★登場人物

◎今 勝成(こん かつなり)
36歳独身。彼女いない歴36年。婚活サイトで知り合った女性に会いにどこでも行く男である。

◎浜名 小春(はまな こはる)
第1回ゲスト。婚活デートなのに仮面を被って素顔を晒さない痛い女性。謎だらけである。

◎戸成 音々(となり ねね)
勝成のアパートの隣人。酒を持って勝成の部屋に遊びに来る。トラックドライバーである。




勝成は、婚活サイトで知り合った女性に会いに静岡県に来ていた。勝成の頭の中は、期待と不安でいっぱいであった。今回の女性は30歳である。

勝成【……ふぅ〜、やって来たぜ静岡県。こんな僕に会ってくれる女性が静岡県にいたなんて驚きだ。性格が良くて可愛いと良いけどな】

会う女性を想像しながら、勝成は集合場所となる掛川城へと車で向かったのであった。



勝成は、待ち合わせ場所の掛川城へ来た。何でこんな場所なのか疑問に思っていた。

勝成「ここで待ち合わせなのだが……」

勝成は、自分の顔を婚活サイトに公開しているのだが、相手は非公開である。自分のルックスに自信が持てないので来る者拒まずであった。

??「貴殿が今さんか?」

勝成は、振り返った。
そこには変なマスクを被った女?がいた。

勝成「はい、いかにも……」

小春「浜名小春だ。待たせたな」

勝成は、キョロキョロしている。

小春「何だ不服か?このマスクがダメか?」

勝成「いえ……何か……斬新だなって」

小春「初めて会った男に素顔を見せるほど俺の顔は安くないぞ。嫌なら解散でもいいぞ」

勝成「別に嫌じゃないけど……」

小春「じゃあ、城巡りでもしようか」

勝成と小晴は、掛川城内へ向かった。

勝成【……何なんだこの女は。一緒にいて恥ずかしいが、相手もこんな僕といて恥ずかしくないのであろうか?変なカップル同士気が合うかもね】




勝成と小晴は、掛川城の階段を登って天守閣の内部へと来た。勝成はすでに汗だくである。

小晴「大丈夫か?日頃の修行が足らんぞ」

勝成「大丈夫です……ちょっと息切れが……」

小晴「なら、頂上まであと少しだ」



勝成と小晴は、掛川城の展望台へ来た。

小晴「この景色を貴殿に見せたくてな」

勝成「良い景色ですね。静岡は良い所だ!」

小晴「……」

小晴は黙って考え事をしてる。

小晴「貴殿は、こんな変な仮面を被った女と一緒にいて恥ずかしくないのか?嫌じゃないの?」

勝成「小春さんこそ、こんな眼鏡をかけてデブな男と一緒にいて恥ずかしくないの?」

小春「人を見た目で判断する輩は嫌いだ。大切なのは心だ。だから、私は仮面を被ってる」

勝成「……なるほどね」

勝成【……小春さんの言う通りだ。人は見た目じゃなくて心だ!でも、もうちょっと痩せなきゃと思ってるけどいつも挫折してしまう。しかし、小春さんの素顔が気になる……凄いブスかもしれないけど、僕はそれでも受け止めるつもりでいた】



勝成と小晴は、渚の交流館に来た。

勝成【……掛川城を出てからは、海岸線を走って西の方へと向かった。その途中にあった食堂みたいな場所へ来た。もしかしたらワンチャン、食事する時に小春さんの顔が見れるかもしれない】

勝成と小晴は、食堂で海鮮丼を注文した。

小晴「腹が減っては戦は出来ぬか……ここら辺で昼食とか良い考えだが、悪いが俺は貴殿には背を向けて食べさせてもらうぞ。申し訳ないが……」

勝成「そ、そうですか……」
海鮮丼が来た。だが、小春は仮面を外したが後ろ姿しか見えない。髪型はボブカットだった。

小春「う、美味い!海の幸はサイコー!」

勝成「良かった、喜んでくれて……」

勝成【……絶対に変だ。彼氏に背を向けて食事するカップルなんか普通の光景ではあり得ない。それにしても食事してる間は、素に戻って何だか可愛らしい感じがした。益々、顔が見たくなった】

小春「勝成さん……は、良い人だな。こんな、顔も分からない女子に付き合うなんて。私が男で、逆の立場だったら待ち合わせの時点でサヨナラしてると思うぞ!何で私なんかに構うのかい?」

勝成「何だろう?最初は迷ったけど、もうちょっと仲良くなって心を開きたいって思った。そしたら、その仮面を取って素顔を……」

小春「甘いな!!俺の心を掴むのは容易ではないぞ!俺の地元の湖西市までのデート……そこで、この関係は終了だ。俺は心は開かん!」

そう言うと、小春は立ち上がって食器を片付けるとトイレへと向かってしまった。

勝成「何だか帰りたくなって来た……」




勝成と小晴は、浜名湖まで来た。

小春「さあ〜そろそろ話してもらおうか?貴殿は昼飯代までオゴり、湖西市まで送り届けて貴殿は私の何を望むんだ?やはり素顔か?教えてくれ」

勝成は考えた。

勝成「正直、僕にも分かりません。今までは、会った瞬間に去って行く女性ばかりだったけど、こうして長時間に渡って僕と一緒にいてくれたし。小春さんは変わっているけど、気付いたんだ」

小春「気付いたって何をだ?」

勝成「……演技でしょ?普段はそんな性格じゃないのに、僕に嫌われようと変な自分を演じてる」

小春「……やっぱりダメね、私」

小春は仮面を取って振り返った。
勝成の前に突然、美女が現れた!

勝成「……小春さん?」

勝成は、唖然としてしまった。

勝成【……小春さんは想像以上に美しかった】

小春「今までごめんね。勝成さんの言う通り、正直タイプじゃなくてわざと嫌われようと悪い自分を演じてたの。けどね、想像以上に勝成さんは良い人はだったので、このまま悪い自分を演じ通そうと思ったのよ。けど、演技って難しいね」

勝成「自然が一番いいよ」

小春「私、役者の勉強してて次の舞台は悪女を演じるの……今日はその練習って事かな」

勝成「演劇?小春さんの演技見たいな〜」

小春「是非来てよ!日程が決まったらまた連絡するからさ……じゃあ、私行くね。ありがとう!」

そう言って、小春は去ってしまった。

勝成【こうして、小春さんとのデートは終了してしまった。不思議なコだったけど、最後に素顔が見れて良かった。でも、これって婚活デートだよね?結局、脈はあったのかな?】
勝成「小春さ〜ん、返事を聞かせてくれ〜」



数日後、失恋に悩む勝成のアパートに隣人の音々がビール片手に訪ねて来た。

音々「お〜い勝成!旅の話聞かせろよ!」

……次回に続く。



★迷王の婚活旅①
◎監督 TRICK★STAR
◎演出 TRICK★STAR
◎脚本 TRICK★STAR
◎出演 TRICK★STAR
◎撮影 TRICK★STAR
◎編集 TRICK★STAR
◎衣装  TRICK★STAR
◎小道具 TRICK★STAR