「たとえ百年生きたって、
 自分の望むすべてをやり遂げる時間なんてないんだ」

(ジェームス・ディーン)




$【ROMANCE】

ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルは言う

「人は常に他者の承認を求めて生きている」





1985年、春。

星野英彦、樋口豊、高校卒業後、2人とも東京の専門学校に進学する。

8月4日、新宿JAMで東京でのBUCK-TICK初ライヴが実施される。
10月に入り、ヤガミトールのバンド“S.P”が解散する。
と同時に実弟:樋口豊より、モーレツに、バンドに勧誘される。
11月8日、BUCK-TICKが新宿JAMで企画したイベントライヴが実質、
前ヴォーカル担当のアラキの最後のライヴ・アクトとなる。
その後、ヤガミトールがBUCK-TICK加入を承諾し上京。
櫻井敦司が、後任ヴォーカリストとして、パートチェンジして、
現在の“第2期”BUCK-TICKの形態となる。

12月4日【BEAT FOR BEAT FOR BEAT Vol.2】が現在のバンド編成にての初ライヴとなる。
当然の如くに、櫻井敦司、初のヴォーカル・ライヴ・アクトとなる。
これを機に、櫻井敦司も、母親の後押しもあり、様々な問題をクリアし上京へ至る。



「東京に出て来て、BUCK-TICKのヴォーカリストになるまで、
俺は本当になにモノでもなかった。
でもあの時から俺は自分の意志がやっと動き始めたのかもしれない。
BUCK-TICKがなかったら、俺はまだなにモノにもなっていなかったと思う」

(櫻井敦司)



$【ROMANCE】



1986年、故郷群馬、東京を中心にライヴハウスに数多く出演し徐々に頭角を現わすBUCK-TICK。
そしてこの頃に、インディーズレーベル太陽レコードのサワキカズヲと出逢う。

サワキカズヲは太陽レコードの主宰者であり、
自らもバンド“音楽結社・火の宮”を従え活動していて、
当時のインディーズ業界ではかなり名の知られた人物であった。
眼光鋭く戦闘服に坊主頭の一見右翼風の、胡散臭い容貌だったようだ。

サワキカズヲがBUCK-TICKと出会ったのは前年1985年のこと。
場所は渋谷にあったライヴハウス【屋根裏】といわれている。
偉大な新人を捜し回っていた彼は他のバンド目当てに来た所、
BUCK-TICKの方に興味をそそられたという逸話が残る。

それも、彼らの演奏をじっくり聴いて興味を持ったわけでは、ない。

ステージに入ってきただけで凄い強烈なオーラを感じ、
一瞬にして「こいつらはいける!」と直観したらしい。

そして会場で配られていたチラシに書かれた連絡先に電話を入れたのだ。



サワキカズヲには、やや神秘的な才能があり、占いが出来、度々未来を予言していたそうだ。
そしてメンバーの名前と生年月日が書かれた紙を手にしてこう言った。

「来年、必ず君たちは売れる」

占いはホロスコープで、彼が出した結果は

「間違いなく大観衆を呼び寄せる偉大なポップ・バンドになるだろう」

サワキカズヲによるとBUCK-TICKの音楽性とその存在が大きく花開くのは、
木星が音楽や美を象徴とする牡牛座を運行する1988年で、
過去、ザ・ビートルズの世界的ブーム、
セックスピストルズの台頭のあった時と同じ星のめぐりだという。
しかも前の年の1987年はBUCK-TICKが世間から引き立て運がある年。
これで「BUCK-TICKは大成功する」と確信したらしい。

この占いで他のイベント用に押さえてあった豊島公会堂を、
急遽「バクチク現象」に変更させ、
別のバンドのLP制作用の予算をBUCK-TICKのLPにあて、しかも「LP、CDの両発売」に変更した。
それも直感と言えるもの・・・
サワキカズヲが占いを100%信じきっての事で、そして全てが占いのとおりに展開したのだった。

こうして
10月21日、太陽レコードより自主制作盤『TO-SEARCH/PLASTIC SYNDROMEⅡ』をリリース。
翌10月22日に、ライヴハウス新宿LOFTにて、デビュー・シングル発売記念GIGを敢行。



「この頃はもうレコーディングを自分たちでやってたんですね、インディーズ決まる前から。
やっぱり『音』がなくちゃだめだなと思った。
ライヴに人は来てくれるけど、その人がいいと思ってくれて友達に話したとしても『いいよ』としか伝えられないでしょ。
『音』を作るしかない、テープ作ろうよ、って。

アニイの知り合いの人のスタジオで録ったんです。
ちょうどその後、渋谷の屋根裏に来てくれた太陽レコードの人が、
ライヴをみて『うちでやろう』と言ってくれました。

ACBってとこは、一回やる時、大体50枚ぐらいチケットをくれるんです。
2万円は先に払うんだけど、あとは自由にしていいって。
だから一枚1000円ぐらいのチケット50枚、売れた分から2万円を差し引いた金額、
それがオレたちのギャラだった。

当時、月に3本ぐらいライヴハウスかけもってました。
一日に数バンド出る中のトリにさせられた事があってね、
他のバンドのお客さんに観てもらおうと思ってたのにみんな帰っちゃって、
2人しか残らなかったという事もありました。カップル一組だけ。
帰るに帰れなくなっちゃったんでしょうね。
演奏終わってから他のバンドのヤツに
『カッコよかったぜ』なんて言われて、『なめんなよ!!』って(笑)」

(樋口豊)



これが、BUCK-TICKのインディーズ・デビューとなる。

すべて起源が、この一曲「TO SEARCH」である。


ヴィルヘルム・フリードリヒ・ヘーゲルは言う

「人は常に他者の承認を求めて生きている」

女子高生の間で流行したルーズソックスのように、成熟した大衆社会では、
人々は他人の望むものを手に入れようと行動する。

ルーズソックスは、マイホームやマイカーや学歴や肩書きなど、
我々の社会で価値があるとされるどんなものにも置き換えられる。

そこでの個性とは、傍から見ればどうでもいいような些細な差異をお競うことだ。

人は誰しも他人に映る自分探しの旅に出かける。

TO SEARCHだ。







$【ROMANCE】




時は2008年。


FC限定ライヴ【FISH TANKer's ONLY】12月6日Zepp Tokyo。


アンコール1は、アルバム『天使のリボルバー』最強のコンピレーション。
「絶界」&「RENDEZVOUS~ランデヴー~」。

確かに、アノ感動は、蘇る。

が、しかし、“祭り”は、確かに終わったのだ。

そう感じさせるような、容赦ないスピーディーな展開で、
“感謝”や“感動”と言ったキーワードよりは、過去への未練など、
微塵も感じさせない、攻撃的で、獰猛で、鋭い研ぎ澄まされたハングリーなイメージを受ける。

楽曲自体の持つ魅力が、ここに露見したと言ってもいい。
自律し自立する楽曲達。
珠玉のロック・ナンバー達のキャラクターが解き放たれていく。

目覚めよ!ロケンの咆哮!



怒涛のアンコール2。

今井&ヒデのギターのアドリブやヤガミ“アニイ”トールのドラム・アンサンブルの中、
配置に付いた櫻井敦司。


櫻井敦司のMC。

「Hey・・・じゃあ。
 全員参加で行きましょう・・・」

で、最も初期のハングリーさを垣間見せるBUCK-TICKの姿が、其処に存在した。


「FLY HIGH」&「TO SEARCH」


新作はきっと、彼らの新たなるデビュー・アルバムとなるのではないか・・・?

そんな予感がした。


「FLY HIGH」では、

「みなさん!ばっちりコーラス宜しくお願いします!」

と、冒頭から観客を煽る櫻井敦司。

印象的フレーズを導き出す今井寿のスタビライザーに乗せて、
櫻井敦司と共に手拍子で突入する「FLY HIGH」。
ややゆったり目のイントロから、星野英彦のレッド・バーニー・フェルナンデスが、
鳥肌モノのギター・リフ・カッティングされ出すと、
今井寿のスタビライザーも本格的にメロディを奏で出す。
樋口“U-TA”豊も初期からのピック・プレイでビートを生み出して、
このメロディと混ざり合っていく。

なんて、キャッチーなメロディだろうか!?
櫻井敦司は、ドラム台の上のヤガミ“アニイ”トールに寄り添うようように、
アニイのビートを確認している。

「そして昼と夜とをたしかめて
しずかにはげしく ROSY-TIME
よびおこす声をきき ふり向くことをすけたのさ 」


アニイの方を向いて、少し今井寿に背を向けるような体制の櫻井敦司。


「夢みることだけを武器にして
はすにかまえた ROSY-NIGHT
もてあますやさしさに 切ったばかりの爪を立て 」


この爪は、美辞麗句。
ゆっくりとドラム・キットの前を横断して中央へ向かう櫻井敦司。


「Cross a dream under the sweet tune
 Cross a dream on confusion 」


櫻井、今井寿、そして星野英彦のフロント3人でコーラスするサビに入り口。
なぜか、このライヴが、22年前の新宿ロフトにタイム・スリップしたような感覚になる。

「OK? Oneself to the fly high 」

今度は、今井とヒデと観客がコーラス!
櫻井敦司は、オーディエンスにマイクを向ける。

「そのまま感じたままで

(OK? Oneself to the fly high)

 かすかに羽根をふるわせ

(OK? Oneself to the fly high)

 空に近いその場所で

(OK? Oneself to the fly high)

 Oh!!!Maybe just!」


櫻井と今井&ヒデ&ファンの掛け合い。
Zeppはひとつになる。

ブレイクから入る間奏。
櫻井敦司はミネラル・ウォーターを撒き散らす。
樋口“U-TA”豊は、目を瞑って、ダウン・ピッキングに集中している。
照明が、真っ赤に染まる!

サビに再び突入した後は、今井&ヒデ&ファンのコーラスと
ヤガミ“アニイ”トールのランデヴー。

今井寿の左手が、人差し指を指し高く高く天を突き上げる。


「OK? Oneself to the fly high!」


を何度も何度も繰り返し観衆に唄わせる櫻井敦司は、
デビュー以前のライヴハウス時代に立ち返ったようなハングリーと同居する、
ベテランならでは、威厳と自信を併せ持つカリスマに映る。


「まだ!!まだ!!」


「もっと!!もっと!!」



そして、ニヤリと笑うカリスマは、こう言う。


「アニイの、、ゲンカイまで!!!」


笑いの巻き起こる客席も止めずにコーラスを繰り返している。

「まだ!!まだ!!」

このファンとアーティストが渾然一体となって、Zepp Tokyoにコーラスが鳴り響く。
それに負けないくらいパワフルな最年長アニイのドラムは続く・・・。

傑作ライヴと言えよう。

素晴らしい一体感だ。

「そのまま感じたままで

 OK? Oneself to the fly high

 かすかに羽根をふるわせ

 OK? Oneself to the fly high

 空に近いその場所で

 OK? Oneself to the fly high!」




自分探しの旅は、高いソラの上に舞い上がれば見つかるだろうか?

サワキカズヲは、BUCK-TICKを信じ込んだ根拠はない。

彼は、自らの内なる声に従っただけだ。
それが、占いという神秘的な道具を利用したものであったとしても・・・。


ヘーゲルは国家という共同体から承認を得ることで人は幸福になれると説いた。

ブランドの魅力は価値観を共有する世界規模の消費共同体に参加できることであろう。
携帯電話の出会い系サイトが人気を博すのは、
実生活では望み得ない承認を仮想空間の共同体が与えてくれるからだろう。

忠誠の対象は違っても、誰かに認められたいという人間の行動は変わらない。

大衆の承諾を得ることが、成功の側面にあることは、否めない。


ところで、あなたの欲望が他人の欲望であり、あなたの幸福が他人の幸福だとすれば、
あなたはいったいどこにいるんだろう?

FLY HIGH!・・・飛び立てば、自分は見つかるのか?




ライヴDVD『FISH TANKer's ONLY 2008』には、
Zepp TOKYO以外のライヴパフォーマンスが収められる【完全予約限定盤/DVD2枚組 BTVR-002~003】
が存在する。
これもFISH TANK会員のみが手に出来るスペシャルDVDで、特典として
①100Pライヴ写真集付き②スペシャルBOX仕様(会員番号・名前入り)が付録されるが、
目玉はやはり【Disc-2】の内容と言えよう。


『FISH TANKer's ONLY 2008』【Disc-2】約44分

■Nagoya Document
1. NATIONAL MEDIA BOYS
2. ・・・IN HEAVEN・・・
3. Baby, I want you.
4. CREAM SODA
5. La vie en Rose~ラヴィアン・ローズ~
■Osaka Document
1. スパイダー
2. Alice in Wonder Underground
3. 真っ赤な夜
4. ROMANESQUE
5. Ash-ra
■Tokyo,Yokohama Document
1. RENDEZVOUS~ランデヴー~
2. FLY HIGH
3. ICONOCLASM
4. MOON LIGHT
5. TO-SEARCH







2008年12月7日【BUCK-TICK FISH TANKer's ONLY 2008】最終公演=横浜BLITZ
前日のZepp Tokyoに続くBUCK-TICKファンクラブ限定ライヴ。

ファイナルは【BUCK-TICK FEST 2007 ON PARADE】が実施されたヨコハマ!


本編のセットリストは、前日の東京と同じであった。
しかし、この夜も最後の【FISH TANKer's ONLY 2008】とあって、
真っ赤に燃えるBUCK-TICKは、ソリッドで、荒々しく、魅惑的な鋭さを示す。

それには、初期のBTクラッシックスのパンキーなエッジが映える。

ラウドなギター・ロック!

これが、今回のBUCK-TICKを際立たせているのは間違いない。



この後にリリースを控えている最新楽曲「HEAVEN」「真っ赤な夜」でも
腕を振り上げアグレッシヴにパフォーマンスするメンバー。

過去のアルバムのオープニングを飾るセットリストの壁は、
必然として、大量のカロリーを消費するセット・メニューと言ってもいいだろう。
オーディエンスは、もう夢中で身体を動かすしかない。


櫻井敦司のMC

「ようこそ横浜へ。
今日はラストのFISH TANKer's ONLYライブです。
しばらく演奏してない曲も今日は演るので、
みなさん!楽しんでってください」

そう言って始まった本編もアッという間。

「キャンディ」「Ash-ra」で怒涛『COSMOS』フィニッシュを鮮やかに決める。



アンコールは若干メニューが違った。


アンコール1の一曲目にエントリーしたのは、
20周年アニヴァーサリーの金字塔「RENDEZVOUS~ランデヴー~」。


このツアー【FISH TANKer's ONLY 2008】としては新しい展開であった。
最終公演で、挑む新たなる試み。

そして早くも2曲目にエントリーしたのは「FLY HIGH」。
前日のハイライトを飾ったBTビート・パンク。
いつもより早目の登場で、新展開に横浜BLITZが湧く。
「アニイの限界」までコーラス要請はなかったが、
アンコール1にて、早くもクライマックスを迎える盛り上がり。
この横浜最終公演では、メンバー紹介で、高く舞い上がる!

「We Love FISH TANKer's!!」

退場時にアニイはスティックを客席に投げ込み。

アンコール2へと期待は高まる。

スタートは「ICONOCLASM」

これも、同ツアーでは、何度かリストに並んでいた傑作BTインダストリアル。

この星野英彦のギター・カッティングは芸術的としかいえない。
ICONO-DANCINGに、BLITZが揺れる。



そして、ラストの一曲と想われていた一曲は!


「MOON LIGHT」!


このツアーお約束の・・・「TO SEARCH」では、ない。

伝説の【Climax Together】のフィナーレを決めた初期の名作。

美麗なるメロディ・ラインは今だ健在だ。

「きつく抱きしめて 全て忘れるまで この身くだけ散るまで
そっと口づけて とろける様に 別れの夜 こんな Moon-light」


甘いメロディとビート・ポップのセンスが光る殺シノ調ベ。



そしてなんと、このまま終了するはずのない【FISH TANKer's ONLY 2008】は、
アンコール3に突入する!


今井寿が髪をアップにして再登場した際、
オーディエンスから怒号のような歓声が沸いていた。

今井寿、結婚おめでとう!!

例のサイレンの音が鳴り響く。


「TO SEARCH」だ。


ホワイトPODでノイズを放つ髪上げルシファー:今井寿!
テルミン内臓の今井兵器とともに、唯一の3度目のアンコールに突入する横浜。
ヤガミトールと星野英彦のカオスなアドリヴが挿入されて、
このBUCK-TICK記念すべきインディーズ・ファースト・シングルが始まる。
樋口“U-TA”豊のデカダンなベース・フレーズと、
ぶっ飛んだ星野英彦のギター・カッティング。
それに、今井ホワイトPODのノイズが広がって逝く。

・・・フロンマン:櫻井敦司はまだ・・・現れない!

出でよ!マイ・ジーザス!

今井寿は、アニイのドラム台に足を掛けると、
黒シャツを着晒したジーザスも、その隣に足を掛ける。

櫻井敦司!

更に熱狂するオーディエンス。

最高温度に、この夜も真っ赤に染まる。

マイクスタンドに駆け寄る櫻井。
鳥肌が立つイントロを今井寿が奏でる。

「OHーーーー!!!

BREAK OUT!!!!

 Ha~~H」


けたたましいテルミンのサイレンの中、一度、スロウ・ダウンし、
櫻井ジーザス敦司が叫ぶ!

「TO SEARCH!!!」

ミネラル・ウォーターを撒き散らす櫻井敦司に、
ノイズ・ギター・サウンドを撒き散らす今井寿。

戦慄の瞬間だ!


「用意はできてる いつでも平気さ
 目に付くものなら ONE BY ONE」



貴公子の白なんかより、気晒しの黒が、やっぱり、この男には、似合う!
櫻井敦司!
我々の“TO SEARCH”だ!

「やるなら今さ 暗がりのうちに 近寄れたら
 そうさ

 BREAK OUT!(BREAK OUT!)
 CAUTION!(CAUTION!)」


ヒデと櫻井の掛け合い。
今井はクールに観客を煽る。

「手をぬかねぇで 暗がりのうちに
 うまくやって このまま」


狂乱の「TO SEARCH」!

今回の【FISH TANKer's ONLY 2008】は、やはりこの曲がナンバー1だ!

低くマイクスタンドを構えた今井寿は、
跪いて・・・二度目のサビからコーラスに参加する。

「どうせやるなら 暗がりのうちに バレねぇように
そうさ

 BREAK OUT!(BREAK OUT!)
 CAUTION!(CAUTION!)」


櫻井敦司が、オーディエンスの手を伸ばしタッチする。

「今ならできる 暗がりのうちに
 うまくやって このまま」



「TO SEARCH TO SEARCH
 TO SEARCH

 しょうがねぇぜ まったく…
 
 TO SEARCH!!!!」



間奏に入るとステージ前面のモニターに足を掛ける今井寿。
ギター・ソロが始まると櫻井敦司は、巨大なスポット・ライトを持ち出し、
縦横無尽に客席を照らし出す。

「やるなら今さ 暗がりのうちに 近寄れたら
 そうさ BREAK OUT(BREAK OUT) CAUTION(CAUTION)
 
 やるなら今さ 暗がりのうちに 近寄れたら
 そうさ BREAK OUT(BREAK OUT) CAUTION(CAUTION)」


今井の肩を組む櫻井敦司。
櫻井のマイクでそのままコーラスを決める今井寿。


「TO SEARCH TO SEARCH
 TO SEARCH
 しょうがねぇぜ まったく…」



テルミンのサイレンの中、BREAKに突入する「TO SEARCH」。

最後のブレイクで櫻井ジーザス敦司は叫ぶ。

「We Love!  We Love!」

サイレントと渾然一体のアウト・ブレイクの中、櫻井は叫ぶ!

「Love!! Love!! Love!! Love!! Love!!」

胸から手を突き出して愛するFTへ捧ぐ。

「We Love!  YOU!!!」

櫻井が去り、足を激しく踏みつける今井寿のセット・アップした長髪は解け乱れる。

最高のブレイクが終了しても、サイレンは止まない。


ドラムヘッドを客席に投げ込むチェッカー・アニイ。

最後にU-TAひとりがステージに残り、愛すべきFISH TANKerに何かメッセージがあるらしい。。
サイン入りペットボトルを客席に投げ込むと、

フロアに自身の使用したタオルを広げサインを始める。
そのサイン入りタオルをFISH TANKerにプレゼント!
そしてマイクスタンドにジャンプしてメッセージうぃ伝える。


「武道館で会いましょう!」


この樋口“U-TA”豊のメッセージですべてのライヴが終了する。

そうだ。

2008年12月29日。

日本武道館。

彼らの新たなる伝説の序章が始まる。





豊かな社会では「自分探し」の旅が流行するが、
たいていの場合、探すべき自分は最初から存在しない。

それは、高いソラの上から眺めても一緒だ。

人は誰からも承認されない人生に耐えることはできない。

一方で、他人の欲望を生きる人生は破綻を免れないだろう。

大衆の欲望は無制限で、渇きは永遠に癒されない。

幸福のカタチを見失う理由は多分ここにある。

たぶん、誰の隣にも、幸福がすでにあるにも、係わらず・・・。

人間ってヤツは・・・しょうがねぇぜ、まったく。


$【ROMANCE】


僕にとって、【ROMANCE】は、あなたの承認を得るための自我【das Ich】だ。
それは、あなたに僕の傷跡を付けるエゴだ。


【BUCK-TICK FISH TANKer's ONLY 2008】

【YOKOHAMA BLITZ SET LIST】

01 NATIONAL MEDIA BOYS
02 ...In Heaven...
03 Baby, I want you.
04 love letter
05 スパイダー
06 Alice in Wonder Underground
07 HEAVEN
08 真っ赤な夜
09 モンタージュ
10 Oriental Love Story
11 ROMANESQUE
12 Cream Soda
13 キャンディ
14 Ash-ra


アンコール1
15 RENDEZVOUS~ランデヴー~
16 FLY HIGH

アンコール2
17 ICONOCLASM
18 MOON LIGHT

アンコール3
19 TO SEARCH




$【ROMANCE】




TO SEARCH
 (作詞・作曲:HISASHI / 編曲:BUCK-TICK)


用意はできてる いつでも平気さ
目に付くものなら ONE BY ONE
うそをちらかし 下心かくし
手当たりしだい CASE BY CASE

やるなら今さ 暗がりのうちに 近寄れたら
そうさ BREAK OUT(BREAK OUT) CAUTION(CAUTION)
手をぬかねぇで 暗がりのうちに
うまくやって このまま

だまし続けて すきまをつくって
スキを与えず ONE BY ONE
合図を決めたら 話を合わせて
生かさず殺さず CASE BY CASE

やるなら今さ 暗がりのうちに 近寄れたら
そうさ BREAK OUT(BREAK OUT) CAUTION(CAUTION)
手をぬかねぇで 暗がりのうちに
うまくやって このまま

どうせやるなら 暗がりのうちに バレねぇように
そうさ BREAK OUT(BREAK OUT) CAUTION(CAUTION)
今ならできる 暗がりのうちに
うまくやって このまま

TO SEARCH TO SEARCH
TO SEARCH
しょうがねぇぜ まったく…


$【ROMANCE】





$【ROMANCE】