9月19日 東奥日報

特集記事

「決着 整備候補地 県と青森市 統合新病院」

この特集記事の冒頭

「県立中央病院は看護師不足で一部病棟閉鎖、青森市民病院は医師不足で診療を縮小している。

現状 両病院とも本来の医療機能を十分に果たせていない。」

有識者会議の席上で、県医師会の高木会長の発言である。

 

この発言は 私が調査した結果と合致している。

県立中央病院の常勤医からも

「コロナ禍で疲弊し、ベテランの看護師が辞めていった。現状 看護師不足が発生し 医療崩壊が起きている。」

とのことだった。

 

先日、県病内部のある職員から

「それは違う。その医師の体感であり主観だろう。」

と反論されたが、現場医師の体感であろうがその肌感覚は尊重するべきだと思う。


県病の常勤医から報告を受けている県医師会の見解として高木会長は発言されている。

医師の声として重く受け止めるべきだ。

 

先ほどの高木会長が指摘された「青森市民病院の休診」については、私も一般質問で指摘した通りだ。

医師不足により休診科目が増えている。


医師派遣を要請する先は、弘前大学のみとなっており、他大学に打診をしたら、どうなるか。

弘前市で起きたことを引き合いに出して「同じことが起こりうる」と強く指摘した。


一般質問で提言するにあたり、たくさんの人から聞き取りを行った。

その中でも特に参考になったのは、現場医師からの情報と担当課職員からの意見だ。

 

「我々は 弘前大学の医局に所属している。 医局から『引き揚げろ』と言われたら その命令には従わざるを得ない。」


初めてこの言葉を聞いたのは15年ほど前だったが、今回の取材活動で同じ医師に現状どうか、と再確認した。

「組織としての性質は何も変わっていない。」

とのことだった。

 

今回の整備候補地決定の過程は、

ここで全てを書くのは情報量が多すぎる故、憚れるため割愛するが、

簡潔に言えば

『県と弘前大学の意向が強く働いた』ということだ。

市は苦渋の決断を迫られ、それを飲んだ。


新聞に書かれている通り

「新中央駅設置」「移転施設の県側一部負担」

をお土産にした、と言うことになろうか。

今後、まちづくりビジョンを共同でしていくようなので、その中で施設については選択と集中が行われるはずだ。

 

「医師派遣」という絶対的権限を有する弘前大学医局と青森県は、引き続き共同歩調である。


県の方針に異議を唱える事はほぼ不可能と言える。

 

医師派遣を青森市が自前でできるだろうか。

一朝一夕ではできない作業だ。


八戸市民病院のように弘前大学への依存度を薄めた病院経営は理想的だし参考にはなるが、 じゃあ同じことを今すぐ青森市ができるか、と問われれば

「ほぼ不可能だ。」

と言わざるをえない。

 

整備地は 決まってしまった。

次のフェーズに入った。


私の元には5月あたりから

「今の造道の県病でいいじゃないか。地域住民は慣れているからクレームも出ない。津波対策さえすれば この場所でいいじゃないか。」

という意見がたくさん届いた。

 

私の考え方は、青森市の整備検討会議の結果を尊重するべきだ、との考えから

こういった現在地案については、この時点では明言を避けていた。

今更だけど、やはり現在地で良かったかもしれない。

 

当初、セントラルパークは渋滞するから整備地として適していない とする意見が沸き上がった。

スケート場案は 渋滞がセントラルパーク以上に懸念される場所である。

 

基幹災害拠点病院としてスケート場が適している とのことだったが

突然沸いたこの話は、「スケート場案」に決め打ちしたことを、肯定するための、後付けの抗弁でしかない。

 

今回の決定は 県と市の間に禍根が残った、と個人的には見ている。

今後、今回と同じようなことが起きないよう充分配慮しなくてはならない。

基礎自治体として自治権の侵害 介入がないように。

 

西市長におかれては 今まで以上に心労がかかるだろうけど、なんとか踏ん張ってほしい。


病院機能について、青森市民を守るための機能を作るべし。

 

現在 県病に設置されているドクターカーは、調査の結果ほぼ出動していないことが分かった。

妊産婦向けの出動のみのようだ。

 

ドクターヘリ ドクターカーは

八戸市民病院クラスの稼働を目指せるよう

高度救命救急センターの設置を目指すべし。

 

「将来推計では無理ですよ」

という県職員が私に囁いたが、正直むかっとした。


痛みをどう解決するか、という本気の熱を持って事に臨むのが、我々政治家の仕事である。


「どうせできない。」という意見には一切耳を貸す必要なない。

政治の役割は「無理かもしれないことを可能にする」ことである。