アルバム『狂った太陽』と「JUPITER」こそが、BUCK-TICKが、
そして、櫻井敦司が“転換期”“転機”であったするファン分析に、
プライベートな部分も含めて、それを認めるようなコメントや、
櫻井敦司自身にとっての生まれ故郷=群馬と、同郷の“大スター”で藤岡高校の先輩でもある
氷室京介を“ヒムロック!”と呼び、慕う姿を見せる櫻井の姿に、
地元:群馬で撮影というこの番組『J-POP』特有の安堵感を見るような気がする。

そう、彼も、BOOWYを観て熱狂する地元群馬のバンド・キッズのひとりであったのだ。

そして、彼にヴォーカル転向を薦めた氷室京介の逸話は有名である。
それが、直接的な動機ではないと櫻井本人は語るが、
重要なファクターの一つであった事は間違いないだろう。
それも、1985年頃のBOOWY群馬凱旋公演の打ち上げでの一幕というのは、
氷室⇒櫻井伝説と語り継がれるドラマチックな“バトン”となる。
そして、上京し、彼はヴォーカリストを志すのだ。

「東京に出て来て、BUCK-TICKのヴォーカリストになるまで、俺は本当になにモノでもなかった。
でもあの時から俺は自分の意志がやっと動き始めたのかもしれない。
BUCK-TICKがなかったら、俺はまだなにモノにもなっていなかったと思う」

そして、櫻井敦司が、ヴォーカリストを志さなければ、
20年後、この傑作「ROMANCE」のヴィデオ・クリップも存在しない。
彼なくして、この完成度は、不可能である。
(そもそも、BT自体が、有得ないが……)

楽曲「ROMANCE」が名曲であることは、間違いないが、その魅力を何十倍何百倍にも増幅して魅せる、
そんな意味で「ROMANCE」のクリップほど、貢献度の高いヴィデオはない。
ジャケットデザインも担当した秋田和徳の監修により完成したダーク・ファンタジーの世界は、
5人のヴァンパイア、そして、“魑魅魍魎”の棲家といえる古城で、
蠢くように、張り詰めた緊張感と、
ストーリーの裏側に存在する、“非愛”“寂寥”“深淵”“卷族”“因果律”等を連想させる。
その中で召還され『降魔の儀』が行われる“受胎”の鼓動が、
櫻井敦司の胸に深く突き刺すナイフと化した“暗黒の爪”に滴る血液の鼓動を感じずにいられない。


櫻井敦司は、氷室京介に向けてこう語ったことがある。

「今では、もう唄う歌も、進む路線も変わってしまったけど、
あの人には、いつまでも“ラヴ・ソング”を唄っていて欲しい」

彼の胸には、ヒムロックの“ラヴ・ソング”が、永遠に響き渡る。



さて、「ROMANCE」の血の滴る“爪”…。

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――Q「ROMANCE」PVの爪。自分の爪でしょうか?それとも、付け爪ですか?
というご質問ですか。

「ん……あの、ま、付けたんですけど、…言ってしまうと。
でも、大変ですね、女の人は。付け爪自体がみなさん、器用だな、と想います。
(撮影中)トイレも行けませんでした…、あの時は。
ご飯も食べられないんで、星野英彦にハシ割ってもらって…、
“アァ~~ン”て、してもらいました」

――うわぁ~、イメージがっ!(笑)。

「オイシイって、いいました。よ」

――では、次の…Q「PVでは、血を吸いそうな、勢いでした、けども…、
B型の血なんか、いかかですか?」

「ええ(笑)。大好きです。特に、Bが好きです」

――面白い(笑)。Q「作詞で、行き詰った時は、何をして、気分転換をしますか?」
というご質問ですが。

「そうですね、アノ、猫。猫と遊びます。
行き詰るも何も……。こう邪魔しに来るんですよね。
こう、“遊ぼう”って、“遊んでくれ”って。
…で、行き詰り…マス(笑)」

――リラックスする、というよりも、…邪魔されて、行き詰る、と。
ちなみに、猫チャンのお名前は?

「ええ。はづかしいんですけど……“チビ”。
“つばき”“カヨル”です」

――3匹、飼っていらっしゃる?

「ええ。他人の家の猫とか犬の名前…訊くほど、つまんない時、ないですよね(笑)」

――いえ、いえ!そんなことないですよ。
同じ名前、つけちゃえ、って思ってる方、沢山いらっしゃると思いますよ!

「(笑)」

――次、Q「櫻井サンは“愛”について、沢山唄ってらっしゃいますけども……。
“純粋な愛”“歪んだ愛”“守る愛”“壊す愛”…と、様々な“愛”のカタチがあるように感じました。
ちょっと、深いんですが……櫻井サンにとって“愛”とは」
どんなモノでしょうか?

「……。これは深夜ですか?放送は?(笑)」

――はい。深夜ですから、大丈夫です。

「う~~ん。放送出来ないですねぇ~、僕の今、言いたいことは」

――出来る範囲で…、お願します!

「いや~、やっぱり、あの~、う~ん。
ま、自分も日々、勉強なので……、アノ、ウン、報われようと思わず、ま、与える、というカンジですか?
偉そうに~言ってしまいました!」

――“愛”とは与えるモノである。

「ウワ~~ッ!いいですね~、ソレ!!(照笑)」

――だ、そうです。カッコイイ…。

「大丈夫かな?オレ?」

――大丈夫ですよ!

「ダイジョウブですか?」

――さてさて、
Q「アルバム『十三階は月光』は、“ゴス”がテーマですね?
今井サンから、櫻井サンへの“愛”を感じます。
最初に、“ゴス”がテーマって聞いて、どんな風に思いましたか?」

「うん、まあ、雑誌とかでも言ってるんですけども、意外に、思いました。
あの、自分のソロで、ゴスの本場のゴスの人達と、まあ、セッションといいますか…
(曲を)もらって、やったんで。
“え?もう一回、本気でやるの?”っていう。
今井は、本気だったらしくて…“じゃあ、乗ろう”“本気で行こう”って感じで。
で、自分の好きな世界なんで、“トコトン行こう”と思いました」

――そして、4月から全国ツアーが始まるということで、
初日が、ナント!【群馬音楽センター】!
やはり、地元、高崎でライヴする、というは、気持ち的には、熱いモノが?

「そうですね。まあ、となりの藤岡なんですけど(出身は)。
やっぱり、活動してたのが、高崎なんで…父兄参観みたいな感じですかね?」

――どんなライヴになりそうですか?

「父兄の視線を気にせず(笑)18歳以下、御断りくらいのライヴですね」

――ど、どんなライヴなんでしょうか?ちょっと想像付きませんけども、楽しみですね!

「ええ、アノ……是非、チビッ子にも来て欲しいです!」

――エッ?アレ?では、最後になりますけども、群馬のファンのみなさんに一言お願いします!

「群馬の人は……。う~~ん。ワルイ人はいません!……たまに、いるカナ?(笑)。
でも……やっぱり……愛しております。
健康に気を付けて!逢いましょう!…ありがとうございました。失礼しました」





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この『J-POP』での質問は、「ROMANCE」の爪、猫、愛の定義、ゴス、と広がりを見せる。
これも、地元群馬のローカル番組という特異性の為せる技であろう。

そして、最後に述べている通り、櫻井敦司は、故郷:群馬を愛している。

そんな愛する【群馬音楽センター】から、
BUCK-TICK TOUR2005【13th FLOOR WITH MOONSHINE】はスタートする。
久々のツアーは、レギュラー28本に加え、追加公演6本、FT限定公演2本の合計36公演が展開される。
この公演の中で、【13th FLOOR WITH MOONSHINE】のライヴ・ステージも、
常に、進化を遂げつつ、どの公演も、完全なるダーク・ファンタジーの世界が繰り広げられた。


まさしく、類稀なる、BUCK-TICKワールドへ、


“百鬼夜行を逝く魂よ”!

“渇望の福王よ”! いざ!!




【ROMANCE】