シングル「ROMANCE/DIABOLO」リリースと、
待望新作アルバム『十三階は月光』の発売に際しての、
TVK『Music Tomato Japan』(音楽情報番組)での
櫻井敦司と今井寿のインタヴューである。
前年の2004年の暮から、この新作アルバムがリリースされることは、
公表されていたので、文字通り“満を持して”という感じであったが、
各プレス・リリースの質問が、この新アルバムのコンセプト“ゴシック”についての経緯と、
BUCK-TICKというバンドの結成20周年に関する取材が、毎日のように続いた模様で、
さすがに、この頃になると、少しこの二人も、疲れを見せているように感じる。
内容は以下となる。
Q 結成20周年、今の心境は?
櫻井「え~と、よく言われるんですけど、あまりピンと来てなかったといいますか。
遂、この間、聞いて。20年って言われると、かなり重いな、って思うんですけど。
本人達は、あまり意識はなくて、けっこう早かったな、と思います」
Q 正直、20年続くと思いましたか?
櫻井「いや、続く続かないっていう考え方はなかったんで。
いつも目の前の事っていいますか。明日の事を、っていう生活をしてましたんで。
将来の展望って全然、考えてなかったです」
Q 長くバンドを続ける秘訣は?
今井「うん。次は、こういう事を、こういう音やりたいなっていうのを、
なんとなく、漠然とは、“テーマ”みたいなモノが出て来て。
それを繰り返してる、っていうか。
……あと、逆に、“解散する理由”ってモノがまったくなかったんで。バンド内では」
Q 体型を保つ秘訣は?
今井「ふはははっ。それは……緊張感……かな?」
櫻井「…特には…ないんですね。まあ、昔よりは、骨格もガっシリ?したとは思うんですけども。
まあ、よく食べ、よく呑み、よく寝る、ってカンジですか?」
Q 最近もよくよく飲んでる感じでしょうか?
今井「ええ。まあ、コンスタントに…」
Q どういう所で、飲むんでしょうか?
今井「え、いや、普通に居酒屋いったり…、ま、知り合いのバーに行ったりとか…。
あと、家に人を呼んで呑むってときも、ありますけど」
Q よく飲むお酒の種類は?
今井「あ、よく焼酎…芋焼酎は、よく呑みますね。ええ。
え~と、なんだっけ(笑)。
あのプレミアのついちゃってるヤツ……。誰かくれないかな~(笑)」
Q 森伊蔵とか?
今井「あ、そうです。森伊蔵!」
Q 最近気になってる事は?
櫻井「そうですね。最近、ええ、近所の野良猫の事が気になって仕方ありませんね。
いや、もう、この冬……、あたたかくはなって来ましたけども、
親子連れの野良猫がいて、大丈夫かな?ってカンジで……。気になってました」
Q お家の猫はお元気ですか?
櫻井「ええ。元気です。かわいいです」
Q 今回、顔のB-Tの文字が見れなくて残念です。
ずっと彫ってあると思ってました。
今井「(笑)それは、ない、です。あ、歯には、入れてますけどね。B-Tは」
(以上前半)
想い返すと、この4年前、デビュー15周年のアルバム『極東 I LOVE YOU』リリース時に、
今井寿は、同じようなコメントを残していた。
「続くんだろうと思ってたし、続けたいと思ってたし。
辞める理由、解散する理由もないし。
惰性でやってるわけじゃないですよ、もちろん。
もしそうだったとしたら、それが解散の理由になっちゃいますから。
ホントにないんですよ、これを続けられない理由が」
2001年夏の今井寿の発言である。
この言葉はとてつもなく強い。
“根拠のない自信”ってものの前ではどんな理屈も歯が立たないのと同じで、
“理由があって存在するもの”の説得力なんて
“存在理由を考えるまでもないもの”のそれに比べたら無に等しい、と。
しかし、この時、またこんな発言もしていたのだ。
「もちろんアルバムごとコンセプト的なものはありますけど、
前に比べたら、すごく柔らかい考え方になってるっていうか。
今回(※アルバム『極東 I LOVE YOU』)はそれこそ、
“バンド・サウンド”ってものの考え方そのものを覆してあるようなところもあるし。
昔はいろいろルールを設けてましたからね。
たとえば“ライヴでナマでやれないことはやっちゃ駄目”だとか」
この結成20周年に至り、彼は、まるで自らの発言を180度、翻して魅せた。
“ドックイヤー”“マウスイヤー”と言われるが、
この時の“Loop”の速度も加速度的なスピードで螺旋を描いているのかも知れない。
今井寿は、再び、コンセプチャルな世界に舞い戻り、
こう言い切るのだ。
「“ゴシック”。これからキマスよ」
それは、彼の確信にも似た、予言であった。
さて、2005年3月2日の先行シングル「ROMANCE」に続いて、
いよいよ、今井寿のトータル・コンセフト・アルバム『十三階は月光』が、
4月6日に、リリースされる。
同日 DVD『悪魔とフロイトーDevil and FreudーClimax Together』の通常盤も発売とされ、
BUCK-TICKの結成20周年の活動が、本格開始される。
先行シングルの「ROMANCE」は、ヒットチャート14位まで昇り詰めるが、
どうやら、この時の本命は、BUCK-TICKの描く“ゴス”の世界であり、
アルバム『十三階は月光』は、シングル以上の最高位4位にランクした。
やはり、シングルの2曲だけでは、この世界観を伝えきるのに、不足であったろう。
マスコミが、しきりに、“トータル・コンセプト”を打ち出してせいもあるかも知れないが、
「ROMANCE」という楽曲のポテンシャルもまた、この『十三階は月光』の中で聴くと、
一層、引き立って聴こえる、というのが、発売当時の正直な評価であった。
しかし、兎にも角にも、どうやら、今井寿は、櫻井敦司は、
そして、BUCK-TICKは、本気で、ド真ん中の“ゴシック”を、
この結成20周年にやらかそうと企てているらしい・・・。
ドドドドド・・・・
まるで、地響きが鳴るかのように、
20年目の悪夢が、僕らに忍び寄っていた。
そう…。
それは、BUCK-TICKが、合わせ鏡となって、
映し出す、我々自身の“悪夢”でも、あったかも知れない……。
