20年間、BUCK-TICKが、こだわりを見せて活動してきたのは、
音、ヴィジュアル、映像だけでは、ない。
そのファンとの共有物は、なんといってもライヴに敵うモノはない。
それは、お互いにとって、“時間”というかけがいのない“価値”。


Q LIVEについて


樋口「色んなタイプのライヴを演ってきたから……。
あっちゃんがMCしないとか……。
だからって別に冷たいライヴでもないし、っていう。
でも、その会場の空気感が自分達でも面白いっていうか。
うん、そういうのを自分では、大切にして来ている」


初期は、楽曲制作の制約として、ライヴで、実現出来るモノというのが存在した。
しかし、それすら振り払った彼らは、アルバム音源以上のナニカを、
そのライヴで、表現しようとしていた。
それは、その場所に居る人間しか体験出来ない“インプロビゼーション”。
まさしく、“生”体験。


星野「まあ、CDを再現する、っていう事だけではなくって。
音的に言ってしまえば、まあ、そのライヴに来た人しかわからない様な音であったりとか、
音を再現するのでなくって、もっと違う所を演ったりとか。まあ」


そして、演出、アクションも含め、アルバムの音世界からの派生、
視覚化した“非日常”への挑戦。
全てが、幻想化していくような世界観へとオーディエンスを誘う。
メンバーのパフォーマンスも、その現場のみでの“インプロビゼーション”。


Q LIVE PERFORMANCEについて


櫻井「いや~、もうホントにもう、思い付きですね。
次の歌詞が来るのと一緒に、こう、頭の中で、こう、もうフル回転してますからね。
ライヴの時っていうのは。
人に見られるし、次は、歌詞…唄はこうで…リズムはこうで…メロディはこうで…、って。
そうすると自然とこう出ると言いますか……ねぇ。
でも、魅せたい、っていう衝動があるんですよね、なんか」


数々の名ライヴ・アクションを繰り広げてきたBUCK-TCK。
彼らの印象に残るSTAGEとは?
非常に、興味深い質問だ。

ヤガミ「初めての武道館とかも。やっぱり何か、ありましたかね。
衣装がスゴイ重たかったんですよ、アレ。
多分、7kgぐらいあったのかな?アレ。

なんか、勝手に、こういうの書いて、コレ作ってくれって言ったら、
当時、鉄を入れないと、そういう風になんなかった。
こんなになってて(肩)。
で、そんで、結構重くなっちゃって。
で、なんか一回着たわけですよ、その衣装を。
“えーウソ!こんな重たいの?”みたいな(笑)。
“マジかよ”みたいな(笑)。で、なんか暑いし…。

“どうですか?やっぱヤメますか?”って、当時のスタイリストの人が……。
“着てやるわい!”みたいな(笑)。“やってやるわい!”みたいなカンジで(笑)」



全く物怖じというモノを感じさせない彼らの初の日本武道館ライヴ。
この模様は彼ら初のトータルライヴ映像作品『Sabbat』に収録される。
ここでも「SEXUAL ×××××!」。
この頃から、衣装が完全にオリジナルになってくる。
まるで、世紀末世界のトライヴか?はたまたSMショウから飛び出したボンテージ・クイーンか?
彼らのステージから“Taboo”が消えた…。
いや、元々そんなモノ、どこにも、ない。



櫻井「そうやって…20年とか言われて…考えたりすると……。
う~ん、デビュー前のライヴだったりとか……。
すごく印象には残ってますけども……。
かと言って観たい訳ではないんですけど(笑)」


そう、そうやって、大きな会場を征服していっても、
小さなライヴハウスで演っていたパッションを忘れることはない。
なぜなら、彼らのとって、ライヴほど、刺激的な刹那は存在しないのだから。
この時ほど、“生きる証”を実感することは、無いだろう。
BUCK-TICKは、LIVE=生バンドだ。


樋口「『Climax Together』かな。(最初の?)ええ。
やっぱり自分達ってのを明確に出せたかなって……作品として、その。
“これを見ればわかる”みたいな。
まあ、その後も、色々な事やってるから、アレなんですけど。
本当になんか、その、アノ時までやってきた事の集大成みたいな……。
自分達が、これから出したい事とか…明確に出せた作品っていうか…ライヴだったような」


誰がなんと言おうと、彼らの代表的なライヴは、コレだろう。
伝説の横浜アリーナ、一万人の大観衆、それまで、盛り上がるだけのライヴじゃない。
BUCK-TICKというバンドの、すべてが此処に在った。
そう、BUCK-TICKとは、こういうバンドである、と、
主張した姿の説明には、この映像を魅せるのが“最適”だ。
何万語の解説よりも、彼らのことが、よく解る。

オープニングの緞帳に映し出されるメンバーのシルエットから
「JUPITER」というライヴ開始のナンバーとは思えない選曲。

その巨大な緞帳が落ちると、登場した櫻井敦司が叫ぶ!

「愛してくれるか?」

母なるものとの決別と、愛しきファン達へ捧ぐモニュメント「JUPITER」。
何処までも、美しく、哀しく、そして、力強く…月の螺旋を昇る。

そして、今度を地中深く、ダーク・サイドを抉るような「地下室のメロディー」。
此処は何処だそして俺は一体誰だ?
今井寿の明らか下げ過ぎのマイク・スタンドに、膝間付いて唄う姿が峻烈だ。
逃げろ逃げろ!壊せ壊せ!叫んでいる。

“総合芸術”としてのライヴは、彼らにとって、舞台のようなものへと変化しつつあった。

Q LIVEについて、この男、櫻井敦司にとっては、“光”と“闇”をいかに魅せるか…。


櫻井「やっぱり“灯り”ですね。
光と影を上手くこう使うというか。
ONとOFFを使い分けるというか……」


「太陽ニ殺サレタ」で、その身を巨大な太陽の炎の溶かし、独りファントムは朽ちていく。
ドラマチックに、キラメキの中に…。


すべてをそのコントロールした【Climax Together】。
観客までもが、キャストと化した。
そして、演奏も、新たなる局面を迎えていた。
星野英彦の語る“再現だけではない、ナニカが存在するライヴ”へ。


勿論、突飛なナニカを支えるのが、“基本”原理原則だ。
“演奏力”このバンドのリズム隊は、並じゃない。


ヤガミ「“こだわり”っていうか、
やっぱり、まあ、失礼じゃない、ちゃんとした演奏をする、っていうのが、第一前提で……。
で、なんか調子がいいと、そこで、プラスαというか。そういう瞬間はありますけどね。
ツアー何本かは。
“おお、今日は、マジックが起きたかな”とか。
そういうのも、50本演ったら2~3本あるかな、みたいのがありますケドね」


このアニイのコメントは、謙遜だ。
断言出来る。
彼らのステージは、例え、少し位ハズレたとしても、
ナニカ、偶発的なミラクルが、必ず起きる。
50本に2~3本のミラクル?
冗談じゃない!毎回が、まさに彼ら5人の繰り出す“マジック”そのものだ。
それは、体験しているオーディエンスが、証人となる。
証拠に、彼女、彼等は、必ず、こう言う。


「絶対、もう一度、観に行きたい!」


そして、ステージでは、今井寿に“神”が乗り移る。


今井「楽しませたい、っていうのはあるんですけど。
それと同じ位か?もうちょっと超えちゃうかな、とも思うんですけど。
自分が、なんかこう、“乗れる”というか、
“いい気分になれる”状態に行きたいんですよね」


ハプニングすら、彼らの味方と言える。


星野「まあ、印象的と言ったら、この間、ステージから落っこちたり、とか……。
まあ、ありますが。
そういうんじゃない、ですよね?(笑)」


光と闇の帝王は、
「Q 今後やってみたいLIVE」
に、こういうシュチュエーションを語る。

櫻井「う~ん、ここ何年か、イベントとかで、野外ももあったりもしたんですけど。
まあ、似合う、似合わないは別として、自然の感じですね。
アノ、一番綺麗な、その夕方から夜に行く感じのところで、
また、変わった感じの所でやってみたいかな、と思いますけど」


2003年の初の日比谷野外音楽堂が想い浮かぶ。
あれは、素晴らしい情景であった。


今年の雨の中の“荒吐宵祭”も黄金色の光を放ち、
最高のパフォーマンスを繰り広げたと、聞く。
彼らの放つ光が“夜”を彩るのだ。


「このまま 俺は夜になる 何もない 夜という名前さ
 このまま 俺は深くなる 果てしない 夜と愛し合うさ」



さあ、今宵も真っ赤に染まるんだ!




SEXUAL×××××!
 (作詞:桜井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK・中山努)


虚ろいゆく YOUR EYES 火傷しそうな BODY HOLD YOU
鏡張りの夢は 脱ぎ捨てよう全て TONIGHT

PLEASE ME AHA SEXUAL INTERCOURSE!

溜め息まで YOUR LIE 舌を絡め甘く DEEP KISS
傷つきそうなベーゼ 胸で痛みになる AND MORE

PLEASE ME AHA SEXUAL INTERCOURSE!
PLEASE ME OH YES SEXUAL INTERCOURSE!

YOU JUST MIND CLOSE YOUR EYES
ささやく I WANT YOU
I JUST MIND CLOSE MY EYES
WANT YOU WANT YOU OH-HO
OH MY DARLING


JUPITER
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)


どれほど悔やみ続けたら
一度は優しくなれるかな?
サヨナラ 優しかった笑顔
今夜も一人で眠るのかい?

頬に濡れ出す赤い雫は せめてお別れのしるし
今夜 奇麗だよ月の雫で 汚れたこの体さえも

どんなに人を傷つけた
今夜は優しくなれるかな?
サヨナラ 悲しかった笑顔
今夜も一人で眠るのかい?


地下室のメロディー
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


ココハドコダ ソシテコノオレハダレダ
ニゲロニゲロ ドアヲカケロ
ナゼニワラウ ソンナアワレムヨウニミルナヨ
コワセコワセ キミガワルイ

マヒルニコゴヘナガラ

オシエテクレ イッタイナニヲスレバイイ
ニゲロニゲロ ナニガデキル?
ワルイユメサ ダレモカモキズダラケデ
コワセコワセ サケンデクレ

ハキケニフルエナガラ


太陽ニ殺サレタ
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


やがて幕が閉じる 憂鬱の中で
『死ぬんだろう? 生きるだろう 何を捜して』
『そんな 嘘だろう 真実だろう どうでもいいさ』
太陽ニ
殺サレタ・・・
サヨナラヲ
言ウ前ニ・・・
太陽ニ
殺サレタ・・・
サヨナラヲ
言ウ前ニ・・・






【ROMANCE】