「Hey!!! ヨコハマ!!!

盛り上がっていこう!!!」




2007年9月8日、横浜みなとみらい・新港埠頭特設野外ステージ。
BALZACの本格パンク・ショーに続いて登場したのは、
ヘヴィなハードコア・サウンドで攻めてくるRUNAWAY BOYS(kyo and nackie)。
哀愁のある楽曲とメタリックな要素が混ざり合う、独特のバランスが持ち味の
NARASAKI率いるCOALTAR OF THE DEEPERSのメンバーによるライヴ・アクトから、
彼らのパフォーマンスは始まる。

このCOALTAR OF THE DEEPERSは、1991年結成。
シューゲイザー・デスメタル・ハードコアパンク・テクノ・ネオアコ・ボサノヴァ等々、
様々なジャンルが混在したサウンドを見せる。
1990年代初頭からアメリカのシカゴから派生して来たオルタナティヴ(NIRVANA)のブームを、
日本のアンダーグランド・ロック・シーンで反映させてきたバンドで、
正式メンバーはリーダーのNARASAKI(ヴォーカル・ギター・ベース・プログラミング)とKANNO(ドラム)
の二人のみで、
その他は、正式メンバー、サポートメンバーあわせ、
かつて「Coaltar of the deepersであった者」は10人以上存在する。

NARASAKIは、近年のライヴではギターを持たずにヴォーカルにも専念していて、
他のアーティストのカバー楽曲以外は、ほぼ全曲にわたり作詞作曲をしているが、
作詞はバンド内外問わず他人に任せることも少なからずある。
しかし“Howl”というパート担当でクレジットされるkyoが参加する
このRUNAWAY BOYS(kyo and nackie)では、逆にギターに専念している。

リーダーと唯一のメンバーのドラムスKANNOは、高速でハイハットをさばく激しいドラミングを見せる。
NARASAKI曰く「ほんとうに凄いと思います」とのコメントもある。

サポートメンバーは、 Akira(Plastic Tree) Koji(ex-COCOBAT)
Watchman(a.k.a.大島昌樹、The Sleepwalk Sadesper Record ex-Melt-Banana)
Kenjiraw(cali≠gari、CYCLE、PSG ex- SEX MACHINEGUNS)

ギタリストのAkiraは、Coaltar of the deepersのサウンドに多大なる影響を受けたギタリストで、
自身のバンドPlastic TreeでNARASAKIの楽曲に影響を受けたサウンドを展開し、新境地を開いた。
なお、その音源にはNARASAKIも参加している。
サポート当初は「サポート」ではなく本気でCoaltar of the deepersの加入を考えていたという。
本家のPlastic TreeとCoaltar of the deepersのライヴ日が重なることが多く、
サポートを外れることがままある。
その際は上手ギターにkojiが回りNARASAKIがギターを持つ。

もう一人のギタリストKojiは、1998年頃、かけもちしていたCoaltar of the deepersに専念するため、
当時在籍していたCOCOBATを一時脱退。
その後Coaltar of the deepersがベスト盤をリリースした後、
ICHIMAKIのCoaltar of the deepers加入と入れ替わる形で、
またCOCOBATに戻ったが、2002年に再度脱退している。
再度ichimakiが産休に入っていたため、またも入れ替わりで、
同年よりCoaltar of the deepersのサポートに出戻りそのまま現在に至っているという
異色の経歴の持ち主である。現在は下手ギターを担当する。

キーボード・パーカッションのWatchmanは、元Melt-Bananaのドラマーであり、
ライヴではKANNOがフロントに立つ際、代わりにドラムを叩くこともある。
アルバム「newave」リリース時からサポートとして加わり、彼による作詞の曲も今に至るまで多い。

ベーシストのKenjirawは、NARASAKIも参加している大槻ケンヂのバンド・特撮でも
サポート経験があり、ほとんどアイコンタクトを取らず、一貫して指引きで弾き通すなど、
独特のライヴパフォーマンスで存在感を誇示している。
(※今回のフェスには、MURAIがベースで参加している。このMURAIはバイオリンなどもプレイする)


こういった広いバンド交友の末に、日本のオルタナティヴ・ロック・シーンを結び付けるNARASAKIは、
BUCK-TICKのトリビュート・アルバム『PARADE~RESPECTIVE TRACKS OF BUCK-TICK~』に参戦するにあたり、
ここに、D'ERLANGERのカミソリのようなヴォーカリスト:kyoに声をかけ、
RUNAWAY BOYS (kyo and nackie)のユニット結成に至っている。

「今日は楽しんでって下さい」

外見と違い少年のような声でMCをするNARASAKI。

サイケでポップ、そしてヘヴィな「Hypervelocity」に続き、
NARASAKIのラッパが響き渡ったかと思えば、
曲調はCoaltar of the deepersの十八番デスメタル調に展開していく。
デスヴォイスからメタリックな高音ファルセットまで使い分けるNARASAKIのヴォーカルに
横浜に集結したオーディエンスの誰もが驚いたことだろう。

ステージ煌めくライトアップが陽炎のように揺れる台風一過の猛暑の中、
シュゲーザーな音像でオーディエンスの意識を奪う。

ゴリゴリの本格スラッシュ・メタルの世界観を、この特設ステージで展開されると、
この【BUCK-TICK FEST 2007 ON PARADE】が如何に幅広いジャンルのアーティストによって実行に至り、
BUCK-TICKというバンドの存在が、如何に広い範囲の音楽に対して、
影響を与えて来たかを思い知ることになる。

ダークではあるが、決してへヴィではないBUCK-TICKサウンドの根幹に、
このデスメタリックなマシナリー・サウンドが巣食っているとしたら、
それは、実際のサウンドでの表現ではなく、BUCK-TICKの導き出すサウンドから派生する、
イメージが、僕達の脳みその伝達する過程で、想起される類のモノである。

わかりずらく書いたが、とにかく、へヴィでハードなメタリック・サウンドの威力に、
押し倒されそうになりながら、このバクチクする重低音の波に、
高く高く沈んでいくのだ。

この要素を今井寿はアルバム『Mona Lisa OVERDRIVE』の疾走感溢れる“攻撃性”の中に潜めた。
そして、その匂いを嗅ぎつけた星野英彦のスラッシュ・ナンバー「MONSTER」に、
彼らの食指が動いたとしても、なんら不思議はないと言えるだろう。


D'ERLANGERのカミソリ・ヴォーカリストkyoがステージ登場し、
横浜に集結したBUCK-TICKフリークを煽り倒す!

「Hey!!! ヨコハマ!!!」

D'ERLANGERは、1983年から1990年にかけて活動し、
2007年に再び活動をはじめたロック・バンドの雄である。
X JAPAN、COLORと共にヴィジュアル系のルーツと言われる。

D'ERLANGERのギタリスト瀧川一郎は、ヘヴィメタルバンド44MAGNUMのギタリストJIMMYを
師匠としていた。

この瀧川一郎(CIPHER)中心に
オリジナル・メンバーのヴォーカルの宮平薫、ベースの中尾朋宏(SEELA)ドラムの宇野忠(SHI-DO)
1983年に結成されたD'ERLANGERは、1989年まで京都を中心にインディーズで活動を続ける。

1987年10月、SHI-DO脱退し、
元デッド・ワイヤー,SAVER TIGER,メフィスト・フェレスの菊地哲(TETSU)が加入。

鋭い目つき金髪のヴォーカリストkyoとこのTETSUは、
SAVER TIGERにX JAPANのhideと同時期に在籍していた経歴を持つ。

ドラムのTETSUの伝手で、1988年7月1日 元デッド・ワイヤー,SAVER TIGERの磯野宏(kyo)は、
D'ERLANGERに、加入している。

このメンバーで、インディーズ・シーンでは、すでに大物であったD'ERLANGERは、
翌1990年にBMGビクター Alioraレーベルよりメジャーデビューを果たす。
が、同年11月19日突然解散。(解散発表は12月24日であった)

kyoはその後、1991年にソロ・プロジェクトとしてDIE IN CRIESを立ち上げる。
後yukihiroらをメンバーに引き入れ、バンドとして1992年メジャー再デビューをするが、
1994年、DIE IN CRIESを活動休止させ、ソロアルバム『異邦人(ALIEN) 』をリリースしている。
翌1995年には、DIE IN CRIES解散し、kyoは本格的にソロ活動を始める。

2000年に入り、元DIE IN CRIESの室姫深とともにBUGを結成した。

この2007年には、D'ERLANGER再結成。
kyo、CIPHER、SEELA、TETSUという解散時のメンバーにて活動を再開している。
(※現在BUGと平行して活動中)


“kyo”のトレードマークといえる金髪は、
ハノイ・ロックスのマイケル・モンロー、デヴィッド・シルヴィアン、44MAGNUMのPAULへの憧れから。

BUCK-TICKトリビュート楽曲の「MONSTER」をシャウトするkyo。

Coaltar of the deepersによるデジタルに歪んだリズムに踊らされた観衆は熱狂し、

「kyo!!」

という絶叫が飛び交っていた。
この、「MONSTER」演奏開始の瞬間、背骨がしびれるような戦慄を感じる。

それまで、ステージ狭しと、派手なアクションを決めていたCoaltar of the deepersも、
カリスマ・ヴォーカリスト“kyo”の登場に、定ポジションに戻り、
ビシッとした姿勢で、凄まじいパワーの演奏を始めまめる。

「俺はブッ飛ばしている 夜をブッ飛ばしている」

NARASAKIが、発言している通り、
ドラムスKANNOは、高速でのハイハットが激しい“ほんとうに凄い”ドラミングだ。
本家BUCK-TICKの「MONSTER」より速いテンポで、怒涛の爆走を続ける「MONSTER」。
星野英彦も、恐らく身を乗り出して見ていたであろうライヴ・アクトだ。

ラウドなギター・サウンドに絡みつく、デジタル音。
打ち込み音と生のソリッド・サウンドが混ざり合う境地。

カミソリ・シューター“kyo”がそこに、切り裂くように割って入る。


この炎天下、全く休むことなく、まさに覚醒した“MONSTER”のように、
獰猛に襲いかかる。


「暴れる MACHINE ケツが滑る 震える鼓動 光が包む」


「YOKOHAMA!!」とオーディエンスを煽りかけるkyoが、
このイベントを更に熱くする。

「覚醒する真っ白なライン」

NARASAKIもコーラスを決める

「溶かしてくれ!」

本当に溶けてしまいそうな暑さの中、
混ざり合う強烈な、爆音と狂った太陽・・・。

kyoが唄う。

「お前の中に俺がいる 俺の中に お前がいる」

激しい時は終わりを告げ、彼らの熱狂と爆走のライヴアクトは終了する。
この耳に、へヴィな耳鳴りだけが残る。

kyoは観衆へエールを贈る。

「最後まで!頑張って!!」

NARASAKIとkyoが肩を組んでステージへ去る。

RUNAWAY BOYS(kyo and nackie)凄いユニットだ!


Vocal,Guiter : NARASAKI
Drumus : KANNO
Guter : KOJI
Bass : MURAI
Keyboard : Watchman

Howl : kyo




【RUNAWAY BOYS(kyo and nackie) SETLIST】

1.Hypervelocity
2.Killing An Arab
3.Rage〔Systems Made of Greed〕
4.THE END OF SUMMER
5.MONSTER




MONSTER
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)


俺はブッ飛ばしている 夜をブッ飛ばしている
頭の化物が俺の中で ブッ壊れている

暴れる MACHINE ケツが滑る 震える鼓動 光が包む

俺はブッ壊れている 夜にブッ壊れている
頭の化物が 俺の中でブッ飛ばしている

狂える MACHINE 闇に吠える 全開な鼓動 光が包む

覚醒する真っ白なライン 溶かしてくれ
何処までも高く飛ぶさ 溶かしてくれ

お前の中に俺がいる 俺の中に お前がいる

俺はブッ飛ばしている 夜をブッ飛ばしている
頭の化物が 俺の中でブッ壊れている

狂える MACHINE ゲツが滑る 震える鼓動 光が包む

覚醒する真っ白なライン 溶かしてくれ
何処までも高く飛ぶさ 溶かしてくれ
覚醒する真っ白なライン 溶かしてくれ
何処までも高く飛ぶさ 溶かしてくれ

お前の中に俺がいる 俺の中に お前がいる

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