大昔、今からもう40何年か昔、テレビの日曜洋画劇場でよく映画を観ていた。

淀川長治が解説で最後「さいなら、さいなら、さいなら」で締めるやつ。

たぶんほとんど毎週必ず観ていたと思う。


その日曜洋画劇場で確か中学生の時だったと思うが、スタンリー・キューブリックの「2001年宇宙の旅」を観た。

当時テレビ初公開、ノートリミング、ノーカット版。

いつもの夜9時から11時までの枠をはみ出して、11時44分まで延長されて放送されたという。


あの番組は、想像だが、淀川長治の好みで映画の選定が行われていたような気もする。

キューブリックみたいなA級映画も放送するが、そうかと思うと「アマゾネス」シリーズみたいな、露出過多のおっぱいの大きい女戦士がわんさか出てくるB級映画もちょいちょいやっていた。

淀川長治は、A級でもB級でもC級でも、どんな洋画でも面白い解説をしていた。

誰も知らないマイナーな俳優のこともよく知っていて、「この人はドラキュラ映画でちょい役で出ていてこんな立派な映画にも出るようになったんですね」みたいな感じで、知られざるエピソードを紹介していた。

そういう意味では彼の解説は有名な誰でも知っている面白い映画より、若干ストーリーが破綻しているB級C級ホラーみたいなマイナー映画を楽しむためのものだったのかもしれない。


Wikipediaで調べたところ、日曜洋画劇場はテレビ朝日でちょうどわたしが生まれた年から始まって、当初は「土曜」だったらしい。

淀川長治は、その最初から解説者として出演し、32年間続けて死の前日も車椅子に乗ってスタジオに入って解説をしたらしい。

それでそのすぐ後に急逝したらしい。


ということも今となってはけっこう昔の話になる。

わたしは「2001年宇宙の旅」をあの時初めて観て、面白かったとか感動とかいうより、ただ口をあんぐり開けて、呆けたように観たのはよく憶えていて、たまに思い出す。

あの映画の淀川長治の解説がどんなだったか、もう完全に忘れてしまったが、AmazonプライムもNetflixも無いあの時代に日曜洋画劇場があって良かった、と思ったりした。



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