「ララララン、ラ、ララ、ラン、ララララン、ララン」
三都開催のライヴ【FISH TANKer's ONLY 2006】を
9月10日、大阪・なんばHatchにて終了した今井寿は、
9月14日、渋谷O-EASTにて“高樹町ミサイルズ”の一員として
【WEAR RED SHOES vol.3】(「レッドシューズ」のイベント)に参加。
再び、小休止に入るBUCK-TICKは、
この期間に明くる2007年のメジャーデビュー20周年の一年の活動を、
2005年の結成20周年時とは違い、じっくりと計画を立てた。
アニヴァーサリーとなるニューアルバム『天使のリボルバー』のコンセプトに関しても、
この時期を通じて、2007年の活動内容を練るのと共に、計画していた帰来がある。
2005年が、各自のソロ・プロジェクト後の活動再開と、
その手法としての“ゴシック”の最大公約数の追求、
そして、これは彼らに取っては、
ちょうど、偶然、結成20周年という年に当たった感覚であったかも知れないが、
今回はそうではなかった。
しかも、前作の傑作ゴシックの空気を見えない気体状に化学変化させたカタチで、
挿入を試みたのである。
「ララララン、ラ、ララ、ラン、ララララン、ララン」
しかし、この活動だけは、すべての計画とは別に実行される…。
年末のイベント【THE DAY IN QUESTION】である。
しかも、2006年の日本武道館公演はパーフェクト・チョイス、スカチャンで、
ペイ・パー・ビュー放送されることが決定していた。
ヴォリューム的にも、非常に密度の高いライヴ・アクションとなった【FISH TANKer's ONLY 2006】。
これも十二分に【THE DAY IN QUESTION】のプロト・タイプになったと言えるだろう。
一般公開される【THE DAY IN QUESTION】、
そして、ファンクラブ限定公演となる【FISH TANKer's ONLY 2006】。
この合わせ技こそが、アルバム・ツアー以外のメインのBUCK-TICKツアースタイルとして、
確立していったのも、この時期と言えるであろう。
今年もお約束の12月29日が来る。
“日本武道館”も、この日は、BUCK-TICKだけのエルサレム(聖地)だ。
2006年18時47分。日本武道館の客電が消えた。
日本武道館の右側の壁のデジタル時計が其の時間を指している。
この日の開演予定時間は18時30分だったので、17分の“押し”。
以前のBUCK-TICKのライヴと比べると、随分としっかりした時間でのスタートだ。
彼らの演奏が始まると同時に、日本武道館デジタル時計のグリーンの数字が消えるのだ。
演出効果の為に、非常灯とともに消える。
今年もこの時が来た。
ここからは、毎年、おそらく、多くのBUCK-TICKフリークの時間が止まるのだ。
日本武道館にいる観衆も、そして、各地に点在する全国のファン達も…。
「ララララン、ラ、ララ、ラン、ララララン、ララン」
オープニングのSEが、いつもとは違う!
「THEME OF B-T」ではない。
「FRAGILE ARTICLE」。
「ララララン、ラ、ララ、ラン、ララララン、ララン」
日本武道館が、万華鏡の花園と化す。
なんと、ファンタジックなことか!
このセカンド・アルバム『SEVENTH HEAVEN』の導入SEでもあり、
このアルバムのメイン楽曲「…IN HEAVEN…」のSEと言える、BT歴代で最もメルヘンチックなメロディ。
これは、同アルバムのタイトルソング「SEVENTH HEAVEN」をアレンジしたインストゥルメンタル。
万華鏡の花園は、始め、この楽曲のリズムに合わせて回転しつつ、
巨大なステージを覆う緞帳をスクリーンとしていたが、
その花園から溢れ出すかのように、スクリーンから螺旋を描き、
広い日本武道館の天井を覆い尽くしていく。
この「FRAGILE ARTICLE」の愛らしいリズムに乗って、
日本武道館に“花”が充満していく。
この“花”は、“惡の華”か?“幻想の花”か?
「ララララン、ラ、ララ、ラン、ララララン、ララン」
このスキャットを口ずさむ櫻井敦司…。
「fragile article」とは「こわれもの、易損品のこと」
このガラス細工のようなデリケートなインストには、ピッタリな名称だ。
今では、暗黒の魔王として君臨する彼は、この当時まだ、ロック・アイドルであったのだ。
その偶像を破壊し、独自の世界を構築したBUCK-TICK。
今では、その影すら踏めない地点に、彼らは位置していた。
想えば、遠くまで来たものだ。
しかし、こんな過去があったことを、
そして、その当時から、彼らを支えてくれたファンが存在することを、
BUCK-TICKは、決して、忘れはしない。
寧ろ、誇らしげに、このロック・アイドルの象徴的なメロディを今、現在でも奏でるのだ。
アノ時があったから…現在(いま)がある。
それは、見えないものと見ようとする誤解では、ない。
それこそが、BUCK-TICKだ。
そんな事を想わせる2006年の締め括り【THE DAY IN QUESTION】であった。
「ララララン、ラ、ララ、ラン、ララララン、ララン」
この“夢”は、終わらない。
花よ、華よ、咲き誇れ。
「ギュウィィーーーーーン」
いつものスペイシーなスタビライザーのが嘶く。
天井を見上げ、夢ゴゴチに、酔っていた観衆が、この音で気付くと、
ステージにメンバーが揃っている。
今回の特設ステージは、まるで、工事現場…。
鉄パイプのような長い細い棒が高い場所まで組み込んであり、それが発光している。
マシナリーな近未来の無機質で、硬質な空気が張り詰め、
前年のゴシックな舞踏会とは全く違うステージセット。
その発光鉄パイプは、ステージバックにも、上に向かってたくさん組んであり、
ステージの天井から、鳥の巣のように、横に、緩く半円のように組み上げられている。
メインステージからは、ひとつ上段、樋口“U-TA”豊のステージ周りや、
ヤガミ“アニイ”トールのドラムキットの周りにも、
幾数ものパイプが取り囲み、組み上がっている。
【13th FLOOR WITH MOONSHINE】のステージのように、
祭壇への階段は、設置されていない。
樋口“U-TA”豊ステージと、ヤガミ“アニイ”トールステージが、
独立して別々に組み上げられている。
その間には工事現場のような通路がかかっている。
まるで、ふたりは檻に入れられているかのようだ。
ステージ上に、何本もの松明が灯り、その周辺にも、発光鉄パイプが組み込まれる。
天井も前年のツアーのゴシック調のステージとは対極にあるような印象。
無機質であるが、この無数の発光パイプが、今回の【THE DAY IN QUESTION】を、クールに演出する。
楽曲によっては、光る鳥の巣のように見えたり、時にはナニカが生まれ出す繭のように見えたり、
そして、無数の星が降りかかるかのように見えたりする。
生き物のような、無機質のような“いびつさ”が、アンバランスに美しい。
櫻井敦司は、この発光パイプに囲まれたベースステージ&ドラムステージの間で、
マイクスタンドの前で、両端の発光パイプに挟まれて仁王立ちしている。
スペシャルSE「FRAGILE ARTICLE」に被るように、
今井寿のあのイントロが襲いかかる!
「...IN HEAVEN...」!
デリケートなガラス細工が壊れたら・・・
さあ、行こう!
我々の天使と悪魔と共に・・・
我々の“HEAVEN”へ!!!
FRAGILE ARTICLE
(作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
インストゥルメンタル
...IN HEAVEN...
(作詞:桜井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
I Believe 白い素肌に 誘われた胸元 ときめき感じた
Memory 傷は深まり しなやかな細い指 忘れ得ぬ人
I want! I love you in heaven
誰も皆 見失う
Tell me now 誤ちなのか?永遠(とわ)の眠り神々のもとへ
Suicide 全て消えゆく 鮮やかさそのまま裏切れたらいい
*I want! I love you in heaven
誰も皆 見矢う
I want! I kiss you in heaven
揺れながら 舞い上がれ
I can't do. I can't do. I can't do.
この胸を
I can't stay. I can't stay. I can't stay.
切り裂かれ
I can't do. I can't do. I can't do.
遠ざかる
I can't stay. I can't stay. I can't stay.
もう二度と
*I want! I love you in heaven
誰も皆 見矢う
I want! I kiss you in heaven
揺れながら 舞い上がれ
I can't do. I can't do. I can't do.
この胸を
I can't stay. I can't stay. I can't stay.
切り裂かれ
I can't do. I can't do. I can't do.
遠ざかる
I can't stay. I can't stay. I can't stay.
もう二度と
