★鶏憑元気(とりつく•げんき)
著者。13年前に別れた彼女に呼び出され、栃木県に向かうと思わぬ人物に遭遇する。

★宇都野美弥(うつの•みや)
元気の生き別れた娘……と、言い張るのだが。

★美優(みゆ)
元気の元彼女。13年前に元気と別れて実家のある栃木県に帰ってしまったキャリアウーマン。

元気は、埼玉県の羽生パーキングエリアにいた。何やら上機嫌な表情をしている。

……やあ、みんなご機嫌いかがかな?
今日は、13年前に別れた彼女からメールが来て栃木県に向かっているんですよ。

……13年前かあ……あの頃は幸せだったけど、まあ〜仕方ないよね。美優は今どうしてるのかな?結婚とかして、幸せになっているのかな?

……とりあえず長旅になるので、先を急ぐとするかな?期待と不安でドキドキするなあ。
元気は待ち合わせ場所となる、道の駅•思川に来たが、落ち着かない様子である。

元気「美優と会うのも13年振りだから、やっぱり老けちゃったりするのかな?まあ〜お互い様なんだろうな……あれ?携帯が……」

元気は携帯を無くしてしまったようだ。
携帯を探し回った結果、何故かテーブルの上に置いてあった。誰かが置いてくれたみたいだ。

元気「良かった。少しは落ち着かないとね」
外は物凄い霧に覆われていた。朝早かったせいか、元気は少し眠気に襲われた。

??「ママなら今日来ないよ」
突然、目の前に女のコが現れた!

元気「……え?君、誰かな?」

美弥「みやだよ!宇都野美弥。……貴方、私のパパだよね?そうだよね?」

元気「パパ?……え、何言ってんの?」

美弥「ひと目見て分かった。ママは仕事で来れなくなったから、それを伝えに来たの」

元気「そっか、それは残念だけど何で俺が君のパパになるの?全然分からないんだけど」

美弥「私も事情は良く分からないけど、ママがそう言うんだから貴方がパパなんだよ」

……突然現れた少女、美弥。

……彼女は俺をパパと呼ぶが、今日ここで美優と会う事を知っていたから恐らくは美優の娘である事は間違いないだろう。だがしかし、俺の娘であると言うのはいかがなものか?

元気「美弥ちゃんは何歳かな?」

美弥「12歳だよ」

……12歳。美優と別れて13年だから、分かれる間際に妊娠してたとしてそれを俺に黙って出産してたとしたら辻褄が合うけどな……。

美弥「ママがねえ、今日1日みやと遊んであげてって言ってたから楽しい所行きたいな〜」

元気「分かった。とりあえず車に乗りな」

元気は美弥を車に乗せると、道の駅•思川を出て宇都宮方面へと走り出した。

……何かの間違いだ!俺に娘なんかいない!
宇都宮駅に着いて、元気は美弥を車から引っ張り出そうとしたが美弥は中々出てこない。

元気「ほら、駅に着いたぞ。もうお母さんの所に帰りなさい!美優も心配しているよ」

美弥「やだ。今日ずっと楽しみにしていたのに何でもうお別れなの?つまんないよ」

元気「俺に娘なんかいないんだよ。君の本当のパパは他にいるんだよ。だから帰りな」

美弥「貴方が本当のパパだよ!何で分かってくれないの?DNA検査でもしてみる?」

……美弥の怒ったようで悲しんだ表情を見ていると、なんだか本当に娘のような気がしてきた。困ったけど、この際、信じがたいが美弥を娘だと信じてみたくなってきた。

美弥「もういいよ、パパなんて大嫌い!」

美弥は、元気から離れて行ってしまった。

元気「ち、ちょっと待って!」
餃子像の前で元気は美弥を捕まえた。

……改めて良く見てみると、美弥は俺に良く似ている。美優にも。美弥の言う通りなら俺にこんな可愛い娘が存在してた事になるし、俺の遺伝子を受け継いだ娘が誕生していた事になる。

美弥「……何よ!?」

元気「あ、ごめん……で、どこ行きたいの?」

美弥「パパが娘と行きたいと思う所かな?」

元気「……分かった」

元気は美弥を連れて那須野が原公園に来た。

美弥「ねえ、公園で何して遊ぶの?」

元気「これで遊ぶんだよ」
元気はグライダーを組み立てた。

美弥「何それ?本当に飛ぶの?」

元気「いいから!そら行くぞ!」

美弥「いいよー!」

グライダーは空高く舞い上がった。
……そして木に引っ掛かってしまった。

美弥「つまんな〜い。せっかく那須高原来たんだから、動物と触れ合いたいな〜」

元気「分かった。アイスも食べような」

元気は美弥の手を取って車に向かった。

千本松牧場に来た。美弥は名物であるソフトクリームを食べて上機嫌であった。

美弥「濃厚で美味しいね」

元気「喜んで貰って良かった」

……何だろうか、美弥は12歳と言っていたがたまに大人っぽく見える気がする。



千本松牧場の動物園に来た。美弥はヤギとかウサギに触れ合って楽しんでいた。

美弥「可愛いね。みや、動物大好きなんだ」

元気「……うん、可愛いね」

……美弥に見惚れてしまった。やっぱり美弥は12歳の顔をしている。大人っぽく見えるのは気のせいだと思う事にした。

〜後編に続く〜



〜次回予告〜
年齢詐称疑惑を抱きながら愛娘と旅をする元気だが、次第に本当の娘と思う事にした。

だがしかし、美優とやっと連絡が取れた事によって衝撃の事実を知ってしまう。
★トリ散歩・栃木編(前編)

◎監督 TRICK★STAR
◎演出 TRICK★STAR
◎脚本 TRICK★STAR
◎出演 TRICK★STAR
◎撮影 TRICK★STAR
◎編集 TRICK★STAR
◎衣装  TRICK★STAR
◎小道具 TRICK★STAR