こんにちは。さて先週は、卒論の第二段階の話をしま


した。同じ内容について、異なる説・異なる視点から


書かれた専門書を読み比べ、自分の立ち位置を決め、


論文の骨組みを決める際、自分が論文の柱にするのは


A説なのかB説なのか、定説に対して賛成なのか反対な


のかを決めることになります。言葉にすれば簡単なこ


とが、当時の私にはなかなかできずに苦労したのです。





そしてこれらの過程を通じ、根拠を突き詰めていくと、


いかに自分の発想が稚拙であるか、また、そこに気付


くことがいかに重要かということ、また、説得力を持


つには、客観的な事実とそれに対する分析が大前提だ


ということと、どんな主張にも一理も限界もあり、メ


リットもデメリットもあるからこそ、考えを深め、研


究を進めていく意義があるのだということを学んだの


です。こうしたことは、これから物事を考え、進めて


いく上で非常に重要なことだったのです。





こうして、私の論文のだいたいの方向性と骨組みは決


まりました。あとはそれらに肉付けしていくのですが、


ここからもまた大変だったのです。まずは論文を書く


上でのおおまかな結論と、そこへもっていくためのプ


ロセスを決めます。具体的には、最初に問題提起をし


た上で、自分の支持する説の概略と支持した理由を、


別の説と比較することではっきりさせ、最終的にどう


いった内容で締めくくるのかを考えるのです。実際こ


れもなかなか大変で、一筋縄にはいきませんでした。





理系のような、実験の積み重ねに基づく結論付けでは


ない上、まだ自分自身でも漠然としているため、何を


どうまとめていいか、なかなか形にならなかったので


す。本で言えば、目次や、オビなどに書かれた紹介文


レベルすら決まらず、そのたたき台すらままならない


状態なのです。しかも、これではらちがあかないので、


とにかく決めよう・まとめようと思っても、どこから


手をつけていいかわからなかったのです。





そして、私が最も苦労したのは書き出しです。結局決


まったのは、本格的に書き始めてから少し経ったぐら


いの時期で、ギリギリまでどうすればいいのか迷った


ため、最初は書く内容が決まっているところから始め


まとまり次第最初の部分を書いたのを覚えています。