素晴らしいショウだった。


「ああ 今夜も血に塗られた 魔王の羽ブルーベルベットbaby」



2005年4月10日の群馬音楽センターからスタートした
BUCK-TICK LIVE TOUR 2005【13th FLOOR WITH MOONSHINE】は、
6月11日の札幌市民会館まで28公演で、全国公演が実施された。

櫻井敦司演出とされるシアトリカルな内容のステージは、監修のデザイナー秋田和徳の尽力もあり、
アルバム『十三階は月光』の世界観を忠実に再現する、まさしく“Gothic Show”としての輝きがあり、
それまでの所謂ロック・コンサートの範疇を超え、BUCK-TICKの新たなる世界を示唆するものとなった。

中世欧州の古びた洋館を思わせるステージ・セット。
開演には、オペラハウスのようなブザーが鳴り幕を開けると、
中央には、真紅のベルベットの絨毯が引かれた階段、天井には豪華なシャンデリア。
アンティーク家具が備え付けられ、蝋燭、燭台、仮面、鏡、DOLLと小道具ひとつひとつに拘りを見せ、
衣装も櫻井の帽子、ステッキと今井のピエロ・シューズ等、ゴシックに塗り固められている。

また、そのひとつひとつが、楽曲によって駆使され、舞台も、楽曲のモチーフで変化する。
このステージ上の洋館の広間は舞踏会のようでもあり、
また別の楽曲においては、ミラーボールが灯り、どこか社交場のようでもある。
DOLLを抱えて踊り、蝋燭の火が灯った燭台を持って振りかざす櫻井敦司の周りでダンスする今井寿…、
鏡に向かって唄い、花をかざして祈る姿は“Gothic Show”そのもの。
DOLLも大小が用意され、場面によって使い分けられる。
ロックンロールのバラエティー感は稀薄であるが、このゴスティックな様々な表情が新鮮だ。
ヒデ、U-TA、アニイのメンバーも、楽隊としてキャストを演じるかのように、
時に、優雅に、時に、激しく、配役をこなしている。

この時までに、BUCK-TICKは、ロック・バンドの枠を超え、
手造りではあるが“総合芸術”の世界へ、足を踏み入れたといっていいだろう。

2週間の小休止後、東名阪での追加6公演では、更に完成度を増し、
新たに、演出にピエロのクラウンとバレリーナのベッキーを加えた、
さながら、“オペラ歌劇”か“演劇ミュージカル”といった風靡を備え、
ファンタジック・ダーク・ワールドを映し出していた。

この豪華な追加公演は、6月25日26日の愛知厚生年金会館の2公演に始まり、
6月29日30日、東京のNHKホール2公演、
そして最終の7月2日3日、大阪の厚生年金会館大ホールでの2公演で、大団円を飾る。

その後、【FISH TANKer's ONLY 2005】とされたFC限定ライヴが、
ライヴハウス公演として
7月10日、Zepp TOKYO(東京)、7月16日、なんばHatch(大阪)で実施され、
このBUCK-TICK LIVE TOUR 2005【13th FLOOR WITH MOONSHINE】は、終了となる。


ちなみにこの20周年を記念してこの2005年は、
BUCK-TICK結成20周年記念FILM CONCERT【FILM PRODUCT】
11月20日に、愛知県中小企業センター、23日大阪御堂会館大ホール、27日東京九段会館が実施された。

さらに、12月7日から17日まで、【2005 TOUR DIANA】と題しての結成20周年記念ハコツアー実施。
初日の横浜BLITZを側切りに、全国のZepp5公演(東京、福岡、名古屋、大阪)を巡回し、
年末恒例の【THE DAY IN QUESTION】(日本武道館)を迎えるという、
まさしくライヴ尽くめの一年となった。

【2005 TOUR DIANA】中の12月14日に発売になったDVD『13th FLOOR WITH DIANA』のタイトルは、
この【TOUR DIANA】とメインのライヴツアー【13th FLOOR WITH MOONSHINE】を混ぜ合わせて、
造られたモノであろう。
DVD『13th FLOOR WITH DIANA』の内容は、
追加公演【13th FLOOR WITH MOONSHINE】ツアーから
6月29日、30日に行われたNHKホールでのライヴ映像が収録され構成されている。
トータル・コンセプト・アルバム『十三は月光』の世界観を損なわないように、
同アルバム収録の楽曲17曲のみが収録されており、
(※特別限定盤には、ディスク2に「サファイア」「誘惑」「悪の華 (マルチ画面)」収録された)
忠実にアルバム世界の再現が試みられる。

これは、1990年にリリースされたアルバム『惡の華』の
全曲10曲がヴィデオ・クリップ化されたVIDEO『惡の華』、
そして、2002年にリリースされた『B-T PITURE PRODUCT』収録の【nex.us】にて、
1995年のアルバム『Six/Nine』ヴィデオ・コンサートでアルバム世界が再現されたモノに近い感覚であり、
映像作品としても、ライヴ・ドキュメンタリーという一面の他、
『十三階は月光』楽曲を完全収録した映像集としてコレクションされている。
(※唯一、未収録となった「13秒」も「ROMANCE」のSEとして収録されている)



また、ツアー最終公演となった7月3日の大阪厚生年金会館でのライヴ映像は、
スカイ・パーフェクトTVのPPV(有料番組)として公開放映されている。


「貴方の闇に あなたのその暗闇に
 乾杯しましょう最後の血が涸れるまで
 貴方の夢に 貴方の闇に
 
 …乾杯!」



本日、紹介する「DIABOLO」は、このPPV(有料番組)のラストを飾る演奏で、
DVD『13th FLOOR WITH DIANA』では、エピローグ的な作品となった「DIABOLO」も、
ここでは、キャスト紹介シーンとともに華々しくエンディングを迎えている。

この見事な追加公演から参加したクラウンとべッキー。
そして、演奏中には、通常公演でクラウン役を演じた今井寿の恒令アクション
=“タバコ消し”のシーンが、明確に記録されている。
このアクションの後、クラウンが、フロアに落ちた吸いがらを踏み消している姿に、
このライヴ・ツアーのチーム・ワークを見るような気がしてくる。

この月下の一群を率いた魔王=櫻井敦司は、我々にこう告げて舞台を後にする。



「また!あなたの“夢”で、お逢いしましょう」



アウトロのSE「WHO'S CLOWN?」が鳴り始めると、
この世界が点滅して、拍手喝采のラスト・ショウが、…終わりを迎える。



DIABOLO-Lucifer-
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


さあさあ寄っておいで覗いてみな 今宵皆様お贈りするはbaby
ありとあらゆる愛ヌラリ お楽しみあれ

歌にダンス妖しい酒 テーブルの下張り裂けそうな
ハシタナイモノ光らせて御気の召すまま

貴方の夢に あなたのその儚い
乾杯しましょう ほら天使が泣いている

ああ 今夜も血に塗られた 魔王の羽ブルーベルベットbaby
尖るシッポ 群がる淑女 眠れない夜

貴方の闇に あなたのその暗闇に
乾杯しましょう 最後の血が涸れるまで

貴方の夢に あなたのその儚い
乾杯しましょう ほら天使が泣いている
涙涸れ果てるまで
御機嫌よう さようなら

貴方の闇に あなたのその暗闇に
乾杯しましょう最後の血が涸れるまで
貴方の夢に 貴方の闇に
乾杯!


【ROMANCE】