昨日の晩、風呂場で頭を丸めた。
と言っても、元々ヘアスタイルは坊主頭である。
ほんの少し伸びた坊主頭を数ミリ短くしたのだ。
湯船の中で頭をバリカンで丸く刈るのであるが、湯船の底に溜まった髪の切りくずを集めてみても、ほんの少ししか刈っていないことが実感される。
頭を刈りながら日本円の実質実効レートがとうとう1970年頃の水準にまで下がったニュースを思い出した。
わたしがこうして「セルフカット」しているのは、日本経済が貧乏になり、それがわたしの懐の状況に大きく影響し散髪屋に行けなくなった、ということなのかもしれない。
さらに思うのであるが、地球儀的な視点で日本列島を眺めてみると、列島はユーラシア大陸の東の端の辺境にあって、文明的な賑わいという点で考えてもインドネシアやフィリピンなどの東南アジアの方が本来栄えるべき地域だったような気がする。
しかしなぜかこの列島にはひしめき合うように人が増えて、また昔から国内の戦争も盛んで人々は刀や弓矢などの開発調達に熱心であったのかもしれない。
欧州から鉄砲が流れ着くとたちまちこれを国産化し、世界一の鉄砲大国になってしまったという。
そういうこともあってかこの島国は欧州の植民地となることもなかった。
20世紀のこの島国で起きた政治経済的な発展は、まことに世界史的な奇観であった、ということのような気がする。
20世紀の繁栄からの、21世紀初頭におけるこの島国の静かな沈没は、本来あるべきユーラシア大陸東端の辺境にふさわしいポジションに、ただ戻っているだけなのかもしれないと思った。
こういう中にあっていつかわたしも、散髪屋でお金を払って頭を丸める日が来るのだろうか。
その未来が気になる。