★登場人物
◎今 勝成(こん・かつなり)
36歳独身。今回は隣人の音々からの紹介で、とある女性に会いに山梨県まで来る。

◎勝沼 瑠璃(かつぬま るり)
音々の職場の同僚だが、謎多き女性。金に執着しているが意外な趣味も持っている。

◎戸成 音々(となり ねね)
勝成のアパートの隣人で友達以上恋人未満。




勝成は、河口湖湖畔である女性を待っていた。

勝成【……今日は、音々の紹介で河口湖まで来てしまったが、どんな女性が来るか楽しみだ】
勝成【……それより音々の奴、私に任せろ!とか言っておいて紹介するだけかよ!今の僕は君に夢中なのにさあ〜まあ、いいっか!】

瑠璃「お待たせ〜!」
瑠璃が颯爽と現れた。

瑠璃「君が勝成君?瑠璃だよ、宜しくね!なんかすっげー良い奴って聞いてるから楽しみ〜」

勝成「ああ……宜しくです!ぼ、僕は日々、婚活に明け暮れるつまんない奴ですが……」

瑠璃「そんな感じに見えないけど……とりあえず今日、デートしてみて良かったら付き合っちゃう感じでよろしくお願いします〜」

勝成【……なんか馴れ馴れしくない?まあ〜いいや、顔立ちが綺麗だから頑張ろうかな?】


二人は、宝石博物館に来た。

瑠璃「ねえ〜宝石の博物館があるよ。せっかくだから入ってみない?楽しそうだよ」

勝成「ああ、いいですよ〜行きましょう」

二人は館内に入って行った。

勝成【……入館料1200円は、当たり前のように僕が払ったがこのくらいは当たり前かな?】





二人共は、山梨県産の多種多様な宝石や鉱物を魅入っていた。その中で瑠璃はペンダントやイヤリングなどを無言で魅入っていた。

瑠璃「ねえ見てこれ、20万だって〜」

瑠璃は、勝成の目を見つめてきた。

勝成「……え?結構高いんだね〜」

瑠璃「ねえ〜買ってくれたりする?」

勝成【……その時は、本気か冗談か分からなかった。流石に初めて会った人に言うかな?】

勝成「……ああ、売店の安いやつなら」

瑠璃は、勝成に背中を向けた。

瑠璃「(離れて)もう行こう、お腹空いた〜」

勝成「え……マジなやつだったの〜?」


二人は甲府方面へと車でで移動して、途中の峠にあった昔ながらのドライブインに来た。
瑠璃「なにココ?まさかココで食事する気?」

勝成「他に店が無いんですよ、こういう所の飯って意外と美味かったりするんですよ」

瑠璃「まあいいや〜ココしかないし」

瑠璃は、ぶつぶつ文句言いながら入った。
店内で暫く待つと、もつ煮と天麩羅の定食が出てきた。瑠璃は首を傾げながら、もつ煮を口に入れると驚いたような表情を見せた。

瑠璃「なんだ〜美味いじゃん」

瑠璃は、無言で食べ始めた。

勝成【……僕は、まだ瑠璃がどんなコなのか分からない。僕の事をただの財布としか思ってないのだろうか?初めて会った人に金を出させるのが普通と思っていたらかなり痛いコかも?】


二人は甲府まで移動して、ぶどうの丘の見晴らしスポットまで来た。恋人の聖地でもある。

瑠璃「なにココ?恋人の聖地だけど、わざとココに私を連れて来たの?」

勝成「見晴らしが良い場所の方がデートっぽくて良いと思ってね……ダメですか?」

瑠璃「こんな場所より、私はショッピングがしたいなあ……色々と買って貰いたい物があるからそこに移動しない?さあ〜行きましょう!」

勝成の目付きが鋭くなった。

勝成「……さっきから思っていたんだけど、これって婚活デートだよね?何で僕が初めて会った君に色々とお金出さないといけないの?」

瑠璃「だってさあ〜婚活だの何だのって男って結局アレの事しか考えてないの分かってるから、色々と金を出させて最後に願いを叶えてあげるつもりなんだけど……こんな事、女の子に普通言わせちゃダメじゃない?」

勝成「アレって……僕はそんなつもりは無いよ。ただ、色々回って思い出作りをしたいだけで二人が好きになってからアレ……で良くない?」

瑠璃は、無言で景色を眺めた。

瑠璃「……音々から聞いていた通りだね。アンタ、この時代に相応しくないくらいの正直者だね。私はそういう男にうんざりしてたんだ」

勝成「僕じゃダメですか?」

瑠璃「ダメじゃないよ。ただ、私には刺激が足らないの……もっと何か……あ、あれは!」

瑠璃は、勝成の袖を引っ張った!

瑠璃「行きたい場所があるから行こう!」



二人は、勝沼ぶどう郷駅に来た。
どうやら瑠璃は、見晴らしスポットから見る電車に気付いてココに来たようだ。

瑠璃「桜と一緒に見れる電車と駅が近くにある事を忘れていたよ。早速撮るわよ!」
駅周辺では、カメラを構える観光客で溢れ返っていた。どうやら写真スポットらしい。

勝成【……瑠璃さんは、どうやら撮り鉄らしい。興奮した様子で僕に撮り方を教えてくれた】
特急カイジが目の前を通過した。
勝成は、撮った写真を瑠璃に見せた。

瑠璃「……全然ダメよ、車両の顔の部分が電柱と被っているじゃない。さあ〜次行くよ!」

二人は、列車の通過を待った。
……カシャ!

勝成「これはどうかな?」

瑠璃「……さっきよりは良くなってるね。桜も列車に被らないように撮れてるし」

勝成「瑠璃さんの力作ってあるの?」

瑠璃は、一眼レフの内部画像を自信有りげの様子で勝成に見せて来た。
瑠璃は、別の場所で撮った自信作の写真を

瑠璃は、撮りの極意を熱く語った。

勝成【……瑠璃は金に執着する痛いコだ。だがしかし、撮り鉄に関しては誇りを持っているようだ。もしかすると、同じ趣味を持つ事で仲良くなれるような気がした。もしかすると?】

勝成瑠璃の両肩を掴んだ!

勝成「こ、今度また僕に撮り鉄を教えて!」
ちょうどホームに特急カイジが来た。

瑠璃「この続きはまた今度。今日はありがとう、つまんなかったわ!私をモノにしたかったら撮り鉄をもっと勉強して来なさいね!」

瑠璃カイジに乗って去ってしまった。
勝成「また、今回もダメだったか……色々と趣味を豊富にしないとモテないんだね……ぐぬぬ!」

次回に続く。

★迷王の婚活旅⑧
◎監督 TRICK★STAR
◎演出 TRICK★STAR
◎脚本 TRICK★STAR
◎出演 TRICK★STAR
◎撮影 TRICK★STAR
◎編集 TRICK★STAR
◎衣装 TRICK★STAR