「バカンスを楽しむ人々は 散り散りに 逃げまどう
砂浜は爆発し 憐れ皆んなは一巻の終り」
【Lucy Show002~Shout,Speed,Shake your ROKAROLLICA~】の東京公演。
サイケデリックなギターのイントロから始まるビート・ナンバーは、
大江慎也在籍時のザ・ルースターズの代表楽曲。
夏のバカンス中、上空に爆撃機が突然やってきて爆弾を落とす
サイコな歌詞が、不安定な当時の大江慎也の精神状態を映し出す。
1983年頃より大江慎也が精神的に体調を崩す事が多くなり、
1984年に、大江慎也は度重なる体調不良により、音楽活動の休養を余儀なくされる。
残ったメンバーらは一時期、「1984」という変名バンドで活動するが、
大江慎也の体調は回復せずに、1984年12月21日リリースのアルバム『Ø(PHY)』を最後に、
ザ・ルースターズからの脱退とアナウンスされた。
ザ・ルースターズは、さらにメンバー・チェンジも相次ぐなど、不安定な体制が続く。
1986年以降は、花田裕之、下山淳を中心とした新生ルースターズでの活動となり、
初期の男らしさのある骨太ロック・サウンドや歌詞とは違った、
下山淳の変態的なギターサウンドが奏でるグラムロック調のサウンドと、
柴山俊之の書くエロティックな歌詞が特徴として変わっていった。
その後もメンバーチェンジを繰り返し活動を続けたることになる。
それ以降も数々の傑作を発表したが、
1988年7月22日の【FOUR PIECES LIVE(渋谷公会堂)】公演を開催。
このライヴをもってTHE ROOSTERZは解散する。
「爆撃機が400機 所狭しと飛び回り
機関銃の音が響き対空砲火の玉が飛び交う」
現在でも多くのファンからリスペクトされているザ・ルースターズは、
新宿ロフト時代のBOØWYが特にライバル視していたバンドとしても知られ、
また彼らの音楽的な影響は計り知れないものがある。
この【FOUR PIECES LIVE(渋谷公会堂)】のアンコールで
大江慎也(ヴォーカル、ギター)、花田裕之(ギター)、井上富雄(ベース)が揃い、
疾走感のある初期の代表曲「C.M.C」を演奏した。
この「C.M.C」もLucyはライヴ・アンコールで見事にカバーしている。
また、BUCK-TICKは、この時期にメジャー・デビューしている。
一方、大江慎也は、1987年1月には体調を回復し、
アルバム『ROOKIE TONITE』でソロ活動を開始した。
『HUMAN BEING』(1987年8月)『BLOOD』(1988年6月)
『PECULIAR』(1989年4月25日)『18 YEARS』(1989年)次々ととソロ・アルバムをリリースして行く。
1990年に“大江慎也+ONES”を結成するが、その後、業界から姿を消す。
ちょうど、空前のバンド・ブームが訪れ、
日本ミュージック・シーンを席巻していた時期である。
「500㌔爆弾 ガス爆弾 雨あられと舞い落ちる
リゾートホテルは粉々に壊れ火の粉は海に降り注ぐ
突然空は真っ黒こげ 悲劇と化したサマービーチ
ヤシの木茂る海辺の歴史は あっという間に木っ端微塵」
2003年、大江慎也は、ザ・ルースターズ時代のメンバーにより構成されたバンドROCK'N'ROLL GYPSIESへ
数曲作詞で参加し、音楽活動を再開する。
ROCK'N'ROLL GYPSIESでのレコ発ライブではアンコールに飛び入り参加した。
十数年間の長い沈黙を破ったことは、業界やファンに衝撃と歓喜を持って迎えられた。
10月新たにUNを結成する。
メンバーには鶴川仁美(元ザ・ロッカーズ)、小串謙一、坂田伸一(元サンハウス)。
2004年、 大江の活動再開を機に、周囲のルースターズ再結成への期待が高まる中、
ついにルースターズでのラスト・ライヴを行うことが発表される。
7月 フジ・ロック・フェスティバルグリーン・ステージでのライブをもって、
正式にザ・ルースターズは解散することになる。
2006年 3月8日、活動再開後、ソロアルバムとなる『THE GREATEST MUSIC』をリリース。
レコーディングには、花田裕之・井上富雄・池畑潤二というルースターズ時代の面々が参加した。
発表直後には、発売記念インストアイベントライブを数本行った
サポートギタリストとして彼らを愛して止まないアベ フトシが参加していた。
「C.M.C! C.M.C!
Summer Day Summer Beach Summer Sun」
ロックバンド、ザ・ルースターズの軌跡は、
同時期に解散したBUCK-TICKの同郷の先輩格で、バンドブームの火付け役とされる
伝説のバンドBOØWYと比較されることがある。
メジャー・シーンに躍り出て、驚異的なセールスを記録し、
その全盛期に、最も美しい姿で解散したロック・バンドBOØWYと、
メンバーチェンジを繰り返しながら、空中分解寸前で、活動を続け、
そんな状態でありながらも、評価されるロック・バンド、ザ・ルースターズ。
現在活躍しているミュージシャン、音楽関係者の多くが彼らをリスペクトしており、
このように彼らが後世に与えた影響は、バンドブーム到来のきっかけとなったBOØWYの影で、
マニアックかつ濃いフォロワーを数多く産んでいくことになる。
あるメディアでは、1988年はBOØWYが解散した年ではなく、ザ・ルースターズが消えた日だと語っている。
元BOØWYの布袋寅泰もギタリストとして下山淳の才能を認めていたされる。
また、布袋寅泰と下山淳のサウンドは似ている部分があると評価する人間もいる。
布袋寅泰のキレのある鋭いエッジのサウンド、
下山淳の変態ギター・サウンドと呼ばれる絡みつくような粘り。
今井寿のここら辺の年代的には一期上の先輩ギタリストに影響を多大に受けて、
その独自のギター・プレイを身に付けていったのだろう。
布袋寅泰のエッジサウンドと下山淳の変態ギターサウンドが、
グラマラスに融合した感覚が今井寿の持ち味だ。
今井寿は、ギターを“魔法の杖”に変えた。
しかし、Lucyでの今井寿は、ひたすら、ギターをかき鳴らすギター少年だった。
その今井寿がヴォーカルを担当するこの「C・M・C」の意味は、
“CRUSING MISSILE CAREER”
「巡航ミサイルのスピードの軌跡」だ。
まさしく、ザ・ルースターズの軌跡そのものといえる楽曲を、
“ROCKAROLLICA”の熱狂を込めて、
今井寿は、Lucyスタイルで歌い上げた。
「突然空は丸こげ 悲劇のサマービーチ」
この「C・M・C」を聴いていると、
今井寿の傑作、BUCK-TICKの「Sid Vicious ON THE BEACH」が連想されるのは、
僕だけ、だろうか?
「コバルト60打ち上げ花火
愛より深く世界を飲み込む」
6月14日の東京代官山UNITでの
【Lucy Show002~Shout,Speed,Shake your ROKAROLLICA~】では、
今井寿の熱いヴォーカルに、アンコール2に突入したLucy。
その熱狂のせいか、Kiyoshiは、上半身裸になって、パフォーマンスする。
これぞ!“ロックンロール・エンブレム”!!
C.M.C
(作詞:大江慎也/作曲:The Roosters)
珠惑のホリディ サマービーチ 波の光に揺れるパラソル
シーサイドテラスに腰掛け あの娘とワインをかたむけてると
轟音が鳴り響き空からミサイルが落ちてきた
海辺で遊ぶ磯ガニは慌てふためいて走り出す
バカンスを楽しむ人々は散り散りに逃げ惑う
砂浜は爆発し 哀れみんなは一巻の終わり
爆撃機が400機 所狭しと飛び回り
機関銃の音が響き対空砲火の玉が飛び交う
500㌔爆弾 ガス爆弾 雨あられと舞い落ちる
リゾートホテルは粉々に壊れ火の粉は海に降り注ぐ
突然空は真っ黒こげ 悲劇と化したサマービーチ
ヤシの木茂る海辺の歴史は あっという間に木っ端微塵
C.M.C C.M.C Summer Day Summer Beach Summer Sun
突然空は丸こげ 悲劇のサマービーチ

