来年の1月アメリカ大統領にトランプが就任したらどうなるのか、かなり気になる。
いちばん気になるのはウクライナ戦争の行方。
個人的な希望としては早期和平になってほしい。
ただその場合、ウクライナ側がいくらか譲歩、というか相当に厳しい譲歩をしないとプーチンのOKを引き出せないのだろう。
ウクライナが領土的な譲歩をして和平になると、ウクライナの民衆はとりあえず平和になる。
前線で戦っている兵士たちもひと段落。
これはロシア側の兵隊の若者たちにとっても同じこと。
最近のウクライナ国内のアンケート調査では、国民の中に早期和平を望む意見が急増しているという話もニュースに出ている。
また兵士や戦場となっているウクライナ民衆以外でも、特にロシア産エネルギーに依存しているヨーロッパでは戦争インフレの経済的困窮もいくらか緩和されるだろう。
ウクライナ戦争の早期和平は、少なくとも世界の民衆にとってはいろいろ望ましい側面が多い。
しかし「西側」諸国の政治にとって、早期和平はかなり厳しい話なのだろう。
領土的譲歩を伴う早期和平は、力による国境線の変更を認めたことになる。
力による国境線の変更を認めないのは国連の方針の基本中の基本だと思うが、これが早期和平によりないがしろにされたことになる。
ますます国連の権威が低下する、国連機能が麻痺していく。
また「戦後」のロシアの扱い方にも、あるいはロシアの戦争遂行に協力したイランや北朝鮮や中国などの国々の扱い方も大きな問題になるだろう。
現時点では考えにくいことではあるが、もし仮にウクライナが領土的譲歩を伴う和平を望んだとして、またロシアがそれに合意したとした場合。
ひょっとしたらアメリカを始めとする「西側」の政治的世論がその和平にNOを突きつけて戦争が続く可能性があるような気もする。
結局、和平がなるかならないかは、戦争が続くことによる「インフレの経済的被害」と戦争を続けることによる「西側の政治的正義」の天秤的比較のように見える。
トランプはどう考えるのかとても気になる。
今のところニュースとかではトランプは戦争の早期終結を訴えているそうだが、その「終結」の意味はロシアに戦争に打ち勝って終わるということらしい。
なかなかトランプ的な話だと思う。
ウクライナ軍がロシア軍を打ち破ることができるかどうかはともかく、今のところ来年誕生する新大統領も現状通りに武器支援を続けるのだろう。
戦争によってウクライナ国内は大変な状況だろうが、一方でロシアは戦争景気で経済的には堅調らしい。
戦争が終わるとロシアは戦後不景気に陥ることが容易に予測され、そのことを考えるとプーチンは和平に積極的になれないかもしれない。
しかしあと5ヶ月くらい経って冬になってその時に暖房代でヨーロッパの国々が引き続きえらいことなっていたら、ドイツやフランス主導で和平の話が出るかもしれない。
しかしアメリカとしては、というかトランプとしては外に敵がいた方がいろいろ主張がしやすいこともあって、ヨーロッパとかお構いなしで戦争継続に進むような気もする。
トランプがどう出るかは、結局その時のアメリカの世論次第なのだと思うが、いろいろ想像するにトランプは和平には向かわない気がする。
戦争はしばらく続くのかもしれない。
いろいろ考えると、ウクライナ戦争の継続によって、地球上の政治的バランスが絶妙に維持されている世界が出来上がってしまっている。
これが戦争が終わらない原因のような気がする、と思ったりした。