YouTubeでゴリラの動画をよく観る。
ゴリラの動画を観ていると、なぜか心が落ち着く。
心が落ち着くゴリラの動画の中でもいちばん良いのは、ゴリラがむしゃむしゃものを食べるやつ。
動物園のゴリラがバナナをもらって、上手に皮をむいてゴツい手でバナナを持って端からちょっとずつ食べる。
それで、バナナの実を食べ終わってしまって、残った皮もついでにバリバリ食べちゃう。
それを観ていると心が落ち着く。
バナナを食べる動画は動物園のゴリラだが、野生のゴリラの動画もある。
少し衝撃的であまり心が落ち着かなかったのは、野生のチンパンジーとゴリラの喧嘩。
ゴリラとチンパンジーはアフリカにおける生息域が少し被っていて、たまに喧嘩になるらしい。
チンパンジーは基本的にとても気性の荒い動物で、しかも肉が好物。
どこまでもベジタリアンでメンタルも繊細なゴリラとは好対照だ。
その気性の荒いチンパンジーの群れがゴリラの群れと喧嘩になる。
喧嘩というか、たぶんこれはチンパンジーが意図的に襲っている。
チンパンジーとゴリラが群れ同士喧嘩になると、身体が大きくて力がずっと強いゴリラの一方的勝利と思うが、大抵チンパンジーが勝つ。
それは群れの数がチンパンジーの方がかなり多いからだ。
数が多いチンパンジーはこっちの方でゴリラのリーダーのシルバーバックの注意を引いているうちに、あっちの方で子連れのメスゴリラを襲い、子供を誘拐する。
子供を誘拐したらそれで喧嘩は終わり。
誘拐された子供ゴリラはチンパンジーのご飯になる。
ゴリラは大きくて力が強いが、群れの人数がチンパンジーより少ない。
社会性が弱いのでチンパンジーほど群れの数を多くできない。
たぶん、チンパンジーは個体の力が弱いので逆に社会性が進化して群れの数を増やすことで生存性を維持する方向で進化したのだろう。
この方向性を極めたのがホモ・サピエンスで、つまり我々人類はチンパンジーよりさらに身体能力に劣る。
5万年前までライバルだったネアンデルタール人は、ホモ・サピエンスより身体も強くて頭も良かった。
弱かった人類は弱さの反作用で社会性を進化させて、その結果として個体として強かったネアンデルタール人を絶滅に追い込んだ。
個体として弱いことが必ずしも種として弱い結果にならず、ゴリラのように強すぎると個体の強さに頼って進化の袋小路にハマり込むことがあるのかもしれない。
弱い方がかえって進化の余地が大きいという話は、なんだかとても示唆に富んだ良い話のように思う。
チンパンジーのご飯になるゴリラの子供には気の毒だと思うけれど。