大変ご無沙汰をしております!
瞳子です。
 
 
映画「日日是好日」
日曜日にようやく観てきました。
 

映画『日日是好日』(にちにちこれこうじつ)公式サイト 2018年10月13日公開。

 
序盤のお稽古の日のシーンを観てると
どういうわけか涙が溢れてきました。
 
 
袱紗さばきや茶筅通しを
訳の分からぬままやる
ぎこちない仕草の主人公を観ていると
4年前のお茶を習いたての私と重なりました。
 
 
「どうしてこの所作が必要なのですか」
「何故、こういう順番でお点前があるのですか」
 
 
そんなことをいちいち質問しては
流れを止めて、先生を困らせていたものでした。
 
 
先に理屈を知りたかったのです。
頭で生きていた証拠ですよね。
 
 
映画の中に先生のこんな台詞がありました。
 
 
「まずはかたちを作って、心は後から入れるの」
 
 
頭で考えずに
所作の一つ一つを
流れとして身体で覚えていく。
 
 
そうして、後から
おもてなしや気遣いの心を入れていく。
 
 
そんなことを知らなかった私は
流れを遮っては
疑問点を何でも聞いていたのでした。
 
 
そんなやり方では
心が入るはずもありません。
 
 
やる前から理解するなんて
どう考えても無理なのに。
そしてそれは心の世界も同じですね。
 

 
4年前の私は放送大学に通っていて
心の世界に身も心もどっぷり浸かっていました。
 
 
学ぶことがそれはそれは楽しくて
心理学と茶道の共通点を発見しては
鼻の穴を大きくしながらお茶の先生に語る、
そんな生意気な弟子でした。
 
 
それでも先生は
弟子と共に学ぶという姿勢を崩さず、
そのお陰で私は鼻っ柱を折られることもなく
なんとかここまで続けることができたのです。
 
 
 
 
 
 
だけども、私の心の奥には
劣等感がしっかりと根を張っていました。
 
 
茶道という高貴に思えるお稽古事をすること、
放送大学で臨床心理学を学ぶこと、
心屋塾にて心の世界を掘り下げること、
そしてそれらを私の身の丈に合わないくらい
素晴らしい先生方に教わっていることが
不相応に思え、どうにも居心地が悪かったのです。
 
 
専業主婦なのに、
劣等生だった私なのに、
大した人間でもないのに。
 
 
「私なんかが……」という思いが
常に心の片隅にあったのです。
 
 
そんな劣等感や罪悪感はありながらも
それらの世界はとても魅力的で
それでもやりたいのだ!と思うほどに
私を惹きつけてくれました。
 
 
結局、心理学もお茶も
そこでの素晴らしい「人」との出会いが
私をいつも支えていてくれたのです。
 
 
そんなことって
当時は全然気づかなかった。
 
 
映画の中の樹木希林さんの台詞。
 
 
「世の中には、すぐにわかるものと
すぐにはわからないもの、の2種類がある」
 
 
ほんとにそうだよなあと
共感しました。
 
 
やってみなければ
進んでみなければ
分からないことってたくさんある。
 

 
 
心理学やお茶の世界の真髄を
1日も早く会得したいという焦り。
 
 
自分にはそういう特別な力があるのだと
過信する傲慢さ。
 
 
その割には
心の奥底に息を潜める劣等感と罪悪感。
 
 
あの頃のそんな混沌とした私の心情が
序盤のお稽古のシーンで一瞬にして蘇り
意志では止められない涙が溢れてきました。
 
 
 
 
 
ああ、数年前の私は
とにかく一生懸命だったなぁ。
 
 
目の前に道が全く見えず
周りの大切な人からの愛も遠ざけて
お茶と心理学の世界に
必死に食らいついていたなぁ。
 
 
不安だったんだなぁ。
自信が無かったんだなぁ。
怖かったよねえ。
 
 
周りにもこういう私は透けて見えただろうなぁ。
 
 
そう思うと
数年前の私を恥ずかしく感じるとともに
初々しく生命力に溢れ、健気にも思えました。
 
 
 
 
 
 
 
だけれど、
じゃあ今の私はどうなんだろうと思うと
あの頃とちっとも変わってないと思いました。
 
 
傲慢で、真っ直ぐで
浅はかで、健気なところは
何も変わらずここにある。
 
 
そんな私だけれども
お茶の先生から可愛がっていただき、
 
 
夫や家族にも時々苦笑されながらも
私が私のままでいることを許され、
 
 
ぢんさんやあきこさんからは
ここぞというタイミングで
背中を押していただき、
 
 
古くからの友達にも
古くからのクライアントさんにも
会うたびに私の長所を伝えてもらったり。
 
 
 
お恥ずかしい…と隠しておきたい自分を
まるごと優しく受け止めてもらっている。
 
 
自分一人で何もかもを背負ってる気でいたけど
ほんとは私を想う人から生かされてたんだな。
 
 
そう思うと
もう涙が溢れて仕方なく
映画のほとんどの間、泣いていました(笑)
 
 
ほんとに有り難いです。
 
 
家族、友達、先生、クライアントさん、
どれ一つとっても素敵な出会いばかりで
なんて恵まれた人生だろうと思いました。
 
 
立場なんて関係ない。
全ての人が私の師匠なのだと
改めて感謝の念が湧いてきました。
 
 
 

 
 
 
 
そんな翌日の今日は
お茶のお稽古でした。
 
 
11月はお茶の世界のお正月。
「人間好時節」
日日是好日とよく似た禅語が飾ってありました。
 
私のお稽古のためだけに
お菓子を準備して
野の花を摘んで生け
お軸を選んで
部屋を整えて待っていてくださる。
 
 
映画の余韻が残ってるせいか
その心遣いにまた涙腺が緩んで困りました(笑)
 
 
炉開きということで
お稽古の後にお食事をご馳走になり
「これから紅葉を観に行かない?」と
お誘いいただき
先生の運転で宍道に行きました。
 
 
八雲本陣の中の三畳の茶室。
 
先生は少女のように
 
「ここでお稽古したいね〜」
「そしたらここに水指を置いてやるんだね」
「わ〜ここでお茶を飲んだら素敵だろうね〜」
 
そう嬉しそうに言っておられました。
 
 
「にじり口から茶室に入ると
お客さんはまずこのお花を目にするんだね〜!
あら、素敵だねえ〜」
 
 
そう嬉しそうに話す先生と
お稽古ごっこをしたりしました(笑)
 
 
私はなんて素敵な師匠と出会えたのだろう。
 
 
こんなささやかな時間が
これからの私を底から支えてくれるんだろうな。
 
 
 
 
 
 
 
 
 
皆さんも良ければ
「日日是好日」を
映画館にてご覧になってみてください。
 
 
ストーリーも音楽、そして「音」も
ほんとに素晴らしい作品です。
 
 
今の私はこれを見ただけで泣きそう(笑)
本は読みながら染み込んでくる感じがして
また別の素晴らしさがありますよ。
 
 
心のこともきっとおんなじです。
 
 
今は分からなくても
やがて分かることがある。
 
 
先日、私のカウンセリングに
間は空きながらも長らく来てくれてる方と
久々にカウンセリングでお話して
その方は大きな山を一つ越えられた感じがして
なんだか胸が熱くなりました。
 
 
古くからの皆さんは、
心のお手入れ感覚で
必要なときに私を思い出し
私と共に自己対話していってくださる。
それが私はとっても嬉しいです。
 
 
最初の頃はしんどかったよね〜って
一緒に笑って話す時間は
カウンセラーとして一番感慨深いです。
 
 
問題を乗り越えたのはその方なのだけど
私も共にその山を登ってきた、と
僭越ながらも感じるのです。
 
 
そして、そういう方々と共に
カウンセラーとして積み重ねてきた時間のおかげで
より確かな気持ちと共に
新しく出会うクライアントさんにこう思うのです。
 
 
「あなたも絶対に大丈夫ですよ」と。
 
 
そして私自身にもそう思うのです。
 
 
カウンセラーを始めた頃には
こんな世界があるとは分からなかった。
いや、まだまだ色んな景色があるんでしょう。
 
 
何事も分かるべきタイミングが
きっとあるんでしょうね。