中学生の頃に読んだ講談社ブルーバックスの物理学の入門書の中に、とてもキャッチーなフレーズが出てきていた。
「マクスウェルの悪魔」。
19世紀の有名な物理学者(特に電磁気学)であるジェームズ・クラーク・マクスウェルという人が提起した思考実験。
「マクスウェルの悪魔」は物理学の入門書を読むとちょいちょい出て来る有名な思考実験。
マクスウェルはイギリスはスコットランドの人で、この場合の悪魔は原語では「demon」であるらしい。
demonは英語的にはおどろおどろしい悪魔というより、イタズラ好きの天使、みたいなニュアンスだという。
この思考実験はいわゆるひとつの統計熱力学における絶対的な法則が実は破れている可能性を示したものとして有名であった、らしい。
マクスウェルの悪魔が世に出たのは今から150年以上前の1867年だったらしいが、この問題が厳密に解決されたのはつい最近の1990年代だった。
悪魔の正体がどういうものであるのか、その疑問がどのような理論によって解決に至ったのかはここでは書かない。
書かないというか、書けない。
分からないことは書きようがない。
わたしとしては単に、マクスウェルの悪魔っていうフレーズを、たまに言いたい。
マクスウェルの悪魔とかMaxwell`s demonとか日常会話の中にちょいちょい挟むと、ものすごく賢そうに見えるのではないか。
そういうことで、わたしはこの数十年の人生でマクスウェルの悪魔というフレーズを、その中身を全く理解しないまま中学生の頃に読んだ本の端っこにあった文字列像の記憶だけを頼りにたまに思い出しながら生きてきた。
しかし最近はYouTubeという便利なものができて、ヨビノリたくみなどの超分かりやすい物理学解説チャンネルがあって、そういうのを家で、ファミマで買ってきたパンを食いながらぼうっと眺めるようになった。
そうしたら、40年前には全く理屈の分からなかったマクスウェルの悪魔が、ちょっと分かった気分がした。
今まで、あんまり自信たっぷりには口に出せなかった「マクスウェルの悪魔」というフレーズが、今なら多少胸を張って知ったげに言えるような気がした。
でもあんまり知ったげに口に出すとどこかでボロが出そうなので、もうちょっとYouTubeで勉強する必要がある。
最近は、マクスウェルの悪魔と日本語で言うより、Maxwell`s demonってカタカナで言う方が、より格好いいんじゃないかと思っている。