「目に映るのが悪い夢なら 目をつぶるのは悪い癖なの
ただ今だけは酔いしれていたい ラム酒の海に沈む太陽」
2006年9月【FISH TANKer's ONLY 2006】。
櫻井敦司のMC
「嗚呼・・・、“夏”の歌を唄わなければ・・・なりません」
嗚呼・・・、琥珀色の陽炎がいつまでもこの瞼、焦がす。
僕の見た・・・あの、カゲロウは、まぼろし?
8月2日にリリースされたニュー・シングル『蜉蝣ーかげろうー/空蝉ーウツセミー』は
TBS系全国ネットアニメ『×××HOLiC』のエンディングテーマにも採用され、
このコミックの世界観とタイアップしたものである。
ヴィデオ・クリップに映し出される櫻井敦司は、完全に登場人物のコスプレであり、
長いパイプは、このキャラクターのモノである。
これまでも、BUCK-TICKの楽曲が、アニメの主題歌となった例はあるが、
今回ほど、内容が楽曲とリンクしたのは初めてかも知れない。
少なくとも、ヴィデオ・クリップは、このアニメ世界と『十三階』のゴシック世界の融合芸術である。
よって、この楽曲は、このアニメ世界を表現したものある、という説には、或る種、説得力があった。
∇∇∇∇∇
コミック『XXXHOLiC』はCLAMPにより連載されるオカルトファンタジーで、
対価さえ払えばどんな願いも叶うという女主人・壱原侑子の「ミセ」に、
様々な悩みを抱えた客が次々と訪れ、非日常的な存在や世界観から、人間の内面を描いている。
「アヤカシ」に好かれてしまう高校生・四月一日君尋(わたぬき きみひろ)が、
願いを叶える「ミセ」の女主人・壱原侑子(いはらゆうこ)と出会う。
「アヤカシ」が寄り付かない体にしてもらうため、
その対価として侑子の下で半ば強制的にバイトをしている間に、
悩みを抱えた人間や人でない者等の不思議な客と出会い、奇怪な出来事に遭遇していく。
メインキャラクターの侑子は、強大な魔力を持ち、
彼女を知る者の間では「次元の魔女」「極東の魔女」と呼ばれている。
「願いを叶える代わりに同等の対価を貰う」という設定が、
悪魔との“魂”の契約をする“悪魔”を思わせるが、
まだ、未完のストーリーであるが、どうやら、彼女も現世に生きている存在ではなさそうだ。
彼女は言う「私は、あなたに出逢うずっと前に、すでに死んでいる」のだ、と。
この「蜉蝣ーかげろうー」の歌詞を聴いていると、なにやら彼女も、
“夢魔”サキュバスの一種という気がしてくる。
侑子との契約を交わしたキャラクターが、四月一日 君尋である。
彼には「アヤカシ」が見え、惹き付ける力があり、酷いと纏わりつかれるという無二の気を持ち、
彼の血は「アヤカシ」の力を数十倍上げる。
その力により人でない者の世界では有名人であり雨童女曰く「存在自体ありえない」という。
この「アヤカシ」とは、世の中のオカルト現象の原因となるモノ。
幽霊や妖怪とは別物で、普通の人間には見ることができず、
異色眼の持ち主など位しか見ることができない。
姿はドロっとした煙状のモノから人の腕のようなモノなど様々らしい。
まさに「見えない物を見ようとする誤解 全て誤解だ」という感じだが、
どうやら、この四月一日君尋は、夢魔?壱原侑子に、ご執心のようだ。
『週刊ヤングマガジン』で連載されている原作も、クライマックスへ向かっているらしい。
非常に、結末が興味深いストーリーである。
すべては、四月一日君尋の“夢”なのだろうか…?
そして、壱原侑子の正体とは…?
∇∇∇∇∇
剥がれ落ちた鱗が、ひとつずつこの肌祝う。
見てはいけない真実が「アヤカシ」なのだろうか?
蜉蝣が舞う夏、その真実を見ることで、なにが変わるのだろうか?
季節が、君だけを変える。
嗚呼、idolって、蜉蝣が、唄ってたんだ。
夏は眩暈がする、ね。
気の遠くなるような、長い、長い、時間の中で、
僕は、“人生の夏”という“夢”を見た。
知ってる、僕は夏に生まれたんだ。
「狂おしい 誰かの面影揺れてる
舞い上がる様に 舞い散る様に あなたと夢で踊る」
素晴らしい「破壊」そして「誕生」果てる事の無い宇宙(そら)。
美しいまるで母の内へと、尽きる事の無い愛(こどう)。
四月一日君尋は、この侑子の「ミセ」を、継ぐこと決めた。
侑子が、帰ってくるその時まで・・・。
帰ってる保障はない。
四月一日は、それが対価である、と語る。
そうして、四月一日君尋は、壱原侑子の長いパイプを咥える。
“夢”や、“愛”の“対価”は、金品であるとは、限らない。
怖がらず君は神になるだろう。 終る事の無い宇宙(ユメ)
美しい全て輝けるだろう。 尽きる事の無い愛(あい)。
その“献身”こそが、悪魔との“魂”の契約に必要なものなのかも知れない。
それならば、悪魔と神との契約に、なんら変わりはないではないか!?
悪魔も、契約者との“愛”が欲しかったのである。
しかも、それは、神のように、“服従”という従順な類のモノよりも純粋な“ナニカ”だ。
そういう意味において、悪魔は、神よりも、センシティヴな存在だ。
よって、悪魔に裏切りは許されないのだ。
今わかった、悪魔も、“愛”を求めている。
“愛”が、欲しいから、君は神になりたかったんだね。
そして、知ってしまった。
“愛”は、“愛さなければ”、得られない、って…。
∇∇∇∇∇
【FISH TANKer's ONLY 2006】では、選ばれし彼女彼らの“献身”に、
BUCK-TICKという悪魔が、“魂”を持って応えている。
今回のアンコール-1の【SET LIST】は、
「ノクターン -Rain Song-」
「BRAN-NEW LOVER」
「FLAME」
「夢魔-The Nightmare」
「DIABOLO」
BUCK-TICK流ゴシックの色鮮やかな世界。
櫻井敦司が、
「アンコールも、タップリ演ります。聴いて下さい」
とMCを入れて、
“魔女”に雨音をオーダーする“-Rain Song-”。
そう、雨は、“魔”を呼び込む調べ。
阿修羅の森に、雨が降る。
あなたに、逢うために。
ヤガミ“アニイ”トールのシンセ・ドラムで始まる「BRAN-NEW LOVER」。
ポップな中に、“死”の香りを、闇は純粋にも扉を開いてる。
北風が全てをさらってしまう。
君が泣き出すなら雨へと変われ。
悲しい夢も 未来も君の胸で消えちまえばいい 。
純白のライトが櫻井敦司を照らし、すべてが光の中に消えていく。
「あの日恋が死んだ 消えてしもえ何もかも
あなたの横顔 見えなくなる 」
それでも、“待ち続ける”と決めた者は、…強い。
強い意志の元に、還る保障などない、あなたを待とう。
ひとりくらい、そんな人間が居ても可笑しくないだろう?
ねえ、FLAME・・・
「花が咲き乱れる様に 花が死んでいく様に
君が咲きみだれる様に 俺は生きていけばいい 」
燃え尽きてゆく夢のかがり火・・・波に煌めく命の残滓(ざんし)。
今は、眠って、この胸に燃える炎は、やがては消える。
こめかみ響く、針が突き刺さる・・・。
そして、唐突なる“死の行列”は、ここに訪れた。
「The Nightmare!!!!」
これは、“悪夢”!?
夢魔のいたずら!?
すべて、真夏の夜の夢…
短い夏の物語…
どうって事ないサ。
そして、締めの「DIABOLO」・・・。
夜が流れる月が満ちてく、人身蛇尾の神々舞い降り。
俺を誘いに闇をまとって、あふれる程の愛を掲げてる。
御機嫌ようさよなら、と一度仕切り直しての、
満を持してアンコールー2となった・・・
∇∇∇∇∇
最新曲の『蜉蝣ーかげろうー/空蝉ーウツセミー』はここにエントリーする。
「薄紅乱れて (真夏の夜の夢々)
飛び立つ蜉蝣 (恋焦がれる)」
夏が・・・
終わろうとしている。
秋は異形で、さよならだ。
その時、あなたは・・・
なにを、対価にするのだろう?
僕は、待ってても、いい?
蜉蝣ーかげろうー
(作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
薄紅乱れて 真夏の夜の夢々 飛び立つ蜉蝣 恋焦がれる
目に映るのが悪い夢なら 目をつぶるのは悪い癖なの
ただ今だけは酔いしれていたい ラム酒の海に沈む太陽
狂おしい 誰かの名前口ずさむ
なんて素敵な この世は夢だ あなたと夢で会える
薄紅乱れて 真夏の夜の夢々 飛び立つ蜉蝣 恋焦がれる
あなたを想えば 夢に夢に夢見る 溢れる悦び 永久に永久に
燃え尽きてゆく夢のかがり火 波に煌めく命の残滓
狂おしい 誰かの面影揺れてる
舞い上がる様に 舞い散る様に あなたと夢で踊る
薄紅乱れて 真夏の夜の夢々 飛び立つ蜉蝣 恋焦がれる
あなたを想えば 夢に夢に夢見る 溢れる悦び 永久に永久に
愛おしい あなたを想い闇駆ける
扉が開く 世界が開く この世に生きた証
薄紅乱れて 真夏の夜の夢々 飛び立つ蜉蝣 恋焦がれる
あなたを想えば 夢に夢に夢見る 溢れる悦び 永久に永久に
薄紅乱れて 真夏の夜の夢々 飛び立つ蜉蝣 恋焦がれる
あなたを想えば 夢に夢に夢見る 溢れる悦び 永久に永久に
薄紅乱れて 真夏の夜の夢々
