CSチャンネルViewsic(現MUSIC ON! TV)にて、
頻繁に、BUCK-TICK年末の恒例ライヴ【THE DAY IN QUESTION】の模様が放映されていたが、
その総集編とも取れる形で、編集された番組が、
この『MUSIC ON! TV BUCK-TICK SPECIAL』と言えよう。
結成20周年のBTメンバーによるインターヴューが大量に盛り込まれた内容の同番組が、
想い返すと、僕に、この【ROMANCE】を書かせる、ひとつの切欠となった。

その証拠に、このBLOG【ROMANCE】の第一回目【SEXUAL XXXXX! /BUCK-TICK】は、
この番組でのヤガミトールの言葉を基に書いたと記憶している。

それは、さておいても、この『MUSIC ON! TV BUCK-TICK SPECIAL』で語られる
膨大なメンバーの発言は、20年という年月を経て、今尚、進化しつづけるBUCK-TICKというバンド、
その偉大なる軌跡を、淡々と歩み続けた彼らを表すのに最適な言葉達であった。

これは、BUCK-TICK HISTORY と言えるだろう。

その内容をここに記そう。



Q SOLO活動とBUCK-TICKについて

櫻井「ソロをやったっていうことで、かなり自分にとっては、
ソロ自体がではなくて、ソロやったっていうことで、
自分にとってはバンドに対するのめり込み具合といいますか、今更なんですけど。
それがもっと深く気持ちが行くようになりました」

Q シフトチェンジっていうのは?

今井「大変でした、……気持ちが。
コンピューターに向かったり、ギターを持った時に、
自分のカタチっていうか?姿勢が……。わかんなくなっちゃって!
BUCK-TICKってどういうんだっけ?って感じになって。
BUCK-TICKというのは、こういうバンドっていうのが、決まってない、のがあって。
後、そういう振り幅があっていいと思うんですよ。
なんかBUCK-TICKっていう人間みたいな。
そのコレばっかりっていう、ロックン・ロールだけとか決めないで」

星野「いやあ、まあ、皆、それぞれやって…。戻ってきたときは、別に普通に。
(そんな)感じでしたけど」

樋口「まあ、そんなに何年も離れていた訳ではないんだけど、
周りが、もう、そういう空気感で話しとか、してたから…。
久々かなっていう気持ちが倍増されちゃって…。
でも、なんか、そのライヴの時なんだけど、また、皆で集まって嬉しかったなって気持ちがあって」

ヤガミ「まあ、久々に、その、やり易い環境・場所に戻って来たなっていう感じですね。
やっぱ、勝手知ったる世界なんで。
こうなったら、こうなりますから」

Q 【悪魔とフロイト】について

櫻井「とにかく、もう日日がですねぇ。9月11日っていう日日で。
最初にやった、もう十何年前の時には、
ただ、自分達のアリーナのライヴの日、メモリアルな日という感じだったんですけども。
どうしても、その日っていうのが意味合いが強くなったので……。
まず、ソロをやって、バンドに戻って、
まず、一発目のライヴっていうよりは、どうしても避けて通れないと言いますか…。
ひとつ自分達がそこにその日に立っていたっていう、何か意味合いみたいなものがあるんだとしたら……。
一言でいいから、アノ、来てくれた人達に、何か、感じて欲しいかな、と。
…偉そうに…想いました」


‡‡‡‡‡


2004年の前半から、初めてのメンバーの本格的ソロ活動の開始が、
ベテラン・バンド“BUCK-TICK”に、再び、何らかのカタチで、パッションを与えることになったのは、
紛れもない事実であろう。

いつもとは、違う空気感の中で、呼吸したこの時期、
改めて、近すぎて、見えなくなっていたモノの価値に気付いた、と言っても過言ではないと思う。

すでに、今井寿のアタマの中には、自身のソロ・プロジェクト“Lucy”の傍ら、
渦巻いていた“妄想”も、このソロでの経験を経て、輝きが増したのは、
明白であると言えただろう。

この身を翻すような反転の為に、今井寿自身も「わかんなくなっちゃった…」と言い切るところが、
非常に、彼らしい表現である。

天才肌の今井寿は、これまで、その心の内を、身内以外に明かすことが、少なかった印象があるが、
この20年を迎えて、意外に積極的に、その心の内を語り出したように思う。
この天才の渦巻く内部を、割と、フランクな感覚で語る今井の姿は、
初期、中期の彼には、見ることの出来ない姿と言えよう。

そして、それ程に、パッションを込めて創り出した作品が、この当時の最新アルバム『十三階は月光』
であったのかも知れない。

そして、メイン・コンポーザー今井寿以外のメンバーも、
その個人的な、檻を解き放つように展開したソロ活動の中で、
何かしら、自身を見つめ直し、ホームグラウンドといえる“BUCK-TICK”に帰って来たのだ。



各メンバーが、それぞれ、想う感覚には、個性を感じ面白い。



星野英彦は、「普通な感じ、で」と語るように、常に“流れ”を重視して事を運ぶ。
唯一、ソロ活動が、結実を見ることなかったが、それは彼の“宿命”であったのかも知れない。
そんな気が、するのだ。そして、それには、重要な意味がある。
そんな“流れ”“さだめ”のなか、他のメンバーの活躍を、一番、俯瞰的に見ていた。

そして彼にとってのこの時期は、他のメンバーと自分との距離感、自身の役割等を明確したような、
内側から湧きあがるような、“自信”みたいなモノを感じる。
独りのミュージシャンとして、そしてBTの一員としての自分のポジション。
それが、彼の“自信”の根源であろう。


樋口“U-TA”豊は、そのホーム“BUCK-TICK”への回帰を、
周りの人間に囃子立てられた、と照れ隠しするが、
本心から、このバンドにその生涯を捧げる決意を再確認したのだろう。
普段から、他のミュージシャンとも交友関係の広い彼であるからこそ、
“BUCK-TICK”一点に注ぐ“想い”がある。
【悪魔とフロイト】でのメンバーとの再会に、“嬉しさ”を隠し切れなかった様子が目に浮かぶ。
彼の笑顔が見たくて、人は、BUCK-TICKという組織に視線を注ぐ。
これは、紛れもない事実だ。


ヤガミ“アニイ”トールも、BUCK-TICKを「やり易い環境・場所」と表現し、
己の居場所というものを再確認した時間で、あったのだろう。
最年長の彼は、恐らく、自分の弟のような各メンバーのソロ活動を、
“そう来るのね”とばかりに、頬笑みながら眺めていたような気がする。
“なるほど……らしいね”と独りごち、ながら…。

そして、やはり20年のキャリアが、モノを言うのだろうか?
とりわけ、体調とフィーリングが、左右するパートがドラムスと言える。
「勝手知ったる世界」とは、彼らBUCK-TICKのバンド・アンサンブルまたは、コンビネーションの事。
コイツら以外に、自分の潜在能力を最大限に発揮させる連中はいない、という感じで、
更に、自慢の自身のバンドへの献身を表すような笑顔を見せるのだ。
彼にとっても、また、此処BUCK-TICKこそが、
「ホーム・グラウンド」であった。


非常にディープなソロ・プロジェクトを経験した櫻井敦司にしても同様である。
一度、距離をおくことで、それまでの日常の“価値”を噛み締めたような発言である。
20周年を迎えるベテランが、今現在を以て「バンドにのめり込む」という表現には、
愛情を感じずにはいられないだろう。

かつて、彼のコメントを想い起こす。

「俺は、BUCK-TICKのヴォーカリストになる以前…何者でも、なかった」

こう語る櫻井敦司のソロ活動の密度が深ければ、深いほど、
彼が、今井寿を、そして、BUCK-TICKのメンバーを求める度合いも巨大化していった。

そして、いつも受け身であるという彼には、
その自身の歩むべき道を示すものこそ、BUCK-TICKに他ならなかった。

活動再開を果たした2004年9月11日は、彼らの新しいメモリアル・デーとなった。
それは、BUCK-TICKというバンドが、という範疇に収まらず、
「生と死」という実感を、生身で感じさせる行為“戦争”のトリガーとなった日付けとリンクしてしまった。

【悪魔とフロイト】の終演時に巨大モニターに映し出された言葉

「すべての亡骸に花を すべての命に歌を」

は、彼の言葉であろうことは、ほぼ間違いがないだろうが、
何もすることが出来ない、と自覚している彼だからこそ、
自分達に出来るコト、もっと言えば自分達にしか出来ないコトを、
この日の【悪魔とフロイト】に込めたのは、明白である。


それが、櫻井敦司に、とってのBUCK-TICK「復活の日」となったのである。





※「復活の日」はキリスト教の典礼暦における最も重要な祝い日で、
十字架にかけられて死んだイエス・キリストが三日目によみがえったことを記念する。
「復活の主日」、あるいは英語で「イースター」とも言われる。



ヨハネの黙示録 第20章


この第一の復活にあずかる者は、さいわいな者であり、また聖なる者である。
この人たちに対しては、第二の死はなんの力もない。
彼らは神とキリストとの祭司となり、キリストと共に千年の間、支配する。

 千年の期間が終わると、サタンはその獄から解放される。






「神の子が愛し合う愛の園 この俺は知らん顔で夢を見る」




21st Cherry Boy
 (作詞:櫻井敦司・今井寿 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


輝くんだ 世界中 目覚めてくれ
深い闇で生まれたお前は愛
狂おしく無邪気な残酷さ
君のその欲望は綺麗で汚い愛しい

罪深きこの手に 降り注ぐ愛の歌にまみれて 踊ろう
飾り立てたならおいで悪魔の夜は抱き合っていよう

俺に触れてくれ その唇であなたの愛の息吹を
さあ 神となって

21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.

俺もお前も独りだ強く、この世界で 躍るだけだ
飾り立てたならおいで悪魔の夜は抱き合っていよう

そして触れてくれその唇で あなたの愛の息吹を
さあ 神となって

21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.

21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.
21st Cherry Boy Too young to die.
21st Cherry Boy I wanna be your toy.

君が駆け抜ける


君のヴァニラ
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:今井寿 / 編曲:BUCK-TICK)


可愛い君の胸 その命愛おしい

激しく切なく求めてみたい 激しく激しく求めて
冷たく優しく求めて欲しい 冷たく冷たく求めて

愛おしい君の胸 その命憎らしい

激しく切なく愛してみたい 激しく激しく愛して
冷たく切なく愛して欲しい 優しく優しく愛して

赤く充血してるヴァニラ 左胸が熱い

例えば命短し 唇で愛を伝えよう
炎が消えるそれまで あなたの為に燃やして

水 空気 光と 愛 糧 生きがい 夢 欲 喜び あんたが大好き

赤く痙攣してるヴァニラ 左胸が熱い

例えば命短し 唇で愛を伝えよう
炎が消えるそれまで あなたの為に燃やして

例えば命短し 舌先で触れるその胸
炎が消えるそれまで わたしの為に尖らせ

水 空気 光と 愛 糧 生きがい 夢 欲 喜び あんたが大好き


楽園(祈り 希い)
 (作詞:櫻井敦司 / 作曲:星野英彦 / 編曲:BUCK-TICK)


愛の国ここは楽園 愛する人抱きしめ合う 永遠とも呼べる様な春
愛の土地花の楽園 平和に慣れ増え続ける これ以上何を求めてる

見知らぬ街見知らぬ人 血を流し悲しみの目 ここでは夢の物語

テレビでは悲痛な声でまくしたてるメロドラマ
この僕は軽く涙流すふりで目を伏せた

神の子が殺し合う愛の園 この俺は知らん顔で夢を見る

愛の国ここは楽園 愛し合い慰め合う よく似た顔が笑い合う
銃声に不治の病 愛し合い傷つけ合う それ以上何を求めてる

優しい父も母も 燃えた大地黒い雨
この僕は軽く涙流すふりで目を伏せた

神の子が愛し合う愛の園 この俺は知らん顔で夢を見る

神の子が殺し合う愛の園 この俺は知らん顔でここにいる







【ROMANCE】