★登場人物
◎権藤 十三(ごんどう・とみ)
謎の組織に雇われた転ばし屋。虫が苦手。
◎鶏憑 元気(とりつく・げんき)
著者。仕事に疲れて放浪の旅に出る人。
……このサイレンサー付きのハンドガンでターゲットのふくらはぎをタイミング良く狙って、転ばすのが私の役目である。
……しかしまあ、元気は何やってんだろうか?尾行していて思ったけど、彼の旅の意図が分からない。ここ道の駅に来て、ぼんやりと景色を眺めている。きっと仕事で疲れているんだろうか?まあいい。私が転ばして楽にさせてあげるから待っていなさいな……フフフ!
トミーは何かの殺気を感じた!
トミ「ぎ、ぎぁああああ!」
トミーは、その場から逃げ出してしまった。
さっきから、湖ばかり眺めて彼は何を思っているんだろうか?不思議な人だ。
……もしかして?自らの命を……?
いや、それなら富士の樹海で決行するに決まっているよね?謎は深まるばかりだ。
トミ「悪く思わないで、貴方の為だから」
トミが銃の引き金を引こうとした瞬間、視界に動く何かが入った!
トミーの叫び声を聞いて、元気が振り返って近づいて来たみたいだ。
のたうち回るトミーに元気は手を出した。
トミ「すいません、大丈夫です……」
元気「……そうですか、カエルがいたのですね。この辺は自然が豊かで野生の動物も沢山いるのですからカエルくらいで驚いたら勿体ないですよ。自然を満喫しましょうよ」
トミ「……そうですね。都会育ちでこう言った場面に慣れていなくて、つい……」
元気「今日は富士山が綺麗に見えそうですよ。君も都会の喧騒を忘れて、時間が許す限り富士山を眺めてみてはいかがでしょうか?」
……そう言うと、元気は去って行った。
……元気……さん?は思ったよりも紳士的な人なんだなと思った。そんな人を私は銃で狙撃して、転ばせて怪我をさせようとしているのか?何だか、物凄い罪悪感を感じてしまうのは何故だろうか?……いや、私は転ばし屋だからターゲットに同情してはいけないんだ!
……彼を追わなきゃ!
……彼は、どこに向かっているのであろうか?神社で参拝したりして一体何を祈祷していたんだろうか?彼を思えば思うほど、彼の魅力に惹かれて行く私はバカなのでしょうか?
トミーは、しばらく無言で元気の後を追っていた。そして、山の頂上付近で振り返ったら驚きの光景が広がっていた。
……何この場所!?富士山と五重塔がマッチして、神秘的過ぎるわ!元気さんは、この光景を見る為にわざわざ山登りしたんだね。
トミ「富士山見てたらもう、狙撃とかどうでも良くなってきちゃったよ……」
……いや、駄目だ。私にも生活があるし、報酬を貰わないと飯が食えないからやるしかない!
トミ「元気さん、ごめんね……」
元気「そこ!手元見てみなよ!」
トミーは、標準を手元に移した。
トミーは飛び跳ねた!
元気「全部知ってたぞー!俺を狙うなんて100年はえーんだよ!また出直してこーい!」
トミ「元気ぃー!覚えてらっしゃい!!」
トミーは、走り去って行った。。。続く。