LOVE ME[FISH TANKer's ONLY]/BUCK-TICK
2006年9月【FISH TANKer's ONLY 2006】2回目のアンコール。
樋口“U-TA”豊がハンドタオルで汗を拭きながら登場。
続いて櫻井敦司が、黒のトレンチコートを脱いで、下に着ていた白いブラウスを、
黒のブラウスに着替えて登場した。
ベルトはシルバーに輝いて8月の【SUMMER SONIC 2006】と同じ姿だ。
その櫻井敦司がMCで、
「今日はファンクラブ限定ライヴで…、映像を撮ってます」
と語り、現場に張りつめて映像の撮影をしている林ワタル監督に向かって、
「林さんにも、ファンクラヴに入ってもらおうかな(笑)
良い映像ができると思うので、楽しみにしていて下さい」
とこのライヴが映像化されること明かした。
一曲目は、星野英彦の「空蝉-ウツセミ-」。
ライヴ初登場のニューシングルのカップリング・ナンバー。
観衆も独特の清涼感を伴うこの新曲に聴き入る。
心地よいリフレインが、FISH TANKer達の胸に沁みいる。
このセミの嗤いながら、狂いながら、啼く声が、頭のなかで、反響する。
そして、今井寿の狂おしいフレーズから始まるニューシングル「蜉蝣-かげろう-」。
後半は、FISH TANKerとの掛け合いになる。
「薄紅乱れて (真夏の夜の夢々)
飛び立つ蜉蝣 (恋焦がれる)」
「後、少しだけ、お付き合い下さい」
と、丁寧に御辞儀する魔王=櫻井敦司。
「蜉蝣-かげろう-」をトレースするかのように、またもや今井寿の狂おしいイントロ・フレーズ。
名曲「ROMANCE」が始まる。
今宵も、最後の場面が始まる…。
「ああ今夜も麗しい…跪き祈りの歌を…」
とまたもや、13th FLOORに跪いて謳い上げる櫻井敦司。
この結成20周年記念シングルが終わると、
年末の【THE DAY IN QUESTION】なみのヴォリュームで繰り広げた【FISH TANKer's ONLY 2006】も、
最後の一曲を迎えることになる。
「今日はありがとう。 最後の一曲です。
さぁ、楽しんで…、終わりを楽しんで…」
今井寿は、アニバーサリーを奏でる。
フィニッシュは「LOVE ME」。
FISH TANKerの上げられた両手が花園のように揺れる。
「LOVE ME=愛をちょうだい」
大合唱のFISH TANKerを見つめ、その“愛”のぬくもりに、
櫻井敦司は、少し感傷的な表情を見せる。
ファンが、居たから、かけがいのない“愛”をくれたから…、
俺達は、今、ここで、こうして…。
対価を払わなければならない。
“愛”には、“愛”を。
「(愛を)どうもありがとう!」
皆を呼び指して、櫻井敦司は思わず口にする。
「最高の“ファン”です!」
言葉にならない嬌声…をあげる櫻井。
「A~~~~~~~~ha~~~~~~~~~~×××××!!!」
そして、FISH TANKerと同じように、両手をあげて、
「ボクらの“宝”です!!!!」
そう言って、拍手して、ステージを去って行く。
観衆の拍手喝采。
残ったメンバーが、最後のロック・ジョブを決める。
嘶く今井のスタビライザー!
星野&樋口が、ありったけのピックを客席にばら撒いている。
アニイが笑っている。
◆◇◆◇◆
「LOVE ME=愛をちょうだい」
「LOVE ME」は、巨匠手塚治虫による日本の漫画『ブラック・ジャック』のある話が元ネタになったという。
櫻井敦司が小学校の時代に読んだ、病気で喋れないかわいそうな女の子が主人公の話がソレのようで、
端からみてると凄く不幸なんだけれど、
本人は全然不幸だとは思ってなくて、幸せだと思っている。
そんな様子を櫻井敦司は「LOVE ME」の歌詞に込めたという。
『ブラック・ジャック』で登場する女の子は、多数いて、どのストーリーか断定出来ないが、
やはり象徴的な女の子のキャラクターは「ピノコ」であろう。
「細い手首をかみ切る 媚薬が傷にしびれる」
ピノコは、単行本第2巻「畸形嚢腫」で、
双子の姉の体のこぶ(畸形嚢腫)の中に脳や手足、内臓等がばらばらの状態で収まった状態で登場。
それまでもあちこちの病院で摘出手術を受けようとしたのだが、
念力で手術道具を破壊したり、テレパシーで医師等を狂わせるといった超能力で手術を妨害するため
手がつけられず、もぐり医師であるブラックジャックの病院に運び込まれた。
ブラックジャックも当初は妨害を受けたものの、
「摘出しても培養液に入れて殺さない」
と説得をして麻酔をかけ摘出。
その後、一人の女児として組み立てられた。
この「畸形嚢腫」では結末としてピノコが組み立てられた翌日に、
ピノコが転院する患者である姉と初対面し、
寝たままの姉を踏みつけて激昂する場面があり、
ピノコが自由に動ける人間になったように描かれている。
「Love me 涙も Crying 血の色」
姉とはその後何度か再会する。
だが、世間体を気にする相手に避けられ
本人自体も妹なんていないと言っていることから、
ピノコ本人もよほどの事情が無い限り姉と会うことを拒絶している。
ただ、ピノコの姉が自殺未遂を図って記憶喪失になり、
ブラック・ジャックのもとで治療を受けたことがあった。
その際、たがいに相手が実の姉妹であることに気付かなかったために、
姉の入院中だけはかえって本当の姉妹らしく振舞うことが出来た。
「どんなに夢を見ても 気付けばいつも独りさ」
顔は医学雑誌に掲載された公害病患者のロミという少女の顔を元にして作られている。
ブラック・ジャックとともに生活するただひとりの家族であると同時に、
ブラック・ジャックが全幅の信頼を寄せる忠実な助手でもある。
戸籍上の年齢も実質年齢も0歳だが、
いままで患者の体内で生きてきたことを理由に自分は18~20歳の
「としごろのレレイ(レディ)」だと言い張っているが、
実際の知性や行動は見た目どおりの幼稚園児程度。
実際に幼稚園に入ったこともあるが、園で暴れて入園を拒否された。
ブラック・ジャックの「おくたん(奥さん)」と自称しているが、
ブラック・ジャック自身は娘のように扱っている。
嫉妬深い一面も持っており、ブラック・ジャックが若い女性と関わることを嫌う。
「Love me 夢見て Dreaming 眠ろう」
原作の中で一度、ブラック・ジャックは彼女の将来を想って養子に出したが、
ブラック・ジャックを慕ってピノコが戻ってきた時、
丁度彼は自分自身を手術しており、手術道具を忘れるというミスを犯していたのをピノコが助けた。
結局養子の話はなくなり、
以後ピノコは主に自宅で手術を行う時はブラック・ジャックの助手として付き添うようになる。
ただし、非人道的とも受け取れる手術に関しては
ピノコが関わらないようにブラック・ジャックも配慮しているようである。
医療の現実に苦悩する主人公のそばで明るく振舞い、
主人公に生きる事の奇跡を案じさせる名脇役として、読者の人気を勝ち得た。
助手といっても医学教育を受けていないため、
基本的にできるのは医療器具の手渡し程度に限られている。
しかし、ピノコの何気ない行動がブラック・ジャックの医療行為に役立ったりする。
中にはピノコ自身が積極的に発案してブラック・ジャックが手術を成功するのに
大きな支えになったこともある。
「My Darling 月夜に 羽を 広げて」
普段はブラック・ジャックも口には出さないが、
彼女のことを最も信頼しており、
作中でもピノコのお陰で手術が成功した際は「最高の助手」と語っている。
「人生という名のSL」では、夢の中に八頭身になったピノコが現れたが、
「八頭身の美女にも興味は無い」と言ったあと落胆するピノコを見て、
「お前は私の奥さん、それも最高の妻じゃないか」
と夢の中で発言している。
「消えるまで Love me」
得意料理はブラック・ジャックの好物でもあるカレーライス。
ブラック・ジャックは「いつまで経っても美味くならない」と泣きながら嘆いていた。
作中では魚を捌いたりフライを揚げたりといろいろな料理を作っている場面もあるのだが、
味噌汁にソースを入れる癖が直らなかったりするのでそんなふうに言われてしまう。
買ってきた卵のパックを帰宅の途中で落として、卵をすべて割ってしまったが、
もったいないからと20個分の卵で卵焼きを作ってブラック・ジャックに食べさせたこともある。
「My Darling ちぎれた 夢に さよなら」
そんなピノコの“夢”は現在の三頭身の体から、八頭身の美女になることである。
「ささやいて Love me」
・・・BJ・・・“愛”をありがとう。
・・・BT・・・“愛”を。
(wikipedia参照)
LOVE ME
(作詞:桜井敦司/作曲:今井寿/編曲:BUCK-TICK)
細い手首をかみ切る 媚薬が傷にしびれる
Love me 涙も Crying 血の色
どんなに夢を見ても 気付けばいつも独りさ
Love me 夢見て Dreaming 眠ろう
My Darling 月夜に羽を広げて
消えるまで Love me
ラララ・・・
My Darling ちぎれた夢に さよなら
ささやいて Love me
ラララ・・・
