厚生労働省の速報値で2023年の出生数は75万8631人だったらしい。

出生数は2016年に100万人を割り込み、2019年には90万人を割った。

さらに2022年に80万人を下回って2023年は当初は75万人以下になる感じだったが、予想より少し多く着地しそうだ。


わたしが生まれた頃は年間の出生数はもっと多かった。

第二次大戦争後の第一次ベビーブームの頃は230万人に達したこともあったらしい。

第二次ベビーブームの1971〜1974年も年間200万人を少し超えていた。


合計特殊出生率で見ると、1950年の数字が3.65。

1973年が2.14。


人口維持に必要な合計特殊出生率の数字は2.07くらいらしい。

それでいくと1950年の3.64はものすごい数字だ。

しかし第二次ベビーブームの頃の2.14はそこまでではない。


問題は1975年に合計特殊出生率が2を割り込んで1.91になっていることかもしれない。

出生率は1970年代80年代を通じてずっと下がり続けて1990年には1.54になっている。

おそらく日本が少子化や高齢化の心配や対策をするとすれば、1970年代とか80年代頃に始めていなければならなかった。


今日本政府は少子化対策をいろいろ打ち出している。

現状の出生率は1.4程度だが、例えば文字通り「異次元」の少子化対策が実現して単年の出生率でぴゅっと2.0を超えたりすることも、物理的現象としてはあり得ない話ではない。

しかし急に出生率の数字が上がったとしても人口減少はけっして止まらない。


合計特殊出生率の数字は、15歳から49歳の日本人女性が一生の間に産む子供の人数ということらしい。

つまり出生率が上がっても当分15歳から49歳の女性の数は減り続けるので、掛け算した出生数はよほど出生率が異次元に増えない限り減り続ける。


出生率増加の対策は意味が無いということはない。

とても重要な政策のひとつだとは思う。

しかしそれによって日本の人口が増加に転じるということはほぼ絶対にない。

それは人口の減り方を少しだけ緩やかにするという以上のものではない。


それこそ生産年齢人口的な若い層の移民を年間何十万人の単位で大量に受け入れるくらいしか日本の人口を維持する方法はない。

つまりこれからの日本は人口が急激に減っていくことを前提に社会システムを設計する必要があるのだろう。

GDPの順位は、人口が日本の7割のドイツにも抜かれたが、今後は人口そのものがどんどん減って、人口が増える国に次々と抜かれる。

例えば政府は防衛予算を10兆円に増やすと言っているが、この基本方針もそう長続きはしないだろうと思う。


これからは人間の数が減る中で日本の生きる道を探していくしかない。

そういうことなんだろうと思ったりする。


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