「ヴィジュアル系って?いったい何だったんだ!?」
結成20周年をこの2005年に迎えた、ベテラン・バンドに対して投げかけられる疑問?
Q VISUALに対するこだわり
ヤガミ「ていうか、俺等なんかの素材を見て感じて、そういう風にやってくれたっていうか。
だから、最初のメーカーの人なんかも、やっぱりデビュー企画の時、
音楽の制作の人と、映像の制作の人が一緒に来てくれて、だからもう18年前ですか。
(新宿)ロフトに観に来て、で、その映像部の女の人とかからも、
“あなたたちをヴィジュアル・アーチストで売りたいわよ”みたいな。
“ヴィジュアル・アーティストって?なにかな?”みたいな。
その当時86年とか87年くらいって(笑)。
“オオッ”みたいな(笑)。映像的にやるんだな、って。で、ヴィデオ・デヴューして」
繰り返そう…
アニイ曰く「“ヴィジュアル・アーティストって?なにかな?”みたいな」
この言葉が、端的に“ヴィジュアル・ロック”を示唆している。
もし、存在するとすれば、それは、単純に“美意識”であった、という他に言いようがない。
誰も、商売と結び付けて、洋服を買ったりしない、だろう?
それを身につけることで、本人はスーパーヒーローに変身できるかもしれない?
そう、それは、心の置き処に他ならないのだ。
ヤガミ“アニイ”トールは、そそり立つタテガミを、デビュー当時から、決して寝かせようとはしない。
ステージに立つ自分は、スーパーヒーローという自負心だ。
俺が、やらずに、誰が、やる!
“死ぬまで、続けます!”彼は「惡の華」で、ナンバー1ヒットを獲得した後に、
こう言い放った。
このヴィジュアルは、伊達や、酔狂じゃない。
“俺の、生き様”なんだ!と。
「SEXUAL ×××××!」を見ろ。
メンバー全員が、重力という“常識”に逆らったかのようなイデタチ…。
“反骨精神”?それも、あろう。
しかし、これこそ、彼らのアイデンティティだったのだ。
“これが、俺達だ!”という青年の主張。
他の誰でも、なく。これこそ、オレ達だ!と。
それを、マーケットが、勝手に、コマーシャルに結び付けたダケ…。
本当にSEXUAL ×××××!で、刺激的な水も滴るBOYS&…。
粋に、狂い咲け!!!
ヤガミ「当時、その、アクシデントがあった、その憶えてるのが。
だから、やっぱり一番最初の「SEXUAL ×××××!」とか。
あっちゃんとか熱が40℃ぐらいあって。だから、目が充血してるんですよ。
たぶん、医者行って、点滴打って来て、それで撮ってる、みたいなカンジでやってたんですよね。
だからヤツレてる。
アノ当時、痩せてるんですけど…、なおさら、その日は、ヤツレてる、みたいな」
こう嬉しそうに語るアニイ。
まさしく「気合い、入ってんだろ!そこんとこ!よろしく!」群馬のヤンキー魂、丸出し、だ。
でも、間違いなく、ロックの魅力は“ワル”…。
どうしようもなく…“ワル”。
先輩のヒムロックの“眼つき”を見ろ!
餓えた、オオカミのギラツキ。
もっといえば、キャロルは永ちゃんは、クールスっていうゴロツキを親衛隊にしてた…。
そう、松田優作に、喧嘩を売った岩城晃一、舘ひろしがメンバーの族だ。
そんな、イカした“ワル”は、いつでも、最高にセクシャルだった。
言ってしまえば英国国宝のあのTHE BEATLESだって、リヴァプールの元ゴロツキ…。
SEX PISTOLS…もう、アウトローを絵に書いたような“ワルガキ”。
樋口「誰だってカッコいいことしてたいし、あるじゃないですか?で、
そのメイクをしてなくても、カッコいいと思って、例えば人前に出る訳だし、
それが、ただ、ちょっと派手過ぎるというか、そんな自分達は、イメージしかなかった。
俺は、カッコいいと思ってやってたし。うん」
デビュー当時、マスコミの質問は、集中する。
「どうして?そんな髪型してるの?」
「理由?理由なんて、ない。カッコいいと想ってるから。それだけ」
そんなU-TAも、最後まで、トサカを立て続けたカミソリ・ロッカーの末裔だ。
そして、兄貴は、こう言い放つ。
ヤガミ「やっぱり、普段着みたいなカンジで、チケット代取るって、なんか、
俺の感覚では“詐欺”みたいな。
それが、なんか、その企業努力みたいの、してない感じを受けたんで……。
“金無いけど、マルイでローン組んで、このジャケット着て演るゾ”みたいな。
インディーズの頃とか」
そう、俺達は、プロだ。
それは、音だけじゃなく、衣装も、照明も、アクションも…、
最高の姿をファンに魅せたい。
他のメンバーの髪型は、変わったが、この精神は、ひとつも、変わっちゃいなかった。
だた、違う趣向、違う路線を選択しただけ。
ファンを楽しませたい!その気持ちが、ヴィジュアル系を生み出してるに違いない!
アニイが言ってるから、間違いない。
そこに、オーディエンスの求める“非日常”がある。
その最も、端的なファッションが、ゴシックであったのかも…。
ヴィジュアル戦略の旗手として、BUCK-TICKは、初めてマーケティング戦略のテスト・ケースとなった。
彼らのメジャー・デビューは、シングル盤ではなく、ヴィデオ・クリップ。
そういう、意味において、BUCK-TICKが、“元祖ヴィジュアル系”という評価は、嘘ではない。
ただし、まだ、ヴィジュアル系という言葉に明確のモデルすら、存在しなかった。
MTV JAPANのアワードを獲得した一曲を、樋口“U-TA”豊は挙げる。
Q 印象に残るVIDEO CLIPS
樋口「「惡の華」かなぁ…、やっぱり。
やっぱ自分であの、その…自分っていうか“5人”っていうのを、凄く強烈に出せたなっていう。
出してもらったっていう」
そして、このヴィデオ・クリップこそ、“ヴィジュアル系”の雛型になった。
「遊びはここで 終わりにしようぜ 息の根止めて Breaking down 」
悪の華
(作詞:桜井敦司/作曲:今井寿/編曲:BUCK-TICK)
遊びはここで 終わりにしようぜ
息の根止めて Breaking down
その手を貸せよ 全て捨てるのさ
狂ったピエロ Bad Blood
夢見たはずが ブザマを見るのさ
熟れた欲望 Fallin' down
サヨナラだけが 全てだなんて
狂ったピエロ Bad Blood
燃える血を忘れた訳じゃない
甘いぬくもり が目にしみただけ
Lonely days
あふれる太陽 蒼い孤独を手に入れた Blind-Blue-Boy
燃える血を忘れた訳じゃない
甘いぬくもりが 目にしみただけ
指の隙間で この世界がまわる
熱くキラメク ナイフ胸に抱きしめ
Lonely days
あふれる太陽 蒼い孤独を手に入れた Blind-Blue-Boy
Lonely nights
凍える夜に叫び続ける 狂いだせ Blind-Blue-Boy
Lonely days
あふれる太陽 蒼い孤独をたたきつぶせ Blue-Boy
Lonely nights
凍える夜に叫び続ける 狂いだした Blue-Boy
