ウォルター・アイザックソン著「イーロン・マスク」をやっと読み終わった。
イーロン・マスクに関してはネットとかでもいろいろ情報が流れてくるわけだが、しかしあらためて千ページの伝記を読むと新しいことが分かる。
とりあえずマスクには、人工授精も含めてたくさん子供がいるのが分かった。
マスクは最初にペイパルを起こして、そのあとスペースXそしてテスラへ行き、さらにボーリングカンパニーやニューラリンクやオープンAIなどを作って、いちばん新しいところでTwitter買収がある。(さらに突っ込むとテスラの新部門で人間型ロボット「オプティマス」もやっている)
たくさんの事業をやっている。
おそらくマスクがもっともやりたかったのはスペースXなのだろうと思う。
マスクはたぶん本気で火星に行きたいのだろう。
火星に行きたいというか、火星に住みたい。
なぜ火星に行って火星に住みたいのか。
人類が複数惑星に住んで永続的に繁栄するため、とかもっともらしい理由はあるわけだが、いちばんの理由は火星に住むのはすごく難しいことだから、だと思う。
マスクは難しいことに取り組むことの依存症のようである。
それで傍目にはボーリングカンパニー、いわゆる地下に真空トンネル掘って音速で走るやつ、これなんかはすでにマスクは飽きてきているように見える。
トンネルの中を時速千キロ超で走るのとかは、火星に行くのに比べるとずいぶん簡単に思えるのかもしれない。
そこへ行くとTwitterあらためXのことは、マスクはけっこう好きなのだろう。
真面目なニュースから始まって、罵詈雑言や陰謀論や有象無象の情報が飛び交うカオス空間は、精神的に破綻しているマスクにとってとても心地良い空間なのかもしれない。
などとこの本を読んで思った。
この本はわたしの読んだ日本語版が2023年9月出版となっているようだが、本に出てくる最後の場面は2023年4月頃である。
かなりなハイペースで出版に漕ぎつけたらしい。
Wikipediaでこの本について調べてみると、これは英語版が9月12日、日本語版が9月13日の出版になっている。
つまり英語原版の制作と並行して和訳版も作っていたのだろう。
Amazonのレビューを見ると、出版直後は誤字脱字がかなり多かったようでもある。
わたしが読んだKindleは修正が進んだのかそこまで誤字脱字は気がつかなかったが、かなりおかしな日本語や意味は分かるが表現が間違っている文とか、ちらほらあった。
数日前にこの本の翻訳はAIでやったのではないかと半分冗談で書いたのだが、この推測はあながち間違いではなかったかもしれない。
というか、書籍の作り方も正確に丁寧に時間をかけるというより、スピード勝負で最短距離で出版するというのは、マスクの伝記らしくてとても似合っていると思った。
ぐずぐずしているとその数ヶ月の間に新しい大きい事件とか起きないとも限らないし。
千ページもあって日本もおかしな本の割には不思議と読みやすかった、と思ったりしたのでした。