「THINKING TIME ! Listen to music・・・」



「うまく切り抜け撃ち破ればいい
 
 そこがお前のステキな場所だ」




2006年【THE DAY IN QUESTION】。
初期のBT永遠のビート・ナンバーをオクターヴ歌唱で見事にパフォーマンスした櫻井敦司は、
彼らの歴史の中でも、最も陰鬱な“TABOO”を再現し、墜落した巨大な天の川をよじ登り、
そして、彼らの歴史の中で、最も深層に迫った“69”をふたたび叫びに変換していた。

「唄」。

この楽曲を櫻井敦司はマイクスタンドを両手で持って唄う。

ややメロディアスな櫻井敦司の世界が続いたので、ここで雰囲気が変わる。


そして、次の楽曲「CHECK UP」。


リアルタイムのBUCK-TICKに、再び“Loop”すると同時に、
この年の【THE DAY IN QUESTION】の2回目のサプライズ的なエントリーとなった。


この「CHECK UP」が収録されるアルバム『ONE LIFE、ONE DEATH』は、
レコード・レーベルをBMG JAPANに移籍しての初のアルバムであり、
ここで、BUCK-TICKの音楽的振り幅は、最大限にその能力を開花させている。

正に、傑作中の傑作ともいえるアルバム『ONE LIFE、ONE DEATH』で、
ザ・ビートルズ (The Beatles)のアルバム『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
の如き衝撃がBUCK-TICKの『ONE LIFE、ONE DEATH』であったと言えるだろう。

『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』
("Sgt. Pepper's Lonely Hearts Club Band")は、
1967年6月にリリースされたザ・ビートルズ 9作目のオリジナル・アルバムである。

この長過ぎるタイトルが「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」や、
「相変らずの「アレ」のカタマリがのさばる反吐の底の吹き溜まり」を思わせる。

ザ・ビートルズは1966年にライヴ活動停止宣言後間もなくレコーディングが始められ129日以上の
今までにない長い作業の末この『S.G.T』をリリースした。
この『S.G.T』は世界のポップス・シーンに大きな衝撃を与えた。
このアルバムはロックは勿論、世界のポピュラー音楽の金字塔のアルバムとも評価され、
全世界では3,200万枚以上のセールスを記録している。

2台の4トラックテープレコーダーを利用したオーヴァー・ダビングだけで作り上げたそのサウンドには、
様々な楽器や効果音が使われている。
当時の技術でこれだけのサウンドを作り上げることは非常に衝撃的な出来事だった。
当時はまだアメリカでさえ実現していない「8トラックを超えるテープレコーダーが完成した」
などという噂も飛び交っていた。

このアルバムはそれまでの彼等の音楽とは異なり、
各収録曲が全く違うタイプの楽曲であるのと同時にアルバムを通して聴くと、
非常に広範なジャンルの楽曲の集まりの中に、統一感を感じる不思議さも兼ね備えていた。
これは「架空のバンドによる擬似ライヴ・ショー仕立てにする」との設定で、
1枚のアルバムとして統一感を持たせるというアイディアはポール・マッカートニーのもの。

「擬似ライヴ仕立て」というのは、ザ・ビートルズとしてのライヴ活動を再開したかった
ポールのフラストレーションの現れや、他のメンバーへのメッセージだったとも言われている。

「架空のバンドに仮装したビートルズの面々が、世界中の有名人と並んで写っている」
「ジャケット裏側に歌詞を印刷する」
「ドラムスのチューニングを極端に落とした上、布などでミュートする」
「ベースラインが和音(コード)のルート音に限定せずに、時にはフレーズやメロディーをプレイする」
など、全て彼らが最初に行ったとは言えないとしても、
画期的な手法を分かりやすい方法で押し出して完成させたものである。
それまでザ・ビートルズを聴かなかった多くのロック嫌いの人たちの心を掴んだ。

当時はロック・バンドとオーケストラが共演するなどということは考えられなかった。
この成功は、プロデューサーのジョージ・マーティンに因るところが大きい。
ジョージ・マーティンはザ・ビートルズというグループを代弁して
「我々とは関係ないと思っていた人々がビートルズ・ファンであることを知った」
とタイム誌に語ったが、
これは『S.G.T』の発売と同時にぴたりと口をつぐんだ彼らの音楽を
“道徳上不適切な悪魔のサウンド”と評したアンチ・ビートルズの批評家や音楽家に対する
ザ・ビートルズの皮肉ともいわれている。
そういった風潮の中で最後の楽曲の「A Day In the Life」は、
41人編成のオーケストラを取り入れ、またチェンバロとヴォーカルの絡み合いの競演が実現した。
ヴォーカル・パートは、レノンとマッカートニーのスイッチ・ダブル・ヴォーカル。
(※このアイデアも、偶然であろうが、櫻井敦司と今井寿を思わせる)
この楽曲の最終コードは、「音楽の歴史の中でも最も決定的な最終コードである」
とクラシックの音楽評論家から評価されている。
また、或るクラシックの作曲家は、
「アクセントこそ異なっているが、特に「She's Leaving Home」は
シューベルトが書いたどんな曲にも勝るとも劣らない」
と語った。

このアルバムの発表後、まもなく彼等は世界初の宇宙中継の番組『アワー・ワールド』に出演して
「愛こそはすべて」という名曲を歌う。
この番組は世界で約6億人が視聴したという。
全人類の10分の一が、ザ・ビートルズを視聴したということだ。

脱線が長くなったが、その位のクオリティーが『ONE LIFE、ONE DEATH』には内包されている。
二人のコンポーザー今井寿と星野英彦は、その互い得意とする作風を自らパロディで創って見せた。
今井寿の「FLAME」、星野英彦の「Death wish」などは、相手の得意技を体得して見せたと言っていいし、
また、自分のキャラクターを認知した上で、それを行っているようにも見えた。
ザ・ビートルズが、『S.G.T』でクラッシックの領域に踏み込んだように、
BUCK-TICKは、それまで試みたデジ・ロックの中に、ゴシックの趣を封じ込め、
それに、櫻井敦司が、生と死、激情のすべてを編み込んだ。
「カイン」「女神」「サファイア」のキリスト教の核心に迫るようなアプローチと、
「RHAPSODY」「FLAME」での哲学的ともいえる生と死の狭間で見せる人間のセンチメンタリズム。
「Baby,I want you.」「細胞具ドリー:ソラミミ:PHANTOM」での流行りDATサウンドと肉体にグルーヴの融合。
先行シングル「GLAMOROUS-FLUXUS-」でのBUCK-TICKならではの“光”と“影”。

そのどの楽曲が、彼らの才能溢れる輝きに満ちた完全無敵の楽曲集と言えるだろう。
そして、さらにその楽曲群こそが、その後のBUCK-TICKのCONTENTS(目次)に成り得た。
ゴシック、デジロック、エレクトロニカ、ハイパー“ロケン”そしてセンシティヴな魂。
後期BTの黙示録(今後の預言書の意)とも言えるだろう。
そして、彼らはその教典に正しく、各項目にクローズアップして魅せた。
それが即ち、アルバム『極東I LOVE YOU』であり『Mona Lisa OVERDRIVE』、
また、『十三階は月光』であり、『天使のリボルバー』であった。



そして、この「CHECK UP」。



教典『ONE LIFE、ONE DEATH』の収録楽曲では、この楽曲以外は、
割とライヴでお目にかかることが多いが、恐らくこの「CHECK UP」は、
BUCK-TICK年末の定例と化した【THE DAY IN QUESTION】のプロトタイプと言われる。
2000年12月29日、東京日本武道館での【TOUR ONE LIFE,ONE DEATH】の
20世紀最後のライヴ・アクション以来のパフォーマンスとなったのではないか。

当時のツアーでは、レクチャー講師:今井寿&櫻井敦司による人生指南というパフォーマンスで、
彼らのダヴル・ヴォーカルの中、今井寿のパートで、桜井敦司は、椅子に座って、メガネと着用して、
まるで学者の様に、この「CHECK UP」をプレイしていたのが、印象的だった。

彼らの繰り広げる“chapter”は“1~3”まで、続き、
その内にリスナーは、自分が、どんな選択肢のの中で、何を選択して生きて来たかを、想う。
そして、それは、今後、自分が、何を選択して、生きていくべきか模索する行為となる。

誰も皆、同じ事ではあるが、日々、その“死”に向かって生きて逝くのだ。

その間に存在する“時”という概念の“人生”をどんなモノにするのか?

それこそ、が、哲学のそのものと言えるだろう。

それを、BUCK-TICKは、現代社会の類推されるタイプで挙げているが、
勿論、それ以外の選択肢を存在する事を示唆している。

そして、それを如何様に、実行するかは、本人のお気の召すままと気付かせてくれる。

その結果、「一粒だけ光があればいい 」のだ。

多くを求めることは、ない。


これは欲望都市「TOKYO」で、“TABOO”のジレンマに身を焦がし、
“69”の永久の“Loop”の中で彷徨う、すべての子羊ドリーに捧げる鎮魂歌でもある。


そして、その噴出したカオスは、今井寿の彼にしか実現不可能なオリジナリティー溢れる
ギター・ソロに集約されていると言っても過言ではない。
間違いなく、今井寿は、愛機スタビライザーを駆り、我々に語りかけてくる。
さらに、このステージでは、星野英彦が、ギター・ソロ・フレーズで、
今井寿の挑みかかるように、絡んでくる。
そして、底辺を支えるばかりではなく、その主旋律をループするタイムキーパー=樋口“U-TA”豊が、
三重の音の壁を構築すると、我々の血はまさに沸騰しそうだ。

「NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. 」

自らのプライドを、偶像を“ICONOCLASM”ブチ壊さない限り、お前自身のオリジナルな人生などない。
王様もソルジャーもそれは一緒・・・。

しかし、そう気付いた時点で、それは、もうパイオニア。



「うまく切り抜け撃ち破ればいい
 
 そこがお前のステキな場所だ」




「一粒だけ光があればいい 」
そうに違いない。





CHECK UP
 (作詞・作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)



chapter 1
How are you ? Lesson 1 : easy game 楽しい話をしよう
ここは戦場 味方も少ない 最前線傷も負っているし 弾切れ必至 敵は目前


Are you ok ? Lesson 1 : start !
お前が選ぶのはどれ?
1. 誇りを捨てて立ち上がる王者
2. プライドだけは守り抜くソルジャー

THINKING TIME ! Listen to music

うまく切り抜け撃ち破ればいいそこがお前のステキな場所だ
うまく切り抜け撃ち破ればいい一粒だけ光があればいい

NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE.

chapter 2
How do you do ? Lesson 2 : heavy game 笑えない話をしよう
ここは現実 味方はいない FRONT LINE 傷は勲章 数撃ちゃ当たる 敵は見えない

Are you ok ? Lesson 2 : start !
お前が欲しいモノはどれ?
1. 自ら立ち向かう王者の誇り
2. 捨てるものなどない ソルジャーのプライド

THINKING TIME ! Listen to music

うまく切り抜け撃ち破ればいいそこがお前のステキな場所だ
うまく切り抜け撃ち破ればいい一粒だけ光があればいい

NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE.

一粒だけ光があればいい

NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE.

chapter 3
How are you ? Lesson 3 : yourself
お前が選んだのはどれ?
1. 生き延びるために上につくタイプ
2. まぐれ当たり期待するタイプ
2. magure atari kitai suru type

NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT. NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.
NO LIFE. NO PRIDE. BREAK OUT.


【ROMANCE】