昨日の夜、MBAの同級生5人で久しぶりに食事をしました。
みんな相変わらず高くて鋭いアンテナを立てている姿にとっても刺激を受けると同時に、自分の中の感性がそんなに錆びてはいないと感じられる、心躍る時間を過ごすことができました。
何より、友人の一人、外資系のマーケティングのプロが話してくれた社内の事例が、私にとってすごく大きな話でした。
彼の会社で、事実と真実、どちらに重点を置いたプロモーションを展開するか議論があったそうです。
事実ベースは正しいこと、証明されていることをベースに行うプロモーション展開。
真実ベースは消費者の頭の中、認知さてれていることをベースに行うプロモーション展開。
結論として、真実をベースにするのだそうです。
そもそも、「事実」と「真実」の違いって何なのか?
哲学的な話になってしまいますが、「実際に起こった事象=「事実」に対して、それを個人または集団における心理や理解を通して見られるものが「真実」である、という説明があります。
わかりやすく言うと、
「ハイヒールは外反母趾の原因だとは証明されていない」、これは事実。
しかし、多くの人が「ハイヒールを履くと外反母趾になると認識している」、これが真実。
そして、この「真実」には人が集まり、「現金が動く」という「現実」があるのです。
事実=人の足は千差万別なので、あなたの足に合うような既製品を作ることはできない。しかし、多くの人にとって、オシイ!後もうちょっと調整すれば足に合うのに、という場合が非常に多い。
真実=私の足に合う靴がどこかに必ずあるはずだ。合わない靴を捨てることもできず、なんとなく取っておく消費者心理。
事実=足に合う靴を履かないと、美容と健康に大きな影響がある。
真実=靴は単にファッションアイテム。
靴にまつわる「事実」と「真実」はあげればきりがないほどたくさんあるのですが、「真実」の近くじゃないと現金という「現実」は落ちてないのです。
「事実」がどんなに正しくても人が集まらなければ「現金は動かない」という「現実」があり、現金が動かなければ継続できないのもまた「現実」なのです。
「事実」を追求するのは学者であり、研究者。
「真実」を具現化し、現金化するのが経営者なのだと思います。
マーケティングの世界では、消費者の常識を否定し、ホントはこうですよ、とやるタイプのプロモーションはことごとく失敗しています。
過去そんな事例が山のようにあるのにそれでも時々仕掛ける奴がいます。
事実を知った以上、これを知らしめ、市場の常識を変えねばならない、と考え、実行する、いわばドンキホーテのような研究者タイプです。
「事実」を「真実」に変化させるには、膨大な時間とコストがかかります。
玉砕覚悟の突撃が許される状況にないことは十分理解しながら挑んでいく、現代のドンキホーテ。
そうならないためには・・・・・、。