なんかYouTubeの話ばかり書いている気がする。
というのはともかく、最近YouTubeで為末大のチャンネルをよく観ている。
400mハードル日本記録保持者・為末大の「為末大学」というYouTubeチャンネル。
その為末大学でひと月ほど前から、この何年か陸上界を席巻している厚底シューズ、それの特集をやっている。
「厚底探求の旅」ということで、シューズを履く選手とかシューズ開発とかシューズ販売店とかいろいろな角度から何本か動画が上がっている。
これが面白い。
わたしも少し前までちんたらジョギングとかしていたクチであるが、たまにフルマラソンとかエントリーして走ったりもしていた。
当然それなりにマラソンシューズもいろいろ吟味して買っていた。
わたしがそれなりに練習してマラソンを走っていたのはもう何年も前の話だが、その時のシューズ選びの基準は、まあいちばんは「軽い」こと。
しかし世の中的にいちばん軽いシューズはお値段もお高い。
だいたい手に入るいちばん良さげなシューズが1万2千円とか1万5千円とか。
アシックスのターサーとか。
20年以上前に初マラソンを走った時は、けっこう奮発して1万数千円の、羽のように軽いシューズを買った記憶がある。
初マラソンは確かそうじゃ吉備路マラソンになる前の岡山市内を走る吉備路マラソンだったが、最後の7、8km足を引きずるような悲惨な状態になりつつも、やっと完走した。
いかにもグリップの高そうなシューズ底の繊細な突起が、悲惨に偏摩耗して削れていた。
それ以来、マラソンシューズは高くても7千円か8千円のやつを買うようにした。
安いシューズは靴底がそんなに繊細でないので削れにくい感じ。
履き古してもそんなにくたびれた感じがしないので精神衛生的に良い。
ところで、この1、2年はマラソン日本記録も箱根駅伝もMGCもみんな厚底。
わたしはご無沙汰なので市民マラソンのシューズ事情を知らないが、記録狙いの本気のランナーならだいたいの人はやはり厚底を履いているのだろう。
しかも最近は、元祖厚底のナイキだけでなく、アシックスもアディダスもニューバランスもミズノも他のメーカーも、カーボン入りの厚底をラインナップしてナイキ一強時代をひっくり返しつつある。
同時に、マラソンのレース用シューズの平均単価も爆上がりしている。
Amazonでナイキのヴェイパーフライシリーズ各種のお値段を見ると、3万円から4万円のが並んでいる。
売り出し中のアシックス・メタスピードが2万7500円とか。
アディダスのアディゼロ・プロ1は8万円超とか。
カーボン入り厚底シューズは、それを平凡なおじさんランナーが履いてどれほど効果があるのか知らないが、とにかくお値段は高い。
しかもカーボンの反発力は、その寿命がとても短い。
マラソン1回か2回走ると、所定の性能が出せなくてお役御免。
最近マラソン大会の出場者がかなり減っているらしいけれど、その原因にはこの厚底ブームとシューズ単価の高騰も影響しているのではないか。
それを買えばタイムが劇的に短縮できるかもしれないが、毎回毎回買っているとお財布への負担が半端ない。
ゲームの課金勢がのして無課金勢が嫌気が差して脱落していくみたいな。
かなり話が逸れた。
YouTube為末大学の、「厚底探求の旅」の話だった。
とうとう自分がマラソンを走っているうちに履くことの叶わなかった厚底シューズ。
その「厚底」の歴史やメカニズムや選手としての履きこなししなどについて、「厚底探求の旅」はいろんなゲストを呼んで多角的に切り込んでいく。
この動画を観て、わたしはもうマラソンを走るつもりはないが、今まで生きてきたことの証としてどこかのメーカーの厚底マラソンシューズ(カーボン入り)を無性に買いたくなった。
万がいち3万円か4万円の厚底を買ったとしても、もうフルマラソンとか走らないからカーボンがヘタる心配もなくて逆に良いんじゃないか。
とか思ったりした。
本当に、物欲というものは少し油断すると変な方向から突然出てくるから困ったものだ。
とも思ったりした。