「溜め息まで YOUR LIE
舌を絡め甘く DEEP KISS」
ライヴツアー【TOUR2007 天使のリボルバー】東京公演、日本武道館。
この2007年を締めくくる12月29日のアンコール2のステージで、
登場したBUCK-TICKが、演奏を始めた楽曲は、何あろう彼らが20年前ビクターインビテーションより、
記念すべきメジャーデビューを飾ったアルバム『SEXUAL×××××!』のタイトルナンバー
「SEXUAL×××××!」だった。
この20周年を記念するアニヴァーサリー・イヤーの最後に、
この「SEXUAL×××××!」がパフォーマンスされるという事実。
確かに、毎年、この12月29日は、彼らの原点とも言える楽曲の数々が、多数披露される
「THE DAY IN QUESTION」の伝説的な一日であったし、
過去のどんな楽曲でも、割と躊躇なくプレイしてしまう彼らではあったが、
やはり、最新アルバムのツアー中に、この楽曲がエントリーすると、
サプライズ的な喜びが湧きあがってくるのは、もう、どうしようもない事であった。
実は、この日に日本武道館最終公演の前のステージ、
すなはち、前週に大阪で実施された大阪厚生年金会館公演のアンコール2でも、
このポジションにセットリストされて演奏されていた「SEXUAL×××××!」であったが、
この興奮と感概の想いはひとしおであった。
この「SEXUAL×××××!」は、BUCK-TICKというバンドが、
ビクターとしても珍しい試みであったヴィジュアル戦略の実験例として、
ヴィデオ・デビューをしていなかったら、
念願のメジャー・デビュー・シングル楽曲に、選ばれていたであろう楽曲である。
メジャーでのファースト・シングルはこの一年後、
1988年の10月26日にリリースされる「JUST ONE MORE KISS」を待つことになるが、
この「SEXUAL×××××!」こそが、記念すべきメジャーへの第一歩と言えた。
この「SEXUAL×××××!」のヴィデオ・クリップの収録された映像作品『MORE SEXUAL×××××!』の前に、
まだ、インディーズ時代の空気感を充満させるライヴ・ステージの模様を収録した作品
『バクチク現象 at THE LIVE INN)』(1987年9月21日リリース)こそが、
正式なメジャー・デビュー音源となるが、
マスメディアに顔出し始めたBUCK-TICKのプロモーションでは、
ほぼこの「SEXUAL×××××!」の映像が宣材として使用された。
そういった経緯を含めて、全国に初めてBUCK-TICKというバンドが広められた楽曲と言えよう。
そして、楽曲の内容も、シングルとして相応しいモノであったし、
BUCK-TICKというバンドが形容するモノを非常にうまく表現した一曲であったのは、間違いない。
だから、この20年目の日本武道館で、
メジャー・デビュー以来、彼らを応援して来たファンにとっては、
何物にも変え難い一曲になったのは、間違いないであろう。
残念ながら、僕の彼らの初見は、この「SEXUAL×××××!」ではない。
非常に、個人的なことで申し訳ないが、
僕が、彼らを初めて目にしたのは、
この「SEXUAL×××××!」の次の代表楽曲といえる「...IN HEAVEN...」である。
(記憶が正しければ、NHK系音楽番組「JUST POP UP」に出演した時だと思う)
メジャー・セカンド・アルバム『SEVENTH HEAVEN』に収録された楽曲で、
曲調的にも「SEXUAL×××××!」の後を継ぐ、メロディアス・ポップである。
1988年6月21日にリリースされたこのアルバム『SEVENTH HEAVEN』と
ファーストの『SEXUAL×××××!』の間には、
非常に魅惑的なミニ・アルバム『ROMANESQUE』が挟まれる。
このミニ・アルバムも初めはファースト・シングル用に制作された新曲に、
過去のインディーズ時代の作品の再収録レコーディングされた楽曲で構成され、
シングル発売は、またも流され、
彼らのブレイク・ポイントとなる「JUST ONE MORE KISS」を待つこととなった。
今という時代となってはシングル盤リリースという事項に、
当時ほどの重要性を感じないかも知れないが、
アンダーグランドな活動を続けていたロック・バンドにとって、
シングル・リリースは、マスメディアへの露出という大きな役割があったのだ。
ブレイクには、ヒット・シングルが必要不可欠な時代であった。
しかし、どう公平に見ても、この「SEXUAL×××××!」が、
20年前のメジャー・デビューの象徴であることは間違いない。
勿論、他のBTクラッシックス達と同様に、
この20周年の特別ニュー・アレンジを施してのパフォーマンスとなった
天使ヴァージョンの「SEXUAL×××××!」。
聴き応えタップリに、リアル・タイムの楽曲として味付けされていたのが印象的である。
これは、寧ろニュー・アルバム『天使のリボルバー』のコンセプトを、
逆手に取って、アレンジされたと言ってもいいかも知れない。
シンプルなバンド・アンサンブルというコンセプトに添ってレコーディングされた
シングル・カップリング楽曲「MY EYES & YOUR EYES」、「tight rope」とは逆に、
この日、初めて手にしたテルミン内臓兵器シルバーPODの今井寿は、
デジロック的なノイズをふんだんに盛り込んだアレンジで、
この記念すべきメジャー進出の金字塔「SEXUAL×××××!」を演奏したのだ。
そして、この「SEXUAL×××××!」での各メンバーのパフォーマンスは、
当然の如く、素晴らしいとしか言葉が出ないような内容であった。
このニュー「SEXUAL×××××!」は「極東より愛を込めて」がパフォーマンスされるような、
ノイジーで、ドラマチックで、それでいて、キャッチーなままであった。
ヤガミ“アニイ”トールと樋口“U-TA”豊のリズム隊が、
顔を向き合わせてカウントを取るところから始まるアンコール2。
伝説のビート・ナンバーが、此処にハイスペックで再現される。
チープで耳に残る今井寿の絶品のメロディは健在だ。
それに、星野英彦のエッジの効いたギター・リフが重なりあって行く。
再びタキシードのジャケットで正装した櫻井敦司が登場すると、
日本武道館のオーディエンスは、この生きる伝説バンド:BUCK-TICKの目撃者となる。
大歓声にわく会場は、異様な興奮状態とも言えた。
まさに、ここに、時空を超えたスーパー・バンドが光臨している。
やはり、12月29日だけは、特別な一日と言えるだろう。
この日だけは、すべての事柄が、BUCK-TICKを中心に廻っている。
「虚ろいゆく YOUR EYES 火傷しそうな BODY HOLD YOU」
ツアー中、風邪を引いたという櫻井敦司も、
この12月29日には、絶頂といえるコンディションに持ち直している。
初期のパファーマンスでは、やや聴き取り難かった歌詞も、
彼の日本語をしっかりと聴かせる歌唱法への向上で、滑舌も最高潮に、
ハイ・クオリティーのヴォーカルを聴かせてくれる。
「鏡張りの夢は 脱ぎ捨てよう全て TONIGHT」
実力派バンドとしての要諦は、そのビートを支えるリズム隊に掛かっている。
この記念すべきデビュー曲も、最高のグルーヴで聴かせる兄弟。
まさしく最強の二人がいる限りBUCK-TICKのバンド・サウンドに陰りが見えることはないだろう。
演奏しながら時折、笑顔を見せる兄:ヤガミトールのドラムスは、
BUCK-TICKのメジャー・デビューへのトリガーとなった。
以前より櫻井敦司にドラムを指導していたヤガミは、その渾名“アニイ”の名の如く、
バンドをいつも、最後部から見守り続けた。
弟の樋口“U-TA”豊は、ヤガミトールをバンドに誘い込んだ。
すでに高校生時代からバンドを見守ってきた実の兄を、
メンバーに、分け与えた。
その時から、BUCK-TICKはファミリーとなり、“U-TA”だけの“アニイ”は、
メンバー全員の“アニイ”となった。
そして、この二人の生み出すダイナミズムが、BUCK-TICKに疾走感と鼓動を与える。
この二人がBUCK-TICKの心臓だ。
そこから流れる血が、動脈から身体の隅々の毛細血管まで流れ出すポンプだ。
彼らが止まれば、BUCK-TICKも止まる。
本当に、言葉は悪いが、死ぬまで続けて欲しいと想う。
「PLEASE ME AHA SEXUAL INTERCOURSE!」
言い知れない興奮に湧く日本武道館のオーディエンス。
中には、遠い昔のティーン・エイジャーに戻り、恍惚の声援を送っているファンもいる。
そう、そして、その瞳には、過ぎ去りし想い出か?リアルタイムの感動か?
薄っすらと涙を浮かべている人もひとりやふたりじゃない。
ここまで、心を震われせるビート・ナンバーは、そう、有りはしない。
「溜め息まで YOUR LIE 舌を絡め甘く DEEP KISS」
今井側花道へと進むヴォーカリスト:櫻井敦司。
そのビートは、初めっからこの二人のギタリストにコントロールされている。
そのひとりは寡黙な男だ。
一心不乱に、ギター・リフを量産していく仕事人:星野“ヒデ”英彦。
彼のホーカー・フェィスに騙されてしまうが、彼のギター・プレイは、
非常に肉体的にも負担の大きな役割を果たしている。
そう、彼は、とくに初期作品において一寸の隙も作らぬように、
渾身のギター・リフでBUCK-TICKという空間を埋め尽くしていく。
彼の質量が、BUCK-TICKサウンドの密度を決定し、
痩せたり、太ったりしながら、その筋肉の密度をコントロールしていく。
これが、無ければ、サウンドは、BUCK-TICKになりゃしない。
BUCK-TICKの肉体は、彼自身だ。
「傷つきそうなベーゼ 胸で痛みになる AND MORE」
デビュー楽曲にも、奇抜にテルミン・ノイズの山を築くアルピニスト:今井寿。
彼の頭の中には、BUCK-TICKのすべての設計図がある。
彼の妄想こそ、BUCK-TICKという実在する夢のようなロック・バンドそのものだ。
そんな彼は、BUCK-TICKの頭脳と言えるだろう。
彼の宇宙こそが、BUCK-TICK。
彼の世界こそが、BUCK-TICK。
彼の身体こそが、BUCK-TICKだ。
そして、当然の如くに、彼の指示によって最初の一歩が踏み出された。
BUCK-TICK生みの親。
創造主:今井寿。
そしてこの「SEXUAL×××××!」こそが、新しい冒険の旅への挑戦であった。
それまでより、広いフィールドで。
それまでより、高いクオリティーで。
でも、メジャーに行っても、ハートは此処に在る。
何も変わりはしない。
天才:コンポーザーにして、プレジデント。
・・・今井寿。
今夜も最高に、奇抜で、ヘンテコで、最高にカッコイイ!!
「YOU JUST MIND CLOSE YOUR EYES
ささやく I WANT YOU
I JUST MIND CLOSE MY EYES
WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING」
嗚呼、櫻井敦司よ。
出来ることなら永遠に。
“SEXUAL×××××!”とは、あなたの為に存在する言葉に違いない。
こんなにSEXUAL×××××!な人類など、あなた以外に、存在し得ない。
櫻井敦司は、永遠のBUCK-TICKのカリスマだ。
あなたの眼光にひざまづかない者など、ない。
そう、断言しよう、世界一“SEXUAL×××××!”な男、櫻井敦司よ。
どうか、永遠に唄い続けてくれ。
櫻井敦司こそ、BUCK-TICKの血だ。
真っ赤に染まって流れ出す血だ。
この血が、すべての物事にBUCK-TICKの遺伝子を伝えていく。
彼そのものが、メンバーのモチベーションとなる。
櫻井敦司を如何に魅せるか?
櫻井敦司を如何に聴かせるか?
櫻井敦司を、如何に・・・。
もういいだろう。
皆、あなたの為に此処にいる。
今夜もSEXUAL×××××!に逝かせてくれ!
「WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING!!!!」
今井寿のノイズが日本武道館に響いたまま、
「SEXUAL×××××!」で、最後のアンコールが幕を開ける。
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Judas Iscariot。
わたしの名前“ユダ”の意味は「賛美」の意味。
ヤコブの息子の一人ユダ(イスラエル12部族のひとつユダ族の祖)にちなんだ由緒ある名前です。
イスカリオテは「イーシュ・カリオテ」だとすると、
イーシュは「男」なので、「カリオテ出身の男」の意味でもあります。
このカリオテは、南部のケリヨトです。
わたしは北部のガリラヤ周辺の出身で訛りの強かったイエスや
他の12使徒とは少し空気が違っていたかもしれません。
「イスカリオテ」には暗殺者という意味もあるので、
ゼロテ党(熱心党)と関係があってそう呼ばれたという噂もありました。
アラム語で「うそつき」「偽善者」を表す言葉から来ている、など多くの説がある名前のようです。
いつから、わたしがイスカリオテのユダという名で、
呼ばれたかは、よく憶えてません。
でも、この熱心党の一味というのは、まんざら嘘ではありません。
しかし、わたしは、「盗人」のような行為をしたことはありません。
このようなマイナスなイメージは、重要な役割を果たすわたしには、
むしろ、有利だと、あの方、ルシファーさんが、言い出しました。
「そういうダーティーなイメージがついているほうが、お前にはいいんだ。
他の使徒たちも、そういう目でお前を見るので、
使徒団の中で出世するとか、・・・ライバルにならなくて済む。
表面的にはイエスに、憐れんでもらっても、馬鹿にされ、憎まれはせよ、
駄目なヤツだと余計な“嫉妬”買わないから、な」
と、ルシファーさんは言っていました。
隣には、いつも、恐ろしい目をした女の人がいました。
サキュバスさんといいます。
この人に睨まれると、何も主張出来なくなります。
鼓動が早くなり、自分がこの世に存在していること自体が、
罪な事のように、思えてくるのです。
もう、なにか、人間以外の他の物のなってしまいたい気持ちになります。
あの人に座る椅子の脚にでもなって、じっとしていたい。
“絶望”というのでしょうか?
そんなモノが、わたしの胸の去来します。
それでも、
ルシファーさんだけは、わたしのとても優しいのです。
わたしの本性をよくわかってくれているのは、ルシファーさんです。
世間からは、悪魔なんて、呼ばれてますけども、あの方ほど優しい御人は、いません。
赤い巨人と始祖鳥のような竜に跨って、いつも【ソラ】から現われるのです。
「よぉ、ユダ!イスカリオテのユダ!
調子はどうだい?」
と言って、わたしに微笑んでくれるのです。
ルシファーさんに出逢った時、わたしは、熱心党に、強請られていたんです。
わたしの経営する小売り物店の売り上げの半分を取り上げていくのです。
政治資金にする、とか言って、毎日毎晩、酒を呑んでいるのを、
わたしは、知っています。
わたしは、それが、とても嫌でしたが、安全に生活して行く為には、
そうするしかない、と諦めていたのです。
わたしには、そんなに大きな欲望など無かったのです。
ただ、わたしは、平穏無事に生活出来ていればよかったのです。
そんな、わたしの前に、あの美しい方が、表れたのです。
ルシファーさんが紹介してくれたのです。
イエスは、・・・。
なんというか、言葉では表現できないような美しさを持っていました。
それは凡人のわたしでも、わかる絶対的な美です。
金銀財宝などの宝飾品や、ドレスなどで着飾った美しさではありません。
生きる生命の“美”そのものと言えました。
もしくは死を背負った“闇”そのものとも言えます。
それを、両方を持ち得ているからこそ、美しいのです。
わたしは、その方の隣にいるだけで、幸福感を感じることが出来ました。
わたしは、それで、ルシファーさんに、懇願したのです。
どうか、イエスの付き人に推してもらえないだろうか?と。
優しい笑顔のルシファーさんは、
「そうか!ユダ!
お前でも、イエスの美しさがわかったか!
わかった!万事、俺に任せておけ。
明日からでも、イエスの使徒団の台所(財布)事情はお前に任せるよ。
そうだな・・・。
その前に、あの熱心党のヤツらと手切れしなきゃ駄目だな。
いつまでも、アイツらにせびられてちゃ、しっかり仕事なんかできやしないだろう?
ダイジョウブ。
それもこの俺に任せておけよ。
何も心配しなくていいから、イエスの教えをよく守るんだ。
アイツは、この後、凄い事になるからさ」
そう、ルシファーさんに言われて、臆病なわたしは、少しビビってしまったんです。
「ルシファーさん。わたしのような臆病者での使徒になれるのでしょうか?」
そうすると、それを察したルシファーさんは、言いました。
「ユダよ。
臆病者だと、自分で自分をわかってる人間は、そういない。
お前みたいに、自分を客観的に見ることのできる人間は、
人間ウォッチングが趣味の俺からしてみれば、
相当、タフな人間に違いないぜ。
見てみろよ。
あの使徒団のリーダーとか言ってるシモン・ペテロを、
自分が、臆病で脆弱な存在だと認めたくなくて、
それで、イエスの威光にすがっているのさ。
まるで、イエスの威光が自分の物だと他人に見せるために、
あんな風に大声で、他の連中を先導したり、イエスに質問したり、している。
でも、ああいうタイプの人間には、革命は起こせない。
ユダよ。
これは、100%お前の意志の任せることだけれども。
革命を起こせるとしたら、お前みたいのクールに状況を把握出来るヤツなんだ。
お前は、きっと、時と場所に応じて、嘘をついたり、不正を働いたりできる男だ。
それが、大志の為ならな。
そういう男は、いざという時、一番頼りになる。
ユダ。お前は、いいテロリストにだってなれるゼ」
そういって、わたしを調子づかせようとしてルシファーさんが言ってくれてたのを、
わたしはわかっていました。
わたしのような者に、革命など無理に決まってます。
ただ、わたしは、忠実に指示に従うことはできたのです。
そして、わたしはこの出来事に一歩、足を踏み入れてしまったのです。
こういう言い方になってしまいますが、わたしは、決して後悔などしていません。
これが、イエスのお気持ちならいいのです。
わたしの評判など・・・。
わたしは、陰の者となりなます。
誤解しないで欲しいのですが、ルシファーさんに言われたからでも、
サキュバスさんに命令されたからでもありません。
これは、わたしの意志なんです。
わたしからのイエスへの気持ちなのです。
この計画の実行が決定してから、イエスは使徒たちの前で、
わざとわたしを叱りつけるようになりました。
それを見てペテロさんやヨハネさん達は、安堵を得たのです。
他人こそが自分の尺度となるのです。
それは、凡人のわたしもかわりはありません。
わたしは、イエスが笑えば、嬉しい気持ちになるし、
イエスが、哀しそうな表情をすれば、悲しくて堪らなくなるのです。
イエス あなたの隣に 居させて下さい
生きる喜び、それは悲しみ。
命は爆ぜる、それならば。
そうわたしは自分で確かに感じていたのです。
覚めない夢を、嘘で飾り、毒を食らわば、皿まで、と。
イエスが在るなら、わたしも在りたい、と。
それは、愛情とか、信仰とかことばにすると消えてしまいそうな感情でもあるのです。
その為ならば、イエスが在れば、悪魔にもなろうと誓ったのです。
そう、ルシファーさんと“契約”を交わしたのです。
ルシファーさんは、わたしに特別な使命を命じてくれました。
そのことで、わたしの凡庸な人生は180度回転して、波乱万丈の道を歩むことになったのです。
でも、本当に、不思議な事なのですが、わたしは、後悔などしていないのです。
覚悟したの、です。
その時、わたしは、かわったのかもしれない。
いや、イエスに出逢った瞬間に、すでにわたしはかわっていたのかもしれない。
君を食らわば、骨まで。
覚めない夢を、嘘で葬れ。
毒を食らわば、皿まで。
今夜砂漠に、雪が舞い散る。
何処から来たか知らずに・・・。
今夜砂漠に、月は見えない。
這いずり往く当て所無い・・・。
しかしわたしには、使命があった。
ありがたいことです。
「人の子は、聖書に書いてあるとおりに、去って行く。
だが、人の子を裏切るその者は不幸だ。
生まれなかった方が、その者のためによかった」
と、イエスは、わたしのために言ってくれてたようです。
そして、直接わたしに言いました。
「しようとしていることを、今すぐ、しなさい」
と言われてから、内通するために出ていったのです。
だから、わたしに悪魔サタンが入ったとか、
同情してくれる人もいましたが、それも必要ないことなのです。
アダムとイヴが、自分の意志で、神から離れて蛇(サタン)に従ったように、
わたしも自分の意志で、神から離れてサタンに与していったのです。
だから、同情は、本当に必要ありません。
わたしは、イエスの意志のままに行動出来た、数少ない幸福な弟子となれたのですから。
イエスもわたしのことは、そんなに心配してませんでした。
むしろ、ペテロや他の使徒たちことを心配していました。
裏切り者と呼ばれたのは、わたしだけですが、
使徒全員が、或る程度の裏切りを、イエスに対してしていたのです。
それを、わたしはわかっていました。
当然、イエスもそれはわかっていたと想います。
イエスは、自分が捕えられ十字架で殺されること、
その後に、復活して、また、わたしたちの前に現れることを公然と予言していました。
それでも、それを信じる使徒は、いなかったのです。
「死」という宿命から、逃れるられる存在は神をおいて他にいない、と。
イエスは、神などではなく、メシア、すなわち、支配者になると、
そう、使徒たちは考えていました。
でも、わたしは、ルシファーさんと“契約”していたので、
本当に、イエスが神になると知っていたのです。
「死」を凌駕することは、大変なことです。
これに答えて、ペトロをはじめ使徒たちはみな
「たとえ一緒に死ぬことになるとしても、裏切りはしない」
と言っていたのですが、
イエスが逮捕されたときには全員が蜘蛛の子を散らすように逃げてしまったのです。
ペトロに至っては、つかまったイエスの様子を探る大祭司邸まで近づくのですが、
誰かに「お前、イエスの弟子だな」といわれるたびに
「そんなやつのことは知らねぇ」と言い逃れ、しまいには呪いの言葉さえ口にする始末でした。
みんなが裏切ったのです。
ただ、わたしが他の弟子たちと決定的に違ったのは、
ペトロたちが生き返ったイエスに再会して悔い改めたのに対し、
わたしはイエスに赦しを乞わなかったのです。
それが、わたしの汚名のとなりましたが、わたしには、悔い改める必要などなかったのです。
それに、彼ら使徒たちが、悔い改めたのはイエスの格好をしたルシファーさんだったのです。
わたしは、自害したことにして、この地から姿を消しました。
イエスの遺体に香油を塗るためにマグダラのマリヤ、ヤコブの母マリヤ、サロメが、
イエスの墓を訪れると、岩の蓋が動かされていて、中を覗くと或る若者がいました。
若者はイエスが復活したと告げますが、
婦人たちは恐ろしくなってその場から逃げ出し、誰にもそのことを告げませんでした。
その若者もルシファーさんの手下です。
地上に残された使徒たちの改心をさせたのは、あのルシファーさん自身で、
40日間に渡り、使徒たちに説教を続けました。
結局、愚かな人間は、神のチカラという“恐怖”でしか制御できないのだ、と
ルシファーさんは言っていました。
イエスはいいました。
「それなら、皆のすべての記憶を消してしまいましょう」
ルシファーさんも、この提案には、少し驚いていました。
「事実の記憶を消してしまうのです。
そうすれば、人間は、すべての罪から逃れられます。
新しい世界を創るのです。
そして、アダムとイヴからの罪は、もう清算しましょう。
そのかわり「死」は、この地上に残しておきます。
ルシファー。僕はね、想うんです。
「死」こそが、「愛」と生み出す原動力になるのです。
これは、罪としての「死」を人間に授けた父ヤハーヴェ・ヒロエムとは違う解釈です。
人間に「死」は必要なのです。
それが、ルシファー、あなたのいう「恐怖」に替わるものになるでしょう。
人間は「死」を受け入れることで、「恐怖」や「不安」から解き放たれるのです。
「死」を受け入れることで、人間は宇宙と調和します。
その証拠を僕は自ら見せようと考えてるんです」
「・・・・・・【REBIRTH】か。
すべてやり直したいのか?イエス。
・・・わかった“契約”しよう。
後は、俺任せろ」
そういってルシファーさんは、珍しく悲しそうな顔をしました。
それが、何を物語るのか、愚鈍なわたしにもわかりました。
ルシファーさんも、イエスのことを愛していた、に、違いないんです。
イエスの遺骸を墓から運び出したのは、わたしです。
わたしには、姿を消して陰の者となり、やらなくてはならない最期の使命がありました。
これは、マグダラのマリアにも内緒にされていました。
そう、イエスの御子を身籠った新たなる聖母マリアです。
彼女は、大陸の西へ旅立つようにルシファーさんが指示を出していました。
「死」は終わりではない。
「生」への希望なのです。
イエスは結局、蘇りませんでした。
しかし、イエスは新たなる神となったのです。
それは、天空の神ヤハーヴェ・ヒロエムとは、全く違ったカタチです。
わたしはは十字架につけられるイエスの一部始終をその脳裏に焼き付けつつ、
師を売り渡してしまった自分、もはや誰にも顔向けできない自分にできる償いは何だろうかと
必死に祈り自問したのです。
そして、行き着いた答えが「イエス復活劇」そしてその証拠作りだったのです。
ペテロら弟子たちにとっては、罪を背負ったイエスが甦ることだけではダメだったのです。
目に見える形で、イエスが神の子だったという証を示してやらなければならない。
そうすることが、ひたすら愛を説き、愛ゆえに「永遠の同伴者」となるために
「死」を選んだイエスに応えるただ一つの道なのだ、と。
弱虫で卑怯者だったペテロら弟子たちは、
不屈の伝道者としてイエスの教えを説いて回るようになったのです。
しかし、実際には、イエスは蘇りませんでした。
かけがいの無い「死」を体現したのです。
死んでも蘇るとか、
永遠の命を与えるとか、
そういったものに、人間の真実はない、とイエスは体現してみせたのです。
イエスは、ただ、「死」をも受け入れ、それを証明してみせたのです。
イエス=神は、我々、人間の心の中を棲み処にしたのです。
それが、イエス・キリストの意味する、
「新たなる神」の【REBIRTH】でした。
イエスは、あなたのこころの密室に入ったのです。
わたしは、残されたイエス・キリストの遺骸を燃やしました。
昇天したはずのイエスの遺骸が、地上に残っていけなかったのです。
アー・メン・・・。

SEXUAL×××××!
(作詞:桜井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK・中山努)
虚ろいゆく YOUR EYES 火傷しそうな BODY HOLD YOU
鏡張りの夢は 脱ぎ捨てよう全て TONIGHT
PLEASE ME AHA SEXUAL INTERCOURSE!
溜め息まで YOUR LIE 舌を絡め甘く DEEP KISS
傷つきそうなベーゼ 胸で痛みになる AND MORE
PLEASE ME AHA SEXUAL INTERCOURSE!
PLEASE ME OH YES SEXUAL INTERCOURSE!
YOU JUST MIND CLOSE YOUR EYES
ささやく I WANT YOU
I JUST MIND CLOSE MY EYES
WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING
YOU JUST MIND CLOSE YOUR EYES
ささやく I WANT YOU
I JUST MIND CLOSE MY EYES
WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING
PLEASE ME AHA SEXUAL INTERCOURSE!
PLEASE ME OH YES SEXUAL INTERCOURSE!
YOU JUST MIND CLOSE YOUR EYES
ささやく I WANT YOU
I JUST MIND CLOSE MY EYES
WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING
YOU JUST MIND CLOSE YOUR EYES
ささやく I WANT YOU
I JUST MIND CLOSE MY EYES
WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING

