今、横国プールのメインプール廃止問題が水泳業界で話題になっている。


「横浜国際プール」という施設は1998年にできたものらしい。

50m×30m、10レーンのメインプールと50m×25m、8レーンのサブプール、飛び込みプールがある立派な施設。


ただメインプールは冬にはアリーナ体育館になる仕様。

BJリーグのバスケットボールチームがホームアリーナにしているという。


それで毎年、メインプールをアリーナに換えて、そのあとまたプールに換えてという転換作業に5100万円掛かる。

施設を所有する横浜市の外部監査報告でこのプールの利用方法について疑義が出され、これに対し横浜市はメインプールを廃止してアリーナ通年利用とする方針を出した。

メインプール廃止の方針に対し、日本水泳連盟や日本水泳連盟が猛反発しているという。


横国プールは完成当初は世界選手権などの国際水泳大会の誘致を目指していた。

2002年にはパンパシフィック水泳選手権は開催した。

しかし施設の規格がオリンピックや世界選手権を開催するレベルを満たしていなかったらしい。

だから大きい国際大会の開催実績が20数年間で4回にとどまっている。


わたしも元水泳選手として、こういう立派なプールがなくなるのにはそれなりに危機感を覚える。

また横国プールに限らず、各地にある大型の屋内プールは老朽化するものがぼちぼちあって、順番になくなっていくのではないかと不安になる。

既存施設が老朽化する一方で、新しく立派なプールができるという話はあまり聞かない。


今後の日本経済がV字回復して各自治体の予算も潤沢になればまた新しいプールができるのかもしれないが、そういう雰囲気も見込み薄。

横浜市の財政状況がどんなかよく知らないが、まあ納税者である市民の立場に立つと毎年無駄な動きをしている立派なスポーツ施設の運営を合理化すべきという考えは分からなくもない。


一方で水泳関係者がこういう立派なプールがなくなると困るという気持ちも分かる。

分かるけれど、財政的な負担を考えると今回の横国プールのメインプール廃止は、ちょっと回避は難しいいんじゃないかという気がする。

たぶんお金になるのは水泳プールじゃなくて、バスケのアリーナの方なのだろう。

だったらバスケアリーナに一本化するのは、財政面からは合理的な判断のように思われる。


こういう夏と冬で別々にいろいろできますという「多目的」施設は、どっちつかずの金食い虫になりやすいのだと思う。

しかしプール一本では収益化が難しいから、プールを作る時に「いろいろできる」仕様にして適当な収益化計画をでっち上げて、無理やり建設したようにも見える。

その意味では施設のコンセプトに根本的問題があったと言える。

水泳ファンとしては寂しいが、お金の問題を解決できない限り横国プールメインプール存続は無理っぽい。


というか、今の日本にこの手の立派なプールはいくつも維持していくのはそもそも難しいのかもしれないと思ったりした。


 

同じネタで投稿する

 

他の投稿ネタを確認する