという旦那

私がやろうか?

私なら出来る?

頷きはしたけど

戸惑っていたから

看護師さんが

オムツ履いちゃおうか?って

旦那もしぶしぶ了承した

「ほら 行きたいと思った時

間に合わなかったらのためだよ」

「そっか…でも

なんでこんな大げさになってんの?」

まだ

元気になると旦那は思っていたんだ

「パパ?今日は富士山

めちゃくちゃキレイなんだよ」

❅:*.。 。.*:❅:*.。 。.*:❅

お昼すぎ

子供達が来た

子供らの顔をみて

自分が入院からここまで

何も食べてないと気づいて

息子とご飯食べてる間

娘がパパのパジャマを

洗濯してくれてた

息子と院内レストランに入ったら

息子は何も食べず

あぁそうか

福祉の仕事がら

外で食べることを

避けてるとやっと気づいた

ごめん…

急いで食べてる間に

会社の所長から電話

事情を説明すると

「……そうですか…そんな悪いんですか」

もう仕事復帰はないと伝えると

でもまだ可能性ゼロではないのだから

休職にしましょう

僕の方で全部手続きしますから

絶対悪いようにはしないので

心配しないで

と言ってくださった

ありがたい……


息子と部屋に付いて

面会も1人ずつなので

息子と入れ替わり

娘とロビー

ちょっとオカン

家で寝ようかな…

○○(息子)に付き添っててもらって

一旦戻って

また 夜来るか…

娘「そうすれば…寝れないんでしょ?」

なんて話を呑気にしていたら

洗濯が終わったというので

娘が取りに行く

すると

走って戻ってきた

「オカン!早く」

「なになになに?」

病室に行くと

旦那は呼吸が荒く

私の事を見て

何かを訴えているようだった

「血圧が下がり始めたので

声は聞こえてるはずだから

声掛けてあげてください」


「パパ!わかる?」

「……ハァ…はいっ」

「はいってなに?笑」

「パパ 皆いるよ」

「パパ ○○も○○も来たよ」

「……はい」

看護師さんと間違えてるのかな…

いや

抗がん剤を辞めて

在宅酸素をやり始めた頃から

私が

「酸素ちゃんとつけて!」

「足を高くして」

「ご飯食べて」

と怒ってばかりだったからか…


「パパ?…てるくん…やすだよ?

やすってもう1回呼んでよ…わかってる?

やすだよ?」

もう 息を吸うので精一杯だった


「パパ…もう大丈夫だよ

頑張らなくていいよ

いっぱい頑張ったもんね

ありがとね

…愛してるよ」


そんな時間がどのくらいあったんだろう…


本当に少しづつ

呼吸が浅くなって

眠るように逝った


1月24日 15時45分

永眠

享年52歳


この夕日を

きっと

一生忘れない


パパ

てるくん

私を

お嫁さんにしてくれて

ありがとう

私は

幸せだったよ

てるくんには

聞けなかったけど…

「そりゃ泊まって欲しいけど」

アレ答えだと

思っていい?


でもね

もっと

2人で過ごせる時間が

欲しかったよ

何のお世話もさせずに

カッコよく逝きすぎだよ


そんな

いい顔で寝てないで…


まだ少し温かい唇に

最後のKissをした


愛してる


娘とパパ


息子とパパ



「やすだよ?わかってる?」


「わかってますよ」