始まりは、2000年12月29日に行った日本武道館公演
『TOUR ONE LIFE,ONE DEATH』ファイナル。
アンコールの最後に客電が点灯し、演奏された「PHYSICAL NEUROSE」。
この一曲が、原点だと、僕は勝手に想ってる。
その翌年から、BUCK-TICKの一年の締めくくりは『THE DAY IN QUESTION』。
Q “THE DAY IN QUESTION”について
ヤガミ「っていうか、恒例になっちゃいましたね。
最初とか、恒例にする気なかったんじゃないですかね?」
第一回目の開催は、2001年。
この年、櫻井&今井のユニットSCHWEINの活動を行い、
BUCK-TICKとしても海外のアーティストとのイヴェント共演、初の韓国ライヴと、
その活動の場所を大幅に広げた。
この年、国内のライヴとしては12月29日に日本武道館にて開催された
一夜限りのライヴ『THE DAY IN QUESTION』が、唯一のものであった。
いうなれば、ファンへの「今年は、少し、好き勝手にやり過ぎました」という謝罪のプレゼント。
以来、年末に日本武道館で12月29日にライヴを行なう事が恒例となる。
タイトルもこの年に使われた『THE DAY IN QUESTION』が、ずっと使用されている。
恒例のプレゼントとなったワケだ。
ライヴ『THE DAY IN QUESTION』は、
アルバムのリリースに伴うライヴツアーではないため、毎回、自由な選曲エントリーが行われる。
事前にファンクラブFISH TANK会員を対象に、
演奏してほしい楽曲リクエストを受け付け、その結果が選曲に反映される事がある。
バンド側からの発信だけでは、なく。
ファンから問いかけ(クエスチョン)へのバンドからの返答(アンサー)だ。
この場で、ファンとバンドは、会話(ANGELIC CONVERSATION)を繰り広げている。
櫻井「もう、何て言うんすかね…。
アルバム出してのツアーっていうのは、もう、アルバム・メインになっちゃいますけど。
ああいうのは、却って自由過ぎて、困るんですよね。武道館とか(笑)。
どれを選んで演ればいいのか?
……だから最近は、ファンの人に聴きたい曲なんかを、教えてもらったりしてますけど。
まあ、あれは、本当に楽しんでもらうためのライヴっていうか、そうですね」
従って、割とシリアスにアルバム・タイトルの世界観に迫るライヴ・ツアーに対しての、
ファン側からの返答とも取れるかもしれない。
何でもアリ!と言える内容の『THE DAY IN QUESTION』は、
バンドとファンの一年を振り返る特別な一日になる。
厳しい現実世界を生き抜き、一年の終わり=12月29日には、
その全てを解放して、バンドと時間とともにし、次の年へ、立ち向かう。
これは、BUCK-TICKが、戦友とも呼べるファンたちに捧ぐエールとも言えるだろう。
誰もが、聴きたい、観たい、BUCK-TICKが其処に居る。
翌年2002年には、デビュー・アルバムから
「SEXUAL XXXXX! 」「ILLUSION」の懐かしいナンバーで、幕を開け、
ひとつも恥ずかしがることなく、初期のビート・ロックをパワフルにパフォーマンスして魅せた。
そして、エンディングは、客電の灯る日本武道館で、披露した「JUST ONE MORE KISS」。
彼らのブレイク・ポイントであると共に、ファン達にとっても、最も待ち焦がれたナンバーと言えた一曲。
“嗚呼、まだ、このキラメキの中に身を許してもいいのだ”と、
ファン達も、時間の経過を忘れる一瞬になったに違いない。
忘年会?いや…もっと洒落込んで、ニュー・イヤー・パーティーに出かけよう!
そして、2003年。
この年の攻撃的なライヴ・ツアーも反映してか、『THE DAY IN QUESTION』も、
特別なモノとなった。
これは、言いだしっぺの今井寿が語る。
今井「曲とセットを全然変えたヤツ(2003年の?)アレは大変でした。
(アレはビックリしました)自分達もすっごい後悔しましたよ、マジに」
日本武道館で12月29日一夜限りの公演となるのが通常だが、
2003年には12月28日29日との二夜連続で行われた他、ステージセット、衣飾、セットリストが、
全くの別メニューで、オーディエンスの度肝を抜いた。
サービス?……ここまでやれるものか?
第一夜の一曲目は「BUSTER」。
櫻井敦司は、コウモリのような黒い衣装で、年末を舞う。
「MY EYES&YOUR EYES」は、ファン・リクエストの第一位を獲得した
彼らのデビュー・アルバムからのエントリーであった。
まさに、バンドとファンの欲望が繰り広げるカーニバルが『THE DAY IN QUESTION』だ。
この2003年は、特別な苦労がやはりあったようだ。
今井「まあ、単純に2DAYSになった時に、
なんか『THE DAY IN QUESTION』“去年とまた一緒だったら2DAYSにすれば?”みたいな。
なんとなく、そこに安易なモノを感じたんで、“イヤだなぁ”って。
“ただ、2倍になったダケ?”みたいな。
うん、で、ポロッと“違うカンジにしたい”って言ったんですよ、俺が。
でも、その“違う”っていうのは、、まあ、なんだろ、曲20曲演るとしたら、
その3分の1位の曲が変わるぐらいの感覚で言ったら、
なんか、どんどん、話が、観に来る人にとっては、嬉しい方向に転んでって。
で、セットも変えて。
で、曲を選んでる時に5~6曲位のつもりでいたのが、
その変えるヤツ(曲)を、“それじゃ、あんまり変わったカンジしないよ”みたいのが、
メンバー間から出て来て。
“アラ?やる気満々だな?”みたいな感じで……。
まあ、やって良かった。
今はやって良かった、と思うんですよ。
もう二度とないと思うんで!」
今井寿は、面倒だった、と言う割に、嬉しそうにこの時の事を語る。
そもそも、2DAYSにしただけの、彼の言わせると“安易な”ヴォリュ―ム・アップを許せなかった所に、
この全く別メニューでの二夜連続公演の発端が、ある。
後で、後悔した、とは言うものの、やりがいは、2倍どころではなかったハズ。
ファンも、喜んだのは、確かだが、間違いなく、企画実行したメンバーも、
この常識外の発想に、刺激され、予想以上の楽しんでパフォーマンスを繰り広げたに違いない。
それは、この今井寿の表情を見てれば、明白である。
バンドも、ファンも、同じ喜びを共有する時間・場所が、
この『THE DAY IN QUESTION』に他ならない。
彼は、期待しろ、とばかりにこう言い切る。
「まあ、やって良かった。
今はやって良かった、と思うんですよ。
もう二度とないと思うんで!」
そう言わず、また、観たい!と思ってしまうのは、ファンのエゴであろうか?
いや、決して、そうは、想えない。
もし、可能なら、ひょっとすると今井寿自身が、
“もう一度…”と一番想っている可能性すらあるように感じる。
しかし、こういったファン・サービスにも、全力を注ぐ彼らの姿勢に、
(いや、ちょっと違うな、ファンと一緒に楽しんでしまう、という方がいい)
この20年という年月を経て、尚、新しいファンを増殖し続ける“秘密”を知るようだ。
彼らは、こう想っているに違いないのだ。
「次は、もっと、驚かしてやるよ!」
彼らは、常に、想っている。
“刺激的で、在り続けたい”と。
これは、「JUST ONE MORE KISS」で、
当時、一世風靡したTBSのランキング番組『ザ・ベストテン』に生出演した時の、
櫻井敦司の言葉であるが、それから、彼らの初期衝動になんら変化などないだろう。
毎年、ファン達も、年末のこの一大カーニバルがどんな展開になるか、
“妄想”を膨らませながら、一年の彼らの活動を見つめている。
今年は、何をやらかしてくれるのか?
どんな楽曲が、エントリーするのか?
そして、メンバーも、策を練るのだ。
どうやって、驚かせてやろうか?
どんな、セット・リストにしてやろうか?
『THE DAY IN QUESTION』では、すべてが自由だ。
演る側も、観る側も、ただ、単純に、楽しむ為に、刺激を求めて、此処に集う。
この時、BUCK-TICKは、単なるひとつのバンドではなく、
大勢で作り上げる『THE DAY IN QUESTION』という思惟の塊となる。
そして、それが、空に昇華すれば…
新しい年が、明けるのだ。
BUSTER
(作詞・作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)
世界を踏み潰すBUSTER 悪性遺伝子病
我が物顔の足跡 狙いを定めてSwallow dive
破壊が美徳の creatures
唯一無二さ The only one
破壊が美徳の creatures
唯一無二さ The only one
お前は喰い潰すEATER 悪性遺伝子病
喰い散らかして飲み込む 肉からMETALまで OK!
破壊が美徳の creatures
唯一無二さ The only one
破壊が美徳の creatures
唯一無二さ The only one
La La La…生まれたか La La La…殻を破った
La La La…生まれたか La La La…お前は誰だ
La La La…生まれたか La La La…殻を破った
La La La…生まれたか La La La…お前は誰だ
穴を掘ってるのはDIGGER 悪性遺伝子病
辺りかまわず掘っても 掘っても掘ってもまだ足りない
深い暗い巨大な穴 そろそろ気が付く頃だ
深い暗い巨大な穴 お前の墓の穴だ Bingo!
La La La…生まれたか La La La…殻を破った
La La La…生まれたか La La La…お前は誰だ
La La La…生まれたか La La La…殻を破った
La La La…生まれたか La La La…お前は誰だ
MY EYES & YOUR EYES
(作詞・作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK・中山努)
きらめく数えきれない想いが あふれ出して
AH わかり合えずに I・・I LOVE
OH CRUSH IN THE NIGHT
求める事もしないで 確かめ合う夜には
AH 忘れかけてた I・・I LOVE
OH CRUSH IN THE NIGHT
互いに信じ合えた あの夜を過ごそう
力を抜いた体が 窓に透ける光に照らされた
砕けた二人の想い 両手でかき集めて
AH 声にならない I・・I LOVE
OH CRUSH IN THE NIGHT
悲しみに染まる事も 気づかずに抱き合う
涙でくるんだ笑みが 震えながら胸に転がった
初めて知る夜の 月の青さによく似た
凍てつく MY EYES AND YOUR EYES
トケズニイタダケドスベテハ
互いに信じ合えた あの夜を過ごそう
力を抜いた体が 窓に透ける光に照らされた
悲しみに染まる事も 気づかずに抱き合う
涙でくるんだ笑みが 震えながら胸に転がった
初めて知る夜の 月の青さによく似た
凍てつく MY EYES AND YOUR EYES
トケズニイタダケドスベテハ
